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STORY:株式会社オーリック -グループの急成長を実現する「組織のOS」アップデートの取り組み-

協働日本で生まれた協働事例を紹介する記事コラム「STORY」。

実際に協働日本とプロジェクトに取り組むパートナー企業の方をお招きし、どのようにプロジェクトを推進しているのか、インタビューを通じてお話を伺っていきます。

今回は、株式会社オーリック(鹿児島県鹿児島市)を訪問し、会長の濵田龍彦氏、グループ管理本部経営管理部の方志貴子氏、グループ管理本部情報システム部次長の梶原宏二氏のお三方からお話をお伺いしました。

株式会社オーリックは、鹿児島県鹿児島市に本店を構え、九州一円酒類・食品販売事業を展開する企業です。平成元年12月に鹿児島で初めての酒のディスカウント店をオープンした後、九州各地に事業所、配送拠点、繁華街店舗を設立。現在は九州最大級の品揃えを誇ります。

ワインや焼酎を主力商品として、さまざまな業態の顧客の要望に応じたドリンクメニューを提案力と、注文からすぐにお届けするクイックデリバリーで知られ、九州各地で事業が急拡大しています。

売上高 はグループ合計で554.2億円(2023年3月期)、従業員数はグループ合計2,700名(2023年3月期)と、鹿児島はもとより、九州の飲食業界で大きな存在感を持つ企業グループとして知られるオーリック社。不動産・建設事業などの事業にも取り組むなど、経営の多角化にも取り組んでおられます。

昨年の経営セミナーでのご縁を通じ、オーリック社の新たなチャレンジに、協働日本が伴走させていただけることになりました。急成長の裏で見えてきた課題に共に向き合いワンチームで協働を進めています。

インタビューを通じて、どんな協働プロジェクトに取り組み、そこからどういった変化が生まれたのか。会長の濵田龍彦氏、方志貴子氏それぞれの事業に対する思いとともに協働を振り返り、これからの期待について語って頂きました。

(取材・文=郡司弘明)

「協働」という新たな取り組みスタイルへの期待 

ーー本日はお時間をいただきありがとうございます。さっそくですが、協働日本との取り組みを決めたきっかけを、濵田会長にお伺いしてもよろしいでしょうか? 

濵田 龍彦氏(以下、濵田):よろしくお願いします。 

はじめて協働日本さんのことを知ったのは昨年(2022年)、講師として協働日本代表の村松さんが登壇されていた、鹿児島県主催の経営セミナーでした。 

そのセミナーの中で村松さんと知り合って、実際に協働日本の事業についてもその際にご紹介いただきました。 

ーー協働という取り組みの形について知ったとき、どんな印象を持ちましたか? 

濵田:そうですね。はじめは、地域企業向けのコンサルティングというイメージでお話を伺ったんですが、それとはだいぶ違うユニークな形で事業を展開されているなと思いました。 

企業の課題に対して、ワンチームで一緒に伴走しながら取り組んでいくスタイルは、これまでお付き合いのあったコンサルティング会社のご提案にはないものでした。 

我々としても答えのない課題に向き合っていこうとしていたタイミングでしたので、名刺交換をさせていただいたその場で、ぜひお願いしますとお話したことを覚えています。 

ーーほとんど即決に近い形だったのでしょうか? 

濵田:はい、そうですね。すぐにお見積りを出していただいたのですが、協働日本に所属している、第一線で活躍しているプロたちに週に1回打合せして、1年間伴走してもらえることを考えれば、とても価値ある投資だと感じました。 

意義ある取り組みだと考えたので、同時に3つの重要なテーマ(HR、DX、EC)をプロジェクト化し、協働日本との取り組みをスタートすることを決めました。 

オーリック社 会長 濵田龍彦氏

人事制度すなわち「組織のOS」をアップデートしなくてはいけない 

ーー経営管理部方志さんにも伺います。協働日本との取り組みについて、方志さんはどのように感じられていますか? 

方志 貴子氏(以下、方志):弊社は、会長や相談役を始めとする創業者の強いリーダーシップで今まで成長してきました。創業メンバーも60代となり、次世代経営層の育成も重要な課題となっています。 

弊社は、フィロソフィー経営、そしてアメーバ経営といった理念を大事にしております。もちろんそれらを引き継ぐことも大切ですが、令和の時代にふさわしい経営理念、フィロソフィー、行動評価項目、組織構造にアップデートする必要性も同様に、強く感じていました。 

そんな時に参加した鹿児島県主催の「成長する組織づくり」をテーマとした講演で、協働日本の村松社長と大西CHROのお話を伺いました。 
講演の中で「企業成長に必要なこと」をお話頂きましたが、具体的でわかりやすく、弊社が取り組めていない課題を明確化することができました。 

ぜひ弊社の課題に、ともに向き合っていただきたいと思いお話を伺いました。濵田会長の話にもありましたが、会長も同じ思いだった為、すぐにお取り組みがスタートしました。 

方志 貴子氏
ーープロジェクトの立ち上げにあたって、方志さんから協働日本には、どのような課題、相談を投げかけてくださったのでしょうか? 

方志:オーリックグループがここまで成長してきた中で、M&Aにより多くのグループ会社を迎え、グループの規模も従業員数も急拡大しました。オーリックではいま様々な事業領域を内包し、様々なバックグラウンドを持つ社員が働いています。 

経営判断がより複雑で難しいものになる中で、これまでのやり方を踏襲していただけではその先の成長はありません。 

今後オーリックグループが更に大きな事業規模を目指す中で、言うなれば「組織のOS」 のバージョンアップが急務だと思っている旨を伝え、組織開発や人事制度設計の経験が豊富なプロのお力を借りたいとお伝えしました。 

ーーなるほど。ちなみに、いま方志さんのおっしゃっられた「組織のOS」という例えには、どんな思いが込められているのでしょうか? 

方志:人事制度や企業カルチャーはまさに、パソコンを動かす基礎的なソフトウェアであるOS のように、会社を動かしていくための重要な、基本の仕組みとも言えます。 

我々のように地域を拠点とする企業こそ、変化の激しいVUCA時代に沿った「組織のOS」に変化しないといけないという認識がありました。 

弊社の経営の強みは、フィロソフィー経営・アメーバ経営といった経営理念を大事にしているところですが、良いところも残しつつ、令和の時代にふさわしい経営理念、フィロソフィー、行動評価項目、組織構造にアップデートする必要性を感じていました。 

弊社は特に、M&A後のPMI(Post Merger Integration)の課題として人事制度の統一が必要でした。オーリックはこれまで、後継者不足の他社酒販店の受け皿となるべく積極的にM&Aを活用してきた結果、エリアによって人事制度が異なるという課題がありました。 統合効果を最大化させるための人事制度改革が急務となっており、これは組織のOSのまさにコアとなる部分。 

この点を解決できる人的リソースが社内におらず困っていたところ、協働日本様とのご縁を頂けることになったのは幸いでした。 

濵田:いま方志から話のあったように、弊社はM&Aを通じて現在、45社ほどのグループ会社で構成されています。 

オーリックグループの主幹でもある酒類を扱う事業もあれば、業務スーパー事業や不動産建設事業、リサイクルショップ、ウォーターサーバーの製造販売など、その事業は多岐に渡ります。 

今後のグループの成長のためにも、ここでグループの全社で横断的に活用できる、新たな人事制度、特に社員への評価制度の策定を進めたいと考えました。協働日本さんには、大手上場企業で人事制度策定に関わった現職または元職のプロの経験から伴走してもらえたのは心強かったです。 

今期はグループ全体で650億円近くの売り上げを見込んでおり、2030年には1000億円の売上高を計画しています。我々が経験したことのない未知の領域へ挑戦していく中で、この部分の見直しは必須だと思っていました。 

グループ各社も個々に見ていくと、元々それぞれはいわゆる中小企業。共通のフィロソフィーのもとに集っているが、それぞれに社風も制度も違う会社の寄せ集めとも言えます。創業から30年や40年、50年と経っている企業がグループに加わっていただくことも多いです。 

評価制度や給与体系といった各種人事制度の耐久年数も限界にきていることも多く、弊社の重要な経営課題のひとつでした。 

社員が自ら考え、自ら伝える機会を創り出せた

ーー協働日本との取り組みで重視していたポイントを教えてください。 

方志:重要な課題に対してじっくりと向き合いたいという気持ちがあった一方で、事業が多角化していく中で常に人手不足。人事制度改定には、最短で取り組みたいとお伝えしました。 

時間が豊富にあれば我々も一から試行錯誤していくのでもいいのですが、そうも言っていられません。 

協働日本さんには、人事制度について豊富な知識があって、実際に企業の中で人事制度設計に取り組んだ経験の協働プロの方をアサインしていただきました。 

そもそも何から取り組めばいいかを悩んでいたので、しっかりとした型に沿って検討工程を組んでくださり、とても助かりました。さっそく経験豊富なプロの力を借りた甲斐がありました。 

課題へのアプローチにも、私たちが気づかなかった様々な視点を盛り込んでくださいました。 

そのひとつが「社員インタビュー」。今の人事制度についてどう思うか、社員に対して協働プロの皆さんがインタビューをしてくださいました。 

ある意味で外部の方だからこそ、現場の社員から率直な声を拾っていただき、現場に実はこんな負担がかかっていたとか、こんな苦労があった、といった発見も多く得られました。おかげさまで、本社の人事部門で考えていた想定と、実際の現場とのギャップをだいぶ埋めることができました。 

ーーなるほど。お二人は、伴走の成果をどう感じられていますか? 

濵田:とても満足しています。協働日本さんとチームでプロジェクトに取り組んでいる社員からは、グループ各社の状況が個々に異なる中でも活用できる、素晴らしい人事評価制度の案が協働から生み出せたと聞いています。 

方志:給与の仕組みや評価の仕組みがほぼ出来上がりました。年内には社内向けに説明会を実施する予定です。 

これによって働き方はどう変わるのか、何が目的の制度改定なのか、改定後の人事制度を社員に対して説明をしなくてはならない管理部門の人間にとっても、大仕事となります。結果としてそれ自体も社員の成長に繋がっています。 

協働日本代表の村松さんと話した際にも、伴走の最後には伴走相手が自律的に考え行動することが大事だと語っておられましたが、まさにその視点が他社と違うところですね。 

伴走という形をとったことで社員が自ら考え、自ら伝える機会を作れたのは、継続性の観点からもとても良かったと思いますし、仮にコンサルに任せきりだったら得られなかった成果だと思います。 

ここから来年の春にかけて各事業部のリーダーともディスカッションしながら、完成させていく流れなのですが、2024年4月には運用をスタートできそうです。 

自分たちで考え抜いた結果の選択肢だから、自分の言葉で語ることができる 

ーー続いて、情報システム部次長の梶原さんにも伺います。社内人事制度の改定以外にも、協働日本と取り組んでいるプロジェクトがあると伺っております。またその背景も教えていただけますか? 

梶原宏二氏(以下、梶原):人事制度改定と並行して、ITとEC分野についても協働日本さんに依頼し、さらに2つのプロジェクトが発足しました。 

1つ目は、社内コミュニケーションツールの選定と導入に関するプロジェクトです。 

人事制度改定とは別の協働プロをアサインしていただき、弊社の該当部門社員でチームを組み、最適なツールの選定と、ひいてはワークスタイルの検討を議論してきました。 

出張先やリモート先での仕事環境の整備も今後ますます重要になる中で、社内コミュニケーションの見直しはまさに今後の生産性を左右する重要な課題のひとつでした。 

ーー先ほど濵田会長がおっしゃられたように、M&Aを通じて多くの企業がグループ入りする中で、システムの統一、特にコミュニケーションツールの選択は重要な課題になってきそうですね。 

濵田:そうですね。ちょうど九州の地元企業の創業社長が30代の頃に作られた会社が、60から70歳ぐらいになられた今、後継者不在ということでオーリックにグループ入りするケースも増えてきました。 

グループ内の連携を強化し、コミュニケーションを円滑にして、仕事を見える化していかないと、グループに加わったあとの相乗効果も出にくくなってしまう。 

連携を進めやすくするためにも、コミュニケーションツールはもとより、ウェブデザインをはじめ、会社の情報管理システム全般についても、同時並行で進めて行く必要があるなと再認識したところです。 

まずはその一歩として、全社のコミュニケーションシステムのアップデートと統一を指示していました。 

梶原:グループ各社で横断的に活用できるコミュニケーションツールを模索したいと思い、色々な情報を集めていましたが、何を基準に選択し業務をデザインすべきか途方にくれる部分もあり、IT企業に勤める協働プロの視点やアドバイスは非常にありがたいものでした。 

協働プロのお一人、NECソリューションイノベータにお勤めの横町さんに週1回伴走して頂く形をとって、チームで議論しています。 

これまで使っていた社内のポータルサイトの不満点や改善ポイントを整理し、新たに、Microsoftの365マイクロソフト365を中心としたコミュニケーションシステムに移行することにしました。 

全社導入にあたってのいくつか課題も整理し、いま運用をテストしているところです。これも2024年4月1日付で本格導入をスタートしていく予定です。

梶原 宏二氏 
ーーこの課題に、協働日本とチームを組んで取り組んだことのメリットはありましたか? 

梶原:進め方に関して、いわゆるコンサルに任せきりで決めてもらうという形ではなく、ワンチームで検討できたことも良かったですね。当社の現状をちゃんと理解してくださり、大手上場企業で勤めている経験や知見も生かしてくださっているおかげで、プロジェクトも着実に前進していきました。 

お互い毎週キャッチボールをさせていただき、実際に様々な導入事例を紹介してもらいました。 

協働プロの横町さんからしたら、オーリックさんぐらいの企業であればこれでいきましょう、と一気に決めてしまうことは正直、簡単だったと思うんです。 

でも横町さんの進め方は違っていて、いくつもの選択肢をひとつひとつメリットとデメリットを比較してくださり、毎週検討すべきテーマを宿題として提示してくれるなど、私たちがひとつひとつ考えて腹落ちできる形で議論を進めてくださいました。 

最終的に会長に報告をさせていただいて決裁をいただいたのですが、自分たちで考え抜いた結果の選択肢なので、メンバーはみな自信を持って報告することが出来ますよね。 

強みを活かした「差別化戦略」に伴走 

ーーあらためて方志さんにもお伺いいたします。EC分野に関するもう1つのプロジェクトについてもお話を伺えますか? 

方志: 我々は九州の小さな酒蔵や食品生産者とも多数お付き合いさせていただいています。全国的に知名度はなくとも、素晴らしい銘品が多いのです。十数年前から通販事業部にて楽天等のECモールに出店し、全国のお客様にお届けしてきました。 

豊富な取扱いアイテムを活かして、もっと情報発信や面白い施策をしたかったものの、何から取り組めばよいか迷ってしまっていました。 

やったほうがいいよね、ということがたくさんある中で何に注力して何を成果とするのか。具体的なKPIを設定して毎週・毎月追いかけていく仕組みを作っていく必要がありました。 

そこで、協働日本からマーケティング・宣伝のプロである相川さんに加わっていただき、目標達成のために根拠のあるKPI設定をサポートしてもらうことで、再現性のある勝ち筋を見つけていくための戦略づくりに集中した議論が行えています。 

ーーアイテム数以外の勝負、たとえばどんなアイディアがチームから生まれたのでしょうか? 

方志:弊社でECサイトの各商品カテゴリーを担当するECのカテゴリーマネージャーは4名いるのですが、それぞれがウィスキーや焼酎、ワイン、そして食品のプロです。 

彼らの知見や生産者とのつながりを活かした情報発信をしていこうという話になっており、たとえば、好みの焼酎とめぐりあえるような焼酎相性診断チャートを作成したり、noteで焼酎うんちくを焼酎アドバイザーの目線で語る企画を実施したり。 

目利きには自信のある、お酒のプロであるオーリックの強みを活かした差別化戦略を議論中です。 

時代のニーズに合わせて、変化していく 

ーーここまでのお話を伺う中でも、協働日本を通じて複業人材と共に、様々な課題の解決に取り組んでいる姿が見えてきました。 

濵田:私は実家が焼酎メーカーでその営業を行っている中で、当時はまだ珍しかった、酒のディスカウントストア業態を知りました。 

ディスカウント業態への参入に大きな可能性を感じた私は独立して、九州各地に拠点を設けることができるところまで事業を大きくすることが出来ました。 

2003年に酒販免許が完全自由化され、酒販業界が大きく変化していく中で、いち早くその変化に対応し逆境を乗り越えることができたのは幸運でした。 

その後も飲食店に酒類を配達するクイックデリバリーの事業など、時代のニーズにあわせて、当時の「酒のキンコー」から現オーリックへ業態を変化させてきました。 

社名の変更も大きな転機でした。年配の方からは、「酒のキンコー」の方がなじみがあるという声は今もいただきます。それでも、業態を大きく変えていく中で、それにふさわしいものへと社名を変えていくべきだと決断しました。 

ーー次々と時代のニーズに合わせて、変化していく。オーリック社の強さだと感じました。 

濵田:そういう意味では、私も今年4月1日に会長に就任し、濵田龍太郎が新しい社長に就任しました。これも一つの転機にしていきたいと思っています。 

「全社員の物心両面の幸福を実現し、お客様に最高の品質・サービスを提供し、企業価値を高め、社会の進歩発展に貢献する」という経営理念に合致するのであれば、これからも様々な業種や業態に挑戦する可能性は大いにあります。 

これまでも、様々な企業がM&Aを通じて弊社のグループに加わっていただきました。創業者が高齢化している企業の事業承継を引き受けて、九州経済を支えていくこともオーリックの一つの使命です。 

だからこそ、M&Aした企業の業績向上は重要な使命。業績を伸ばし、そこで働く従業員の給与賞与を上げていくことで、グループ入りしてよかったと思ってもらいたい。 

そのために、やらなければならないことが、まだまだたくさんある。我々だけでは解決に時間のかかる問題も多い。 

その一端を、協働日本さんにサポートしてもらえているのは大変心強く思っています。 

オーリック社 会長 濵田龍彦氏(右)と、弊社代表 村松知幸 (左)

さいごに 

ーー大変ありがたいお話を伺えました。最後に、協働日本との取り組みを感じていることや、複業人材との取り組みを経てお感じになったことなどをお伺いできますでしょうか。 

方志:協働日本さんと取り組みを始めてから、原則リモートの打合せでありながら、わざわざ鹿児島まで時折訪問してくださったり、社風や実態を理解しようと努めてくださる姿勢が私はとても嬉しかったです。  

過去、コンサルティング会社の方に依頼しても、考え方がうまくフィットしなかった事例もありましたが、協働日本の皆さまは弊社の身の丈にあった実践的な提言をしてくださるところが大変有難いです。 

協働日本さんは「伴走」という形を大事にされていると伺っていますが、まさに伴走者として寄り添ってくださっていると実感しています。  

また協働日本さんとお付き合いする以前にも、実はフリーランスのリモートワーカーさんを活用する案もありましたが、その時はマネジメントの点で不安がありました。 

その点、協働日本から参加する協働プロのみなさんは、厳選されたプロの方であり、プロマネも立ててくださるので安心してお付き合いができました。弊社から依頼していた3つのプロジェクト間でも情報共有してくださっていたようで、コミュニケーションがとてもスムーズでした。 

こうした複業人材との取り組みは今後地域の企業に広がっていくといいですね。 

社内に新しい風を吹かせてくれる、新しい視点を持った、地方に数少ない高度プロフェッショナル人材の力を借りることはとても魅力的ですが、雇用しようとすると、様々なリスクがあります。 

その点で、協働日本さんのようなスタイルは、ちょうどよい形だったと思います。 

濵田:協働日本さんの取り組みは、日本中だけでなく、いずれ海外にもきっと広がっていくのではないかと期待しています。 

同じような課題に直面している全国の地域企業は数多くいらっしゃると思います。鹿児島県をはじめ、どんどん成功事例を生み出して、発信していただければと思います。 

協働日本さんにはぜひ頑張っていただきたいと思います。 

ーー本日のインタビューは以上とさせていただきます。貴重なお話に加えて、弊社へのエールをいただきましてありがとうございました。


株式会社オーリック 代表取締役会長  
濵田 龍彦  
Ryuhiko Hamada

1956年生まれ、鹿児島県いちき串木野市出身。1978年、家業である明治元年創業の焼酎メーカー・濵田酒造に入社。1989年に鹿児島県内初の酒類ディスカウント店「酒のキンコー(のちのオーリック)」をスタート。2023年4月、㈱オーリック代表取締役会長に就任。  

株式会社オーリック グループ管理本部 経営管理部  
方志 貴子
Takako Hoshi  

中央大学法学部卒業後、大手食品酒類メーカーに入社し、約10年間勤務。主に情報システム開発・保守、営業企画、損益管理・財務会計業務等に従事。2022年4月、㈱オーリック入社。「持続的に成長する組織づくり」のため、経営理念、人事制度の改定、決算品質強化、オフィスリノベーションなどを推進。  

株式会社オーリック グループ管理本部 情報システム部次長  
梶原 宏二
Koji Kajihara 

2001年、オーリックの前身の「酒のキンコー」にて店舗担当として入社。2004年、営業として飲食店へお酒の提案を行う。熊本エリア支店長を経て、2015年より経営管理部次長として酒類事業、不動産建設事業の経営企画を担当。2023年4月より情報システム部次長としてDX化およびWEBマーケティングを推進。  

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今回は、協働日本で事業開発のプロとして地域企業の伴走支援を行う根崎 洋充(ねざき ひろみつ)氏のインタビューをお届けします。

現在、製造業の会社にて新規事業開発を担当されている根崎氏。自らの経験を活かし、もっと多くの「人の役に立ちたい」という想いを持ち、協働日本へジョインされました。現在では、協働日本の協働プロとして日々、複数の地域企業の伴走支援に尽力されています。

根崎氏の協働を通じて支援先の生まれた変化やご自身の変化だけでなく、今後実現していきたいことなどを語っていただきました。

(取材・文=郡司弘明・山根好子)

想いに共感し、自ら飛び込んだ協働プロへの道。

ーー本日はよろしくお願いいたします。まずは、根崎さんの普段のお仕事やこれまでのキャリアについて教えてください。

根崎 洋充氏(以下、根崎):はい、よろしくお願いします。

現在は、電子部品などを取り扱う大手製造業の新規事業企画部門で、新規事業企画の立案や推進、研究開発部門の企画サポートなどを行う部署を担当しています。
新規事業に関わる業務全般を担当しているので、経験、知見の有無に関わらず必要と思うことは何でも挑戦しています。

元々、新卒で入社した建設コンサルティング業の会社では設計を行っていました。
その後、転職して今の会社に入ってからは法人営業、マーケティング、そして現在の新規事業と色んな職種を経験してきて現在に至ります。

ーー色んな職種を経験されているのは、根崎さんの希望だったのでしょうか?

根崎:そうです。大学は理系だったので、設計やエンジニアをやりたかったんですが、実際にやってみたらあまり適性がなかった(笑)。

それで、もう少し広く世の中の技術に触れてみたいと思うようになって、現在の製造業の会社に転職をしたんです。

そこでまずは法人営業をして、お客様の意見を色々聞く経験から今度はマーケティングもやってみたいなと思い、今度は自分自身で新しい製品・サービス・スキームを作ってみたいなと思うようになって…という経緯です。

会社も私の希望に沿って異動を叶えてくれたので、その時その時の仕事の中で生まれた新たな興味でジョブチェンジをしてきました。

ーー根崎さんが協働プロとして協働日本に参画されたきっかけについて教えていただけますか?

根崎:少しびっくりされるかもしれませんが、協働日本のホームページを見て自身で問い合わせたのが始まりでした。

ーーHPからお問い合わせをいただいたのがきっかけなんですね!どのようにして協働日本のHPにたどり着いたのでしょうか。

根崎:ある日、部下から「この会社、根崎さんに合うんじゃないですか?」と教えてもらったことで知りました。

複業人材が地域企業に伴走しながら、一緒に挑戦をして成果を出し、地方創生にも貢献していくという協働日本の取り組みが、私に合っているのではないかと言われて、面白そうだと思いすぐ問い合わせました。
元々副業をやってみたいと話していたことや、「誰かのためになることをしたい」という貢献意識の強い私の性格を、部下は理解してくれていたんだと思います。

副業に興味はあったものの一歩を踏み出せないという状態だったので、 背中を押してもらったように感じました。

ーーなるほど。お問い合わせいただいてから、どのように協働プロとしての参画が決まったのでしょうか?

根崎:はい、問い合わせに対して代表の村松さんからご返信をいただいて直接お話ししたんです。

協働を通じて地域の企業の役に立ち、日本を元気に、人を元気にしたいという村松さんの想いにはとてもシンパシーを感じ、是非一緒に取り組んでみたいと思いました。

正直な話、製造業で培ってきた自身の経験で、どのように地域企業の方のお役に立てるかは未知数だったのですが、それでも一回踏み込んでみたいと思いました。面談後すぐに参画することを決めましたね。

言語化できるようになった想い、聞いている人もワクワクし出す、小さいけれど大きな変化。

ーー根崎さんはこれまで、協働日本のどのようなプロジェクトに参画されてきたのでしょうか?

根崎:これまでに3社のプロジェクトに関わってきました。

現在進行形でも携わっているのは株式会社ソミック石川さんという自動車の部品メーカーの会社と、ダイエー株式会社さんという板金加工の会社の2社ですね。

ソミック石川さんは、これまで自動車メーカーに直接卸していた自動車部品を、修理・メンテンスサービスなどのアフターマーケットでも販売していきたいというテーマで協働が進んでいます。

一方ダイエーさんでは、先方の白榮専務に伴走し、専務のビジョナリーな視点、これからの「製造業での働き方」について、その想いを実現するための取り組みを行っています。

ーーそれぞれ違うテーマですね。具体的なお取り組みの内容や状況もお聞きしても良いでしょうか?まずはソミック石川さんについて教えてください。

根崎:ソミック石川さんは、やりたいこと・テーマが明確だったので、「どう実現するか」に主眼を置いた対話が中心でした。

新規事業として、BtoB向けの販売しか行ってこなかったソミックさんのパーツを、修理・メンテンスサービスなどのアフターマーケット、つまりBtoCにもマーケットを広げていくというプロジェクト。

そのためにまずはマーケットを知り、誰にどうアプローチするかを順に考えていきました。

自分たちの作る自動車部品の品質がいいことは皆わかっているのですが、ではその価値をどう表現して、どう伝えるか?ということを深掘りしくところから始めました。

今はその価値を、こんな人に届けたらどうだろう?という新しいサプライチェーンのいくつかのパターンを探りながら参入の糸口を見つけていっているところです。

ーーなるほど。製造業を深く知る根崎さんだからこその視点や経験を活かせるプロジェクトですね。ダイエーさんについても教えてください。

根崎:専務が持っている自社の働き方についての強い想いを、一緒に言語化していきいました。頭の中にイメージはあるんだけれど、うまく言語化が出来ていなかったことで、周囲にうまく伝わらない状態でした。

我々協働日本と徹底的に対話を重ねたことで、プロジェクトに取り組む専務自身も、元々の想いややりたかったことがより明確になってきました。

最初は言葉にできていなかった想いが段々と言語化できるようになっていったことで、周りにもワクワク感が波及していき、今は想いを実現するためのパートナーとの交渉といった具体的な段階まで取り組みが進んでいます。

ーー事業を実現するためのお手伝いだけでなく、マネジメントの胸の中にある想いを言語化するお手伝いも出来るのは、協働日本の提供価値のひとつですね。

根崎:まさにそうですね。ダイエーさんの場合、専務が元々持っていたビジョナリーな視点が言語化されたことで、話を聞いている私たちや、おそらく部下の皆さんも、ワクワクを感じています。

元々熱い想いをお持ちの方こそ、きちんと言葉に想いを乗せて伝えられるようになれば、どんどんと想いが伝播して巻き込める人が増えていきます。

マネジメント層の方にとって、一人で想いを言語化することはけっこう大変な作業です。上司や部下といった社内の関係性の外にいる、我々のような壁打ち相手がお手伝いできることはたくさんあるように思いますね。

同じような悩みを持つ経営者やマネジメントの方はぜひ、そんな壁打ち相手としてもぜひ、協働日本を活用してほしいですね。

協働を経てメンバーの主体性がどんどん強まっていくのを感じた

ーー協働を通じて、パートナー企業の変化を感じたエピソードなどお聞きできますか?

根崎:新規事業に取り組んでいるソミックさんのプロジェクトのエピソードです。新規事業の立ち上げに向けてマーケット調査を行ったところ、参入しようとしているマーケットの参入障壁の高さが判明しました。

簡単には越えられない壁を前に、はじめは一同、少し尻込みしていたんですが、主要メンバーの一人が毎週、修理業者やカーメンテナンスの会社の方など色んな人と話をして意見を持ってきてくれるようになったんです。
そこから、ダメだと思っていたことをクリアできるアイディアが生まれたり、そういう考え方もあるんだという気付きになったりと、次々と打ち手が見えるようになってきました。

自ら動いて色んな情報を拾ってくきたことが、解決の糸口に繋がったことで、メンバーの主体性がどんどん強まっていくのを感じました。

ーー協働を通じて、支援先の企業の社員が変化する。まさに協働日本が実現したい形ですね。

根崎:まさに、そうですよね。

業界構造を理解するために、車業界全体の既存プレイヤーの人と話をしようとチームで決めて、実際に色んな方と話をしました。

その中で、意外なところに見込み顧客を見つけたり、議論を通じて、今の業界構造の中でもなんとか事業を実現するアイディアが生まれました。
そうして、事業の形が徐々に固まっていく中で、ソミックさんの社員の方が自発的に「こんなところにもいって話を聞いてみたらいいかもしれない」と、どんどん色々なところに足を運び出しました。

主体性を持って積極的に動き、たくさんの情報を収集したことで、高い障壁を越えていける糸口を見つけられた経験は、伴走していた私自身にとっても、ソミック石川さんにとっても大きな気づきと自信を得られました。

伴走を通じて生まれた、自身の3つの変化

ーー協働日本での活動を通じて、根崎さんご自身の変化を感じることはありますか?

根崎:実感している変化は3つあります。

まずはシンプルに、自分に「自信」が持てるようになったこと。

一つの会社への所属が長くなると、果たして自分は世の中に役に立てているのかとか、自分の力は他でも通用するのかみたいな葛藤を感じることがあったんですが、協働日本で地域企業に伴走支援をしていく中で、多少なりとも私の経験やスキルが誰かの役に立つんだという気付きが自信に繋がりました。

そしてもう一つは、「視点」の獲得です。

大きな会社に所属しているとどうしても会社の一機能としての視点のみで、サービスや製品のことを捉えて考えてしまうのですが、経営者やそれに近い方々と話していると、視点が全然違って会社全体を見ていることに気付いたんです。

その違いに気づいた時、「こういう立場で、こういう物の見方をしてるから、こういう発言なんや」って私の中で理解が深まってきました。自然と私自身も、視点を変えて物を見て、話すようになってきたんじゃないかと思っています。

そして3つ目の大きな変化が、「挑戦欲」が湧き上がってきたこと。

本業で取り組んでいる、自社の新規事業開発に更に情熱を持って挑戦したいと思うようになりました。成功ばかりではないのが新規事業です。失敗続きの中で、うまくいかないことも多く、モチベーションを保つのが大変です。

でも協働日本で行っている伴走支援を通じて、逆に伴走先の方々の熱意が伝播したというか…もう一回、本気でチャレンジしてみたいなという意欲が湧いてきています。

ーー熱意の伝播、いいですね。地域企業の皆さんはもちろん、一緒にチームを組んでいる協働プロにも刺激を受けたり、新鮮だなと思うことはありますか?

根崎:たくさんありますね。

話をしている中で、会社ごとに考え方やカルチャーが違うんだなと感じるところと、逆に、新規事業やってる時の悩みって一緒なんだなと感じるところ、両方あります。
その違いの部分も、良い・悪いではなくて純粋に新鮮で楽しいんです。新しいものに触れているという実感もありますし。

初めて一緒に組んだ他の協働プロが、向縄一太さんと藤村昌平さんだったんですが、二人ともマーケットや事業開発の経験豊かな、まさにプロフェッショナル。とても刺激を受けました。
初めの頃、限られた打ち合わせ時間の中で「自分も彼らに負けずに何か爪痕を残そう」と半分意地になって、色々考えたり発言をしていたほど(笑)。

でも本当に、普段では一緒に仕事をすることができないようなメンバーと共に、常に新しい課題やプロジェクトに取り組める面白さやありがたさを感じています。

ーー協働を通じて今後実現していきたいことはありますか?

根崎:身近な人、関わった人に良い影響を与えられたらいいなと思っています。

協働した人に良い影響や前向きな想いが伝わり、そこからさらに次の人に伝わっていったらいいなと思っています。影響の輪が広がって行けば、多くの人がより良くなることにつながるので。

ーー根崎さんの、「誰かのために」という想いがとても印象的なのですが、そのように考えるようになったきっかけはあるんでしょうか。

根崎:性格的なものかもしれませんが…でも貢献意識みたいなものは、法人営業時代に「一緒に仕事をしてよかった」「お前に頼んだら色々考えてくれるからありがたい」などと、お客様と営業マンという関係性を超えて繋がる人から感謝の言葉をもらえることが大きな喜びだったんです。

そういった体験が根底にあるかもしれないですね。貢献したいし、いい影響を与えたい、と強く思うようになった気がします。

頑張りたい人と応援したい人を繋ぐワークシェアコミュニティ

ーーここまでインタビューありがとうございました。インタビュー終盤でずばりお聞きします。副業・複業先として協働日本を選んでみてよかったと思われますか?

根崎:はい。改めて、協働日本を通じて、協働プロとしての一歩を踏み出してみてよかったなと感じています。

ソミック石川さんのエピソードと同じで、行動を起こすと何かが返ってくるわけですよね。協働日本での活動を始めて、地域の企業の皆さん、そして協働プロ…とどんどんつながりが増えていきました。

繋がりを増やすために始めたわけではないけれど、その繋がりがまた新しい物を産むかもしれないし、また一緒に仕事したいと思ってもらえるだけでも嬉しい。

もし副業をやってみたいなと思っている方がいたら、考えるより先に踏み出してみたらどうですか?と伝えたいなと思います。
だからあれこれ考えるよりもまず一度挑戦してみて、一所懸命取り組んでみたら、そこから生まれるものや得るものもあるんじゃないかなと思います。

ーー最後に、協働日本が今後どうなっていくと思われるか、協働日本へのエールも込めてメッセージをお願いします。

根崎:協働日本は、都市部と地方という垣根ではなく、頑張りたい人とそれを少しでも応援したい人という枠組みの中で、ワークシェアをするようなコミュニティだと思っています。

これから先、こんなコミュニティが少しずつ広がっていくのではないか?と感じますね。

そんなコミュニティの中での繋がりによって、スキルだけではなく想いもどんどん伝播していく。小さな波紋が大きな波になるんじゃないかと期待していますし、私もその一助になりたいなと思っています。

ーー本日はインタビューへのご協力、ありがとうございました。

根崎:ありがとうございました!今後ともよろしくお願いいたします。

根崎 洋充 / Hiromitsu Nezaki

大手製造業 新規事業部門 マネージャー

大学卒業後、建設コンサルタント業界にて設計職を経て、現在の大手製造業の会社に転職。現在の会社に入社後は、法人営業部門、マーケティング部門で国内顧客、新規顧客向けのビジネス開拓業務に従事。

その後、現在の新規事業部門に異動。現在は、新規事業企画の立案や推進、研究開発部門の企画サポートなどを行う部署を担当。

日々、企業内での新規事業創出として、将来の大きな商売の開拓につながることであれば、組織風土から新規事業テーマ全般にチャレンジしつづけています。

根崎 洋充氏も参画する協働日本事業については こちら

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