VOICE:協働日本 浅井南氏 -「地方だから」を魅力に変える!チームで実現する協働の形-

協働日本で活躍するプロフェッショナル達に事業に対する想いを聞くインタビュー企画、名付けて「VOICE」。

今回は、協働日本にてWebマーケティング、特にネットショップやECサイトの運営支援を通じた支援を専門にしている浅井南氏です。

ベンチャー企業にてWebデザイナー・ディレクター・ECサービス事業部長を務め、鹿児島県を拠点にして、EC・Webサイト制作・支援をこれまで10年以上手掛けてきた浅井氏。現在は、よろず支援拠点コーディネーターとしての活動のほか、鹿児島市ICT推進委員としても活躍しています。

協働日本を通じた取り組みと、取り組みの中から生まれた変化について、これまでのキャリアの軌跡や、協働日本の今後の可能性にも触れつつ語りました。

(取材・文=郡司弘明)

地域の魅力を発信していくことにやりがいを感じています

――本日はよろしくお願いします。浅井さんは現在、協働日本所属のWebマーケッターとして、パートナー企業様のECサイトやWebサイトの改善などを通じて複数のプロジェクトに参画されています。まずは、協働プロとしての活動以外のお仕事について教えてください。

浅井南氏(以下、浅井):よろしくお願いします。数年前に独立して、いまはフリーランスとして活動しており、ECサイトの制作やデザイン、企業の公式サイト運営、SNSの発信などをご支援しております。

企業や個人のお客様から「売り上げを伸ばしたい」や、「サイトをどうやって構築したらよいかわからない」などといったご相談をいただいているほか、最近ではSNSを活用した売り上げアップ施策などでお声がけいただく機会も増えてきました。

楽天市場に出店している方や、出店を検討されている方へのご支援も数多く携わらせていただいており、RPP(楽天プロモーションプラットフォーム)などの広告運用もご支援しています。

――いまお住いの鹿児島県では、「よろず支援拠点」の相談員としても活動されていらっしゃるとお聞きしました。

浅井:はい。「よろず支援拠点」は中小企業や小規模事業者様からの経営上の様々なご相談に対応するために国が全国に設置した無料の相談所で、私は鹿児島県のよろず支援拠点でWebやEC、SNSの専門家という立場から事業者様の相談にも乗っています。

最近では、自治体や商工会議所の方からセミナー登壇をご依頼いただくことも増えてきました。中小企業の経営者の方の中には「WebやECの活用を勉強したいと思っているけど、つまずいてしまった・・」「何から始めればよいのか分からない」といった方も多くいらっしゃいます。そういった方々のご支援を通じて、地域の魅力を発信していくことに日々やりがいを感じています。

鹿児島にUターンして気が付いた、本当にやりたかった仕事

――なるほど。これまでのキャリアはずっとWebマーケティング等に関連するお仕事を続けてこられたのでしょうか。

浅井:それに関してはちょっと違っていて。大学卒業後に地元の鹿児島を出て上京し、はじめて就職した先は、エアコンメーカーの修理を主に取り扱う部署。そこで修理サービスを支援するような事務職に就いていました。当時新卒だったこともあり、先輩方にはお仕事・プライベート問わず、大変お世話になりました。ここでの経験が、人生の基礎となった事は間違いありません。

その後数年たったタイミングで、無性に大好きな地元、鹿児島県にUターンしたくなってしまって。仕事も決まらないまま、とりあえず、と地元に帰ってきてしまいました(笑)

――なんと!少し意外でした。そうして鹿児島に戻ってこられてからはどんな活動をされていたのですか。

浅井:企業勤めで忙しく色々な仕事を経験させていただいた分、自由な時間が欲しくなって、自由を謳歌させていただいておりました。

そのうちに、これから自分は何を仕事にしていきたいか考えたとき、地元鹿児島でものづくりがしたいと思ったんです。趣味でこれまで、アプリやWebサイトを作っていたのですが、これに本気で取り組んで仕事にしてみようと思い立ちました。

そんな時、前職のエムコミューン(mcommune)の社長と出会い、一緒に仕事をすることになりました。知識や経験のない私でしたが、そこで1からデザインやコーディングを学ばせていただきました。一緒に働くスタッフも増え、チームでの制作ができるようになってからはディレクション側での経験も積ませていただきました。

エムコミューンに所属していた10年間。気付けば手がけたHPやご支援先は250社近くになっていました。多くの経験を積む中で、HPの運用や運営、Webショップを成長させるノウハウ、商品開発などをご支援出来るようになっていました。

――浅井さんは現在、フリーランスとして活動されていますよね。こういった経験が今の仕事の背景にあったのですね。

浅井:はい!前職での仕事を10年目を一区切りにして、独立しました。いまはフリーランスとして活動をしていますが、上京して働いていた経験も、前職で学んだ知識や得られた経験もすべて今の仕事の糧になっています。

一度地元を離れて仕事をしたことも、地域の魅力を再発見できるいい機会になりました。

私がしたかった支援のスタイルはこれだ!と思った

――浅井さんが協働日本で共に取り組むことになったきっかけを教えてください。

浅井:鹿児島でセミナーに登壇されていた、協働日本代表の村松さんと偶然お会いしたことがきっかけでした。

私は日々WEBマーケティングの仕事をする中で、様々な企業の取り組みにアンテナを張っていますが、石川県金沢市にある「四十萬谷本舗」さんが発信している商品開発のストーリーや、複業人材とのプロジェクトを地域企業の取り組み例の記事で目にして、とてもユニークな事例だと思って、個人的に関心を持って追いかけていたんです。

たまたま鹿児島に来られていた村松さんのセミナーの中で紹介されていた四十萬谷本舗さんの事例を聞いていてびっくりしました。追いかけていた取り組み事例が、実は協働日本のみなさんとのものだったのです。

私自身も、よろず支援拠点の活動もする中で支援力を更に高めていきたいという思いがあったこともあり、一緒に取り組ませていただきたいとお声がけしました。

――それは驚きの出会いでしたね。浅井さんのイメージする地域企業支援の取り組みと、協働日本が大切にしている「協働」型の取り組み、重なる部分が大きかったのでしょうか。

浅井:お話を伺って、私がしたかった支援のスタイルはこれだ!と思いました。

私自身は個人で企業を支援することも多いのですが、一方の協働日本はパートナー企業に対して、原則、複数名の協働プロで構成されるチームで支援にあたります。

チームで支援できるという体制は、パートナー企業にとっては様々な知見や経験をベースにした伴走型支援が得られるメリットがあります。企業を支援するフェーズによっては、各協働プロメンバーの強みを活かして最適なチームメンバーを編成しながらサポートすることもでき、これによって連続的に中長期的な伴走が可能になります。

プロジェクト単位でのスポット型の支援ではどうしても、短期的な取り組みになることも多く、双方にとっても本質的な経営課題に向き合うことが難しくなります。

――チーム単位でパートナー企業に向き合うことで、協働プロにとっても学びや気付きが多くありそうですね。

浅井:その通りです。チームでの支援は私自身も学びが多く、自分の専門性とは異なる専門性を持ったメンバーとの協働は刺激も多いです。

普段はWebマーケティングを中心にした専門分野での支援が中心なので、他の協働プロたちの、経営や営業の視点からの提案を聞けることで自分自身の視野も広がっています。

取り組み先の1社「丸七製茶」さまの商品「CRAFT BREW TEA」シリーズ

ECの世界では、個人や地域の個性が大きな魅力になる

――地域企業や地方との取り組みの中で、浅井さんが大切にしている想いなどをお聞かせください。

浅井:様々な企業さまをご支援させていただく中で、地域に根ざした「ローカル」な企業や商品を活用する文脈ほどECとの相性は良いと確信しました。

前職のエムコミューン時代に、鹿児島で焼酎を売っていた酒屋さんをご支援させていただく機会がありました。地域へのお酒の配達が収益の柱だった酒屋さんでしたが、店主がご高齢となり、以前のような頻度や量での配達が難しくなっていました。

そこでECサイトの活用に思い切って舵をきられた店主と、二人三脚で販路の拡大に取り組ませて頂きました。Amazonや楽天などのショッピングモールの活用方法を貪欲に学ばれて、ネットでの売上を伸ばすことに成功。数年後には配達中心だった頃よりも年商を大きく伸ばすことができました。

商品の選定や説明など、その店主や鹿児島という地域の個性をうまく取り込んだことで成功した事例です。地域でのセミナーでもよくお話させていただくのですが、ECの世界では年齢や地方であることがハンデになるどころか、魅力になるのだと実感しています。

始めるときには学ぶぞ!という強い気持ちが必要かもしれませんが、一度ノウハウをしっかり体内化できれば、地域に根ざしてビジネスをしている事自体が、ECの世界ではとても大きな魅力に変えられます。

――そういった経験があったことが、いまの浅井さんの活動に繋がっているんですね。

浅井:ECサイトの運用については本当に、正しい情報を持っているかどうかで結果が変わってしまうことも多いんです。地域の魅力をどんどん発信していくためにも、地方の企業がそういったノウハウを得られる機会をどんどん作っていきたいと思っています。

そういった思いを叶える上でも、協働日本との取り組みにとても意義を感じています。

さらに、地域企業がECサイトをはじめとする様々なITをもっと活用すると、クリエイティブの需要が地域に生まれると思っています。デザインやマーケティングなど、その地域や企業をよく知る人が身近にいれば、企業も安心して仕事を任せることができるので。

クリエイティブやWebマーケの仕事は働く場所を選びませんから、地方でその土地の企業と一緒に仕事をしたいと思うクリエイターが増えて、地方から人が減っていくことを食い止めることに繋がれば良いなと思っています。

経営者視点での意思決定にも関われることが大きなやりがいに

――浅井さんが大切にしている想いがよく分かりました。現在、協働日本で複数のプロジェクトに関わりながらどんなことを感じていますか。

浅井:協働日本がお取り組みを進めている企業は、歴史ある老舗企業や、新しく事業を転換していこうとチャレンジしている企業などが多く、それだけに課題の整理や方向性を定める議論の難易度は高いですが、どこの企業も本音をぶつけてくださっていることで建設的な議論が出来ています。

企業側のやる気スイッチにも刺激されて、より高い熱量で向き合いたい!とおもって臨んでいます。

経営視点での方針を話し合う日もあれば、キャンペーン施策のひとつひとつのクリエイティブをブラッシュアップしていくような日もあります。全体を俯瞰しながら、多くの関係者とプロジェクトを進めています。経営者視点での意思決定にも関わらせていただくことも多く、協働日本の取り組みはどれも本当に刺激的です。

同じ想いや熱量を持った人々とともに働けることが大きな価値

――最後の質問です。これから協働日本はどうなっていくと思いますか?

浅井:まさに今、メタバースといった世界が注目されていることに現れているように、今後はより一層、個々人が場所や時間を問わない働き方を選択する時代になってきていると思います。その変化の中で、同じ想いや熱量を持った人々とともに働ける、繋がれるということは今後より価値を増していくように思います。

チームで地域企業の課題解決に伴走する協働日本は、そんな働き方の先駆けになっていくと思っています。

実際に活動していく中で得られたものは沢山あります。異業種の方との協働は自分の知識や経験を広げてくれますし、共に取り組む協働プロの皆さんの提案や分析もいつも刺激になっています。

パートナー企業の皆さんの事業をご支援させていただく中で、私自身もやれることが増えましたし、成長へのモチベーションが高まりました。まだまだやれることはたくさんありますね!

――インタビューへのご協力ありがとうございました。

浅井:ありがとうございます!協働日本の伴走型支援にご関心ある地域企業様だけじゃなく、協働プロとしてどんどん現場に赴き、自分を成長させたい方もぜひお声がけください。一緒に協働の取り組みを大きくしていきましょう!

浅井 南 Minami Asai

フリーランスマーケター

mcommune,LLC.にて、Webデザイナー・ディレクター・ECサービス事業部長を務めた後、フリーランスとして独立(わるだくみ)。

鹿児島県を拠点に、EC・Webサイト制作・支援を10年以上手掛ける。
楽天・Yahoo!ショッピングなどのモールはもちろん、自社EC・WordPress・インスタグラム等、数多くの実績を糧に、幅広く制作・支援を手掛ける。

現在、よろず支援拠点コーディネーター、鹿児島市ICT推進委員としても活動中。

専門領域
Webマーケティング、ネットショップ/EC運営支援・販売支援、ECコンサルティング、Webデザイン、SNS/PR/広告運用支援

人生のWHY
あらゆる人に、Webのチカラ・挑戦を。

浅井南氏も参画する、協働日本事業については こちら

VOICE:協働日本 小谷 克秀氏 -協働を通じて地域企業の「新規事業」に向き合う-

協働日本で活躍するプロに事業に対する想いを聞くインタビュー企画、名付けて「VOICE」。

今回は、協働日本にて事業開発領域を中心に企業支援を行っている小谷克秀氏です。

パソナや楽天、それぞれの成長企業の変革期に参画し、その後エン・ジャパンでも数々の新規事業立ち上げを経験。新規事業開発・事業企画のプロフェッショナルとして多方面で活躍する小谷氏。

現在は株式会社プロゴスの営業本部マーケティング営業部部長として、英語スピーキング能力を測定するシステム「PROGOS」の普及に取り組んでいます。

そんな小谷氏がいま、協働日本を通じて、地域企業との取り組みを進めている背景とは?どんな取り組みを通じて地域企業に変化を生み出しているのか。

これまでのキャリアの軌跡や、協働日本の今後の可能性にも触れつつ語りました。

(取材・文=郡司弘明)

自身のキャリアの主戦場はいつも「新規事業」だった

ーー本日はよろしくお願いします。小谷さんはこれまでも様々な企業において、新規事業開発や事業企画のプロとしてご活躍されてきました。今回新たな挑戦としてなぜ、協働日本で地域企業への事業支援に取り組むことを決めたのでしょうか。

小谷克秀氏(以下、小谷):よろしくお願いします。はじめのきっかけは、「金沢」というキーワードです。いま私が伴走支援で関わっているパートナー企業も、金沢に根ざした企業が中心です。

実は以前、金沢に住んでいたことがあり、それ以来、金沢のことはずっと第二の故郷のように感じています。協働日本代表の村松さんから、協働日本の最初の案件が金沢の老舗企業という話を聞いた際、まずそこにご縁を感じました。

ーーなるほど。元々愛着のあった地域とのつながりを感じたことも大きかったんですね。

小谷:それに加えて「新規事業開発」というキーワードも協働日本参画のきっかけになりました。

ご相談頂く地域企業では、環境変化の中で新しい事業づくりや事業変革に早期に挑戦したいと考えながらも、自社組織だけで実現するのは難しいと考えている会社が多く、自身のキャリアで培ってきた、いわば私の主戦場である「新規事業」を生み出す力や経験が活かせると感じたことも大きいです。

ーー小谷さんにとっては、新規事業開発がご自身のキャリアの主戦場とのことですが、それはどういった経験が背景にあるのでしょうか。

小谷:これまでのキャリアの中での転機は楽天時代に訪れました。当時は、楽天という会社に長く所属していたことで自分自身、楽天経済圏を中心にものを見ていた時期でもありました。様々な経験を積ませてもらっていましたが、新しい変化を求める気持ちも膨れ上がってきていました。

当時は様々なスタートアップ・ユニコーン企業が誕生していた時期で、まさに勃興期でした。そんな外部環境を目の当たりにし、世の中の新規事業創出の最前線で、様々な潮流を感じたいという気持ちから転職を決意し、エン・ジャパンの新規事業開発室へジョインしました。そこで、いくつもの新規事業の立ち上げに関わり、日々、多くの事業検証を行ってきました。その時の経験が、新規事業開発に対する造詣を深めてくれました。

さらに、1社目のパソナもそうですが、楽天やエン・ジャパンにも会社の変革期にジョインできたことがとても幸運だったと思います。新しい事業やサービスを生み出していく最前線での経験を、複数社で経験できたことはその後のキャリアにも大いに活きました。

今所属している株式会社プロゴスでは、「PROGOS」というサービスを通じてグローバルな人材と社会を創り出したいという強い想いと夢を持ち日々取り組んでいます。市場を切り開いていく新たな挑戦ですが、とてもやりがいを感じます。環境が変わっても私の主戦場はやはり、新規事業開発ですね。

これから、自身の経験を惜しみなくギブしていきたい

ーー小谷さんの新規事業開発に対する造詣の深さはそういった経験から来ているのですね。

小谷:そうですね。そして最近では、今までの経験や知識をギブする側に回りたいと考えるようになりました。

これまで各社でたくさんの経験を積ませてもらいましたから、今度はそれをギブしていく方向に、私自身関心が向いてきていました。そんなタイミングで、協働日本を通じた地域企業支援のお誘いをいただいたこともきっかけになりました。

ーー実際に地域の企業との取り組みをスタートしてみて、いま感じていることはありますか?

小谷:私はもともと神戸出身で、今でも地元とのつながりを大切にしています。さらに、ずっとアイスホッケーをやっていたこともあり、そのメンバーとの親交もとても大切にしています。例えば、後輩からキャリア相談などで頼られると嬉しい気持ちになります。

自分はきっとつながりや、愛着を感じたものに対しては、惜しみなくギブ出来るタイプなんでしょうね。第二の故郷、金沢での取り組みに私自身とてもやりがいを感じている背景もそういったところにあります。

協働日本を通じて、つながりや関係性が広がったことで、愛着ある地域や人々の輪も広がりました。今までの経験や知識をギブする側に回っていきたいと考えていた私にとって、惜しみなくギブしたいと思える相手が増えたことは、幸せなことだと思っています。

研修講師として参加者とともに地域企業の課題に向き合う

ーーなるほど。小谷さんが大切にしている価値観についてもよく分かりました。ご自身の強みを活かしてギブしていく活動の場として、協働日本に参画されているんですね。現在、協働日本で関わっているプロジェクトについてお聞かせください。

小谷:金沢で宿泊業を営んでいる(株)こみんぐるさんと共に、「WORKIT」という事業を協働日本が共同開発して推進しており、その中で金沢で2泊3日で行う合宿型研修のプログラムを共に企画・運営しています。私も実際に講師役として現地で合宿に伴走しています。

これは地域企業である(株)こみんぐるをハブにして、金沢の地元企業から経営者や幹部候補を集め、短期集中型で各社の経営課題に答えを出すというプログラムです。

このプログラムは、地域企業からの「経営幹部を早期に育成したい」「経営幹部の視野を広げて視座を高めたい」というニーズを元に設計しており、地域の様々な企業から幹部社員が参加頂くことはもちろん、そこには都市圏の大企業の若手メンバーも参加します。

ーー地元地域以外の人材もそこに加わるんですか。ぜひそのWORKITの合宿型研修プログラムについてお聞かせください。

小谷:この合宿型研修のユニークなところの一つは、金沢の地元企業の経営幹部だけでなく、そういった外部の人材が入った協働の場を生み出すことで、多様な視点から事業課題を捉えることができる点です。

プログラムではまず金沢の企業の経営幹部と、大企業の若手メンバーで複数のチームを構成します。2泊3日という限られた時間の中で、課題の深堀りからフィールドワークまでを徹底的に行います。

このプログラムに私が伴走して、最終提案に持っていくまでの軌道修正や示唆、フレームなどをお伝えしていきます。ここは一切の妥協なく、私も事業開発のプロとして時に厳しいフィードバックも行います。なぜなら、最終日の三日目には参加企業の経営者に対して経営や事業に関する提案を実際に行うからです。

短期集中型の非常にタフな研修ではありますが、若手のメンバーをこのプログラムへ派遣する大企業にとっても、人材育成の観点から大きなメリットを感じていただけています。

ーーそれはどういったものですか。

小谷:大企業で働いている社員は普段、経営者の目線で物事を判断する機会や、そもそも経営者の生の声を聞く機会自体あまりないと思います。

この「WORKIT」の合宿型研修では、リアルな経営者からリアルな経営の現場の話を聞くことが出来る。いわゆる教材型の研修とは質も濃密さも異なります。

合宿を終えると、参加している大企業の若手メンバーはみな疲れ切ってヘトヘトですが(笑) 事業開発に必要な足腰も鍛えられるほか、経営者に近い視座をみなさん獲得して帰っていきます。こういった経験は、普段の業務ではなかなか獲得できません。

本気で経営課題に向き合う研修は常に真剣勝負

ーー地元金沢の企業の経営幹部と、大企業の若手メンバーの混合チームで挑む研修、取り組んでいる間はどんな雰囲気なんでしょうか。

小谷:まさに真剣勝負という感じです。初日に、参加企業から経営課題を示されて、それに対する提案の方向性を探るのですが、いわゆる机上の空論や短絡的な提案では、すでに経営者の頭の中にあることを超えていけません。

2日目にはフィールドワークも組み込み、ひたすら現場の声やファクトを掴みに行く作業をしていただきます。前日に初めて会った他社メンバーとの混合チームですが、遠慮なんてしている余裕がないくらい時間との勝負です。

しかし、このファクトを掴むためにがむしゃらに取り組んでいる時間こそが、私は新規事業そのものであり、事業開発者に必要なものであると考えています。

そうして迎える3日目の最終提案ですので、非常に熱量の高い場になります。地域企業が抱える経営課題に対して、普段の経営では気づかないような課題を発見し具体的な提案が出来たチームも現れ、経営者を唸らせるような提案も生まれました。

ーー参加する地域企業にとっては新規事業や事業開発の種を得られ、その企業の社員や大企業の若手社員の成長にも繋がる、とても実践的な研修事業ですね。

小谷:そうですね。研修参加前は、目の前の業務しか視野に入ってなかった社員が、参加後には一つ上の視座で考えることが出来るようになったと聞きました。経営視点を持った部下が育つのは企業にとってとても心強いですよね。

この研修では、その会社のビジョンやミッションまで徹底的に深堀ります。このプロセスは、その会社の社員はもちろん、大企業から参加している若手メンバーにとっても、「自分の会社に置き換えた時、ここまで真剣に深堀りできていただろうか」と考え直すきっかけになったと感想を寄せていただきました。

ーーこの研修の成功の鍵はどんなところにあったのでしょうか。

小谷:私のような複業人材や、大企業の若手メンバーといった外部の視点を活用したことも、経営課題の特定につながったと思います。

普段の事業活動の中だとどうしても視点や、アイディアが限定されてしまいますので、このように外部との協働という形をとった研修だからこそ、様々な視点を持ち込めたのだと思います。

ーー協働プロとして参画していく中で新たに獲得した視点などはありますか?

小谷:講師役として研修をリードさせていただくことで、間接的に地域企業の課題解決に関わることができており、その点でもやりがいを感じています。
こうして、経営者の持っている課題や視点に触れられる機会は、研修参加者だけでなく、私にとっても大変貴重で学びになることも多く、経営に対する解像度が上がる感覚があります。

一つの企業に勤めていると、どうしても他の業界の考え方や、地域ならではの課題に触れる機会が少なくなるので、複業という形で、様々な経営者と対話する時間が持てるのはとてもありがたいです。

納品型じゃない伴走型だからこそ、企業自身に再現性が生まれる

ーー最後の質問です。これから協働日本はどうなっていくと思いますか?

小谷:我々のような「協働」スタイルでの企業支援はユニークですよね。地域企業とチームを共に創り、伴走型支援という形をとって、経営者の成したい挑戦をサポートして企業自体を元気にしていくという取り組みなので、通常のコンサルティングとは大きく異なる形での関わり方です。

企業に本気で取り組む姿勢があれば、伴走型支援は大きな成果を生み出すことができます。納品型ではなく、伴走型だから企業内にノウハウも蓄積されて再現性も生み出せます。

実績も情熱もあるプロフェッショナルとワンチームで協働する中で、成果を達成するだけでなく、自社に自律的な変化を起こす機会として、協働日本との協働をぜひ活用してほしいと思います。ぜひ今後、こういった取り組みをもっと広げていきたいと思います。

ーーインタビューへのご協力ありがとうございました。

小谷:ありがとうございました。ご関心ある地域企業様は、お気軽に協働日本にお声がけください。

小谷 克秀 Katsuhide Kotani

(株)プロゴス 営業本部 マーケティング営業部 部長

大学卒業後、(株)パソナにて金融系大手法人営業・営業企画に従事。
楽天(株)にて楽天市場出展店舗向けの事業企画・事業開発を担当。
エン・ジャパン(株)にて新規事業開発・アライアンス戦略に携わる。
ランサーズ(株)にてセールス&マーケティング事業担当執行役員を経験。
その後、(株)レアジョブ プロゴスマーケティング営業部長を経て現職。

専門領域
新規事業開発、事業運営、事業企画、営業企画、新規事業担当者育成

人生のWHY
「天職創造」

小谷克秀氏も参画する、協働日本事業については こちら

VOICE:協働日本CMO 若山幹晴氏 ―マーケティングの力で地域の魅力を後世に残す―

協働日本で活躍するプロに事業に対する想いを聞くインタビュー企画、名付けて「VOICE」。

今回は、協働日本CMOの若山幹晴氏です。P&Gに入社後、ブランドマネージャーとして活躍。その後、ファーストリテイリンググループブランドのジーユーへ転職し、最年少でマーケティング部長に就任。数々のマーケティング戦略を実行し、人材育成にも取り組んできました。そして、2021年に独立。現在は複数の企業のマーケティングコンサルを務めるほか、株式会社ワカパルを設立。代表取締役として、様々なマーケティング支援に取り組んでいます。

これまでも複数の企業、様々な業界でマーケティング支援を行い、結果を出し続けてきたプロのマーケッターである若山氏が、協働日本事業への参画を通じて実現したいこととはーー?地域に対する熱い想いと共に語りました。

(取材・文=郡司弘明)

地域に眠る「良いもの」をもっと知ってもらえるようにする

ーー本日はよろしくお願いします。若山さんはこれまで、P&Gやファーストリテイリンググループといった企業でマーケッターとして活躍されてきました。現在、協働日本のCMOに就任し、地域企業のマーケティング支援に取り組んでいる背景などをお教えください。

若山幹晴氏(以下、若山):よろしくお願いします。協働日本のCMOとして事業に参画しているのは、人生の中で達成したいこと、Whyの部分で、協働日本の代表の村松さんと共感したからです。ぜひ一緒に、地域と人の活性化に取り組んでいきたいと思いました。

ーー若山さんのマーケティングという強みを地域企業の支援に結びつけていきたいという想いはどこから?

若山:日本中の地域には、誇れるような食べ物や伝統産業など、とても良い物が眠っているのにも関わらず、その魅力がまだまだ伝えきれていないと感じています。地域の魅力をもっと発信していくために、地域の企業と、熱い想いを持った都市人材を繋ぐ協働日本事業にとても意義を感じています。自分自身も学生時代を名古屋で過ごしており、その当時も東京との情報格差を感じていました。繋がるべき人と繋がることで、地域の魅力はもっと知ってもらえるはずだと考えています。

私はこれまでマーケティングをキャリアの軸に活動してきました。自分が持つマーケティングという強みを活かして、多くの企業をサポートさせていただきながら、自分自身もパートナー企業との協働を通じて多くを学ばせていただいています。マーケッターとしてとても刺激的な環境で働かせていただいています。

得られた経験をもとに、さらにマーケッターとしての引き出しを増やしていければ、さらに多くのパートナー企業の事業へ貢献していけると思います。

ーー協働日本が特に注力している、地域の企業や、地域との取り組み自体には以前から興味があったのですか?

若山:私自身、旅行が趣味だったこともあり、日本全国を旅してきました。47都道府県すべて訪問してきたので、日本中に大好きな場所、お気に入りの地域を持っています。そういった意味では、一人の消費者としても以前から、地域にある「良い物」を残していきたいという思いを持ち続けてきました。

出会いや繋がりさえあれば、マーケティングの力で救えるものがあるかもしれない

ーー協働日本に参画したことで、そういった地域との関わりは増えましたか?

若山:はい。協働日本のCMOとして関わらせていただく中で、様々な出会いがありました。たとえば奄美大島のはじめ商事さまや、紬レザーかすりさまとのご縁もその一つです。そこで伺った、有名な大島紬がいま、着物文化の衰退とともに危機的な状況にあるといった話はとても衝撃的でした。私も着物は大好きなので、ひとつの素晴らしい文化が消滅しかかっているという事実に驚きと同時に悔しさも感じました。

ーー悔しさを感じたというのはどんなところに?

若山:こういった、協働日本のような形での出会いがなければ、私達も気が付かないうちに一つの日本の文化が消滅していたかもしれないという事実にです。より一層、地域や地域の事業者さまをマーケティングの力で助けたいという想いが強くなりました。

私は、地域に根付いている文化や産業は絶対に残していくべきだと考えています。残ってさえいれば希望は繋がっていく。でも、消滅してしまうと取り返しがつかなくなってしまいます。土地の文化や産業は、その土地のシンボルや名産品へと繋がっていきますよね。これが無くなってしまうと、たとえば国内旅行の魅力が減ってしまいます。そうなると観光需要も縮小してしまう。ましてや、海外から見たときの「日本」自体の魅力も無くなってしまうと思います。

ーーなるほど。地域の産業や文化を守ることはすなわち、海外から見たときの日本の魅力づくりにも繋がると。

若山:そう思います。私は海外生活が長かったので、日本の良さを再認識する機会が多くありました。それは、都心の利便性だけでなく、地域それぞれの魅力、多様性も含めてです。国内からだけでなく、世界から注目されるような地域の魅力は、まだまだ日本中に眠っていると思います。

ーー企業毎に異なる課題や状況の中で、複数の企業をご支援されているとお聞きしています。感想をお聞かせください。

若山:取り組んでいるパートナー企業とは、伴走型のご支援をさせていただいています。一つのチームを組むようなイメージで、経営者の方の顔を見ながら、一つ一つ意思決定をお手伝いしています。経営者の方とスピード感のあるディスカッションが出来ていることで、手応えも、面白さも感じています。

ーーどんなところに面白さを感じていますか?

若山:消費財やアパレル業界が長かったこともあり、パートナー企業のご支援を通じて、様々な企業や業界の課題を知れることが日々新鮮です。意外にも、共通する部分や考え方は多く、今まで培ってきたマーケティングのノウハウも発揮できていると思います。アウトプットのご支援とともに、パートナー企業からは良質なインプットも頂いています。

マーケティングの伴走型支援を通して、組織も活性化させていく

ーーパートナー企業へのマーケティング支援を行っていく中で、心掛けていることを教えてください。

若山:マーケティングと組織開発・人材育成を同時に行うことですね。答えを一方的に提示するのではなく、一緒になって考えていくことで組織の成長を促すことを意識しています。マーケティングという言葉自体、とても広義なので、事例なども含めて言語化しながらお伝えしています。

これまでの過去の経験から、自分だけが分かっていればいいという環境ではやはり、最終的には成果には結びつきません。部下や、一緒に取り組むチームのメンバー自身が、自分で考えてやれるようにしなくてはいけないということです。どうすれば、マーケティング的思考を全員が持って取り組めるかということには、いつも考えを巡らせています。

ーーパートナー企業のみなさんの変化を感じる瞬間はありますか?

若山:沢山あります。たとえば、こちらが主体的にマーケティング戦略提案をしていたパートナー企業から、「マーケティング戦略を考えてきました。聞いてください」と連絡をいただいたときは嬉しかったですね。思考プロセスやノウハウの定着を実感しました。パートナー企業が自立していくことこそが協働日本のゴールでもありますから、とても嬉しい変化でした。

ーー地域企業に変化を生み出していくことこそが、協働日本のゴールなんですね。そういった取組を企業の従業員の方にはどのように捉えてほしいですか?

若山:パートナー企業の経営者のチャレンジ精神を間近で見てほしいですね。どうしても、老舗や伝統産業の企業ほど、変化への抵抗感はあるかと思いますが、その中で都市型人材との協働を通じて変化を生み出そうとしている、事業そのものをより良くしていきたいという熱い気持ちをもっている経営者の想いにぜひ共感してほしいです。

さらには、傍観者ではなく参加者側に回って、経営者とともに協働に参画してほしいと思っています。そういった、従業員の方に対する変化も生み出していけるように、組織の視点からもご支援させていただいています。

これから先、協働×協働のさざなみが立っていく

ーー最後の質問です。これから協働日本はどうなっていくと思いますか?

若山:こういった地域との協働の形はどんどん発展していくと思います。今までは想いをもった人同士が、地域を超えて繋がれるような座組があまりなかったと思います。そこに、まさに協働日本が一石を投じているところだと思います。

ーーなるほど。こういった座組が増えていけば、地域はもっと活性化していきそうですね。お話ありがとうございました。

若山:そうですね。今後はいろいろな一石が投じられて、協働×協働で面白いさざなみが立ってほしいと思います。そうして、波打つように地域が盛り上がって、面白いつながりが生まれていくことを楽しみにしています。ありがとうございました。

若山 幹晴 Masaharu Wakayama

ポケトーク(株) 取締役兼CMO
(株)ワカパル 代表取締役
(株)協働日本 CMO(Chief Marketing Officer)

大学大学院卒業後、P&Gに入社。ブランドマネージャーとして日本・シンガポールにて従事後、ファーストリテイリンググループブランドのジーユーにて、最年少でマーケティング部長に就任。

専門領域
マーケティング、ブランディング、PR、人材育成

人生のWHY
常に挑戦、周りと切磋琢磨することで日本が元気になるきっかけを作る

若山幹晴氏も参画する、協働日本事業については こちら

VOICE:協働日本CSO 藤村昌平氏 ―「事業づくり」と「人づくり」の両輪―

協働日本で活躍するプロフェッショナル達に事業に対する想いを聞くインタビュー企画、名付けて「VOICE」。

今回は、協働日本CSOの藤村昌平氏です。これまでライオン株式会社で取り組んできた「事業づくり」と「人づくり」の取り組み。それらを、もっと多くの地域企業と取り組みたいと語る藤村氏。

これまでも、ライオンで経営を巻き込みながら新規事業創出プログラム「NOIL」を立ち上げ、多くの社内新規事業、社内起業家を生み出してきた藤村氏が、新しい挑戦としてなぜ協働日本事業に取り組むことを決めたのかーー?これから協働日本を通じて実現したいことにも触れつつ語りました。

(取材・文=郡司弘明)

「事業を創る ヒトを創る」その経験をパートナー企業に対して提供したい

ーー本日はよろしくお願いします。藤村さんはライオンでも新規事業開発に取り組まれています。新しい挑戦としてなぜ、協働日本で地域企業への事業支援に取り組むことを決めたのでしょうか。

藤村昌平氏(以下、藤村):よろしくお願いします。所属しているライオンでも新規事業開発を担当していますが、具体的には「組織づくり・人づくり」に重点をおいて取り組んでいます。頂いた質問の答えとしては、自分自身がそれ自体をより多くのフィールドで行いたいという気持ちからです。さらに組織づくり・人づくりに加えて、「事業づくり」も主体的に行える環境がほしいなと思っていました。

協働日本代表の村松さんから声をかけてもらった時、地域の方々とのパートナーシップのもとで、「事業づくり」そのものに取り組める環境だと思って参画を決めました。協働日本なら、「事業づくり」と、取り組んできた自身の強みである「人づくり」でもっと多くのパートナー企業に貢献できると考えました。

ーー協働日本が特に注力している、地域の企業や、地方との取り組み自体には以前から興味があったのですか?

藤村:元々、仕事に取り組む自身の想いとして、「誰かの心の拠り所を創る」ということ目指しています。それを実現する一つの形として、様々な地域企業と取り組むということは、なるほど面白いと感じました。その場でほぼ即決だったと思います(笑)

もちろん、地域の方々との取り組みについては簡単なものではないと感じていましたので、私の持っているものを総動員して本気で取り組んでいくことを決意しました。

ーーなるほど。事業支援を通じて、日本中で誰かの心の拠り所を創っていきたいと。そういった想いから、これまで協働日本で関わったプロジェクトはいくつありますか?

藤村:5つのプロジェクトに取り組んでいましたが、先日1つのプロジェクトが終了しましたので、現在4つ担当しています。

※取材時2021年5月

ーー企業毎に異なる課題や状況の中で、4つのプロジェクトですか!凄いですね。そんな藤村さんご自身の、強みやスキルはなんですか?それをプロジェクトではどのように活かしていますか?

藤村:いえいえ。協働日本の他のメンバー(協働サポーター)も助けてくれていますので。

新規事業をつくるにあたって、まず挑む人をつくることが必要だ、という意識を強く持って活動してきました。その経験は、所属企業に依存しないポータブルなスキルですので、それをパートナー企業に対して提供しています。

一方で、挙げられる課題は各社まったく異なります。事業領域はもちろん、経営状況やビジネス規模なども。そこに日々、難しさは感じています。でも、だからこそやりがいのある仕事だと言えます。

いま企業に求められる「人づくり」視点

ーー繰り返しお話されている、「人づくり」についてお聞きしたいです。藤村さんのおっしゃっている「人づくり」とはどういうことですか?

藤村:わかりやすく言い表すならば、事業開発における主人公づくりですね。

例えば、目の前にある事業を指して「これ誰のビジネス?」と聞いた時に、みんなの事業です、会社の事業です、のように答える人が多数だと思うのですが、そこで「自分の事業です!」と即答できるような人をつくるということです。事業に対して「自分ゴト」で捉える意識を持ってもらうことを大事にしています。

また、経営と現場の考えが一致していないことも多くあります。双方に色々悩みはあって、経営からすると、方針は示したが、結局誰がこの事業をやるんだ?というケースもあります。現場の方は、経営に決めてほしいという意識も働きます。そのような中で、実際に主体性を持って取り組む主人公をつくりながら、事業をつくっていくことが必要になります。

私たち、協働日本らしいアプローチとしては、「何を世の中に問いたいのか」「お客様にどんな価値を届けたいのか」「この会社でどのように実現したいのか」まで問いかけて、共に深堀りしながら推進しています。

ーーそれをリードするのが先ほど「主人公」と呼んだ方ですか。

藤村:おっしゃるとおりです。だから何より「主人公」の存在が重要になってきます。我々はチームの中に入って取り組みますが、いずれ協働日本が関わらなくなっても推進できる状態にすることが、本当に実現すべきことだと考えています。

ーー協働日本が取り組ませていただいている企業は老舗企業も多いです。そのあたりも関係してきますか?

藤村:老舗の企業は、長い歴史の中で大切にバトンを繋いできた企業と言えます。これまでのビジネスや方法論を大事にするからこそ見失いがちな「自分ゴト」視点を、新規事業を通じて感じて頂く場面も多くなります。我々は短期的に成果を出すことも大事にしながら、会社を支えていく経営者や社員自身が、ひとつひとつの実行や分析を高いレベルで出来るようにしていく、というところを目指しています。

パートナー企業との取り組みの中で、協働プロ、協働サポーターといったメンバーがプロジェクトメンバーとして加わります。それぞれのプロジェクトで協働日本らしい価値を提供できるように人づくりが大切、という視点は我々自身(協働日本)も共通しています。

同時に複数の会社に所属している感覚。だから広い視野も様々な視点も得られる。

ーー協働プロとして参画していく中でご自身の成長や新たに獲得した視点はありますか?

藤村:大きく分けて3つあります。1つ目は視野が以前よりとにかく拡がりました。今勤めている会社(ライオン株式会社)の他に、4つのプロジェクトに関わっていますので、同時に5つの会社に所属している形になります。

ーーそういった感覚なんですね。並行して5つの会社というのは少し頭が混乱しそうです(笑)

藤村:1社にだけ勤めていると、どうしてもその会社の考え方やルールに縛られてしまいがちですが、複数の、しかも業種や業態の違うプロジェクトに関わっていることで、広い視野を持って向き合うことが出来ています。企業の都合ではなく、本当の顧客の課題に向き合うことが出来ている実感があります。

2つ目は、考える物事のレンジが長くなりました。企業勤めをしていると、どうしても短期的に、たとえば半期、四半期といった単位で、目標を追いかけていきます。一方で、協働日本で外部戦力として関わると、より中長期な目線を持つ必要があります。協働日本では「この商品の売上を来月までにいくら伸ばして」といった案件よりも、それよりも「この取り組みを通じてどのように会社を変革させていくのか」といった視点で関わる案件のほうが多いため、考えるレンジはより長くなり、中長期的な考え方をするようになります。

ーー視野はより広く、そしてより長期視点を持てるようになったと。まさに経営視点ですね。

藤村:そうですね。日々、複数の会社で経営に携わらせて頂くのは、貴重な経験だと感じています。

3つ目は、データに立ち返る意識です。長く所属している企業での意思決定では、データに頼らず、経験を基にする場面が多くなります。例えば、野性的なカンが働く、ということもあります。もちろんそれは市場や製品、顧客の姿が頭に思い浮かぶからなのですが、協働日本として係るプロジェクトでは、野生のカンは使えませんので、常にデータに立ち返る必要があります。これは、ファクトベースにビジネスを進めていく上で重要な視点です。

協働日本との取組み自体を楽しんでほしい

ーー顧客企業の従業員の方とお話されることもあると思います。そういった従業員の方に、どのように協働日本の取組みを捉えてほしいですか?

藤村:パートナー企業の従業員のみなさんともお話させて頂く機会も多いです。我々は、忖度せず、まっすぐに事業づくりに向き合いますので、耳の痛いことをお伝えすることもあります。

ーー本音でぶつかっていくのが協働日本流ですか?

藤村:これまでのプロジェクトでも本気で本音でぶつかり合うことが出来ています。仕事の中で、経営者も現場も関係なく本音でぶつかり合う厳しさと面白さを一緒に感じていきたいと思っています。協働日本との取組み自体を楽しんでもらえるのが一番です。

私たちは地域の企業の方々と、「あなたとわたし」「中の人と外の人」といった二項対立の形では関わらないように意識しています。ひとつの「チーム」となるよう、プロジェクトの中では常に我々(We)という主語で考えています。 新規事業として成果を出していくためには、本来向き合わなければならない「顧客の課題」に、我々は一つのチームになって臨まなければいけない。チームの中の遠慮は不要です。共に悩んで、共に壁にぶつかっていくための協働パートナーとして関わるからこそ、結果に繋がっていくと信じています。

協働日本のような取り組みは今後、日本中に広がっていく

ーー最後の質問です。これから協働日本はどうなっていくと思いますか?

藤村:多くの人が協働プロや協働サポーターのような形で、ポータブルなスキルを持ち寄って共通の課題に向き合っていく、というような働き方は今後日本中で増えていくと思います。

人と人との繋がりをベースにして、地域を良くしたい、社会を良くしたいという人は増えています。

今は協働日本のクライアントであるパートナー企業や経営者が、今度は別の地域の協働プロフェッショナルとして働く。そのようなケースが生まれていくことが、良い循環の形だと思います。そのような取り組みを通じて、関わっていく側の人間も「自分が何者であるのか」を再発見する機会にもなると感じています。

ーーそれはとても素敵な循環ですね。ぜひ協働日本の未来の形にしていきたいです。インタビューへのご協力ありがとうございました。

藤村:ありがとうございました。すべてを協働日本の案件としてお寄せください!ということは申し上げませんが、協働日本のような取り組みを今後、広げていきたいと強く思います。そのころには、複業やプロボノと行った言葉ではない、新しい言葉で定義されているのかも知れません。

藤村 昌平 Shohei Fujimura

ライオン(株)ビジネスインキュベーション部長
(株)協働日本 CSO(Chief Strategy Officer)

大学院卒業後、ライオン( 株) に入社。R&D部門で新規技術開発、新製品開発、新ブランド開発を経て、新規事業創出業務に従事。2018年に新規事業開発組織「イノベーションラボ」の設立、2019年に新価値創造プログラム「NOI L」を立ち上げを行う。2020年より新設のビジネスインキュベーション部長に就任。
2021年より協働日本CSO(chief strategy officer)に就任。

専門領域
新規事業開発、新規事業開発組織設計と運営、新規事業創出プログラム設計と運営、新規事業担当者育成

人生のWHY
Houseから、Homeへ。

藤村昌平氏も参画する、協働日本事業については こちら