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イベントレポート:「『事業を創る人』育成の最適解」オンラインセミナー

協働日本が開催したセミナーの一部を抜粋し、イベントレポート形式でお届けします。

益々変化が加速するVUCAな環境下で、企業の未来を担い、新たな事業を創る人材をいかに育てるか?事業を創る人材を生み出し続ける土壌や風土をどうつくるか?企業内で真剣に取り組んでいる方は多いと思います。

独自で開発した企業の幹部人材や事業開発人材向けの『越境チャレンジ-協働型人材育成プログラム-』を手掛ける株式会社協働日本CSOの藤村昌平氏と、同プログラムでプロコーチを務め、越境人材の内省をサポートする久米澤咲季氏が登壇したウェビナーイベント「『事業を創る人』育成の最適解」(開催日:2023年6月8日)での講演から、「越境学習」のメリットや、越境学習を通じた人材育成についてご紹介します。


セミナー本編はこちらからご視聴いただけます


越境学習の意義と、起こりがちな課題

──イントロダクション

藤村 昌平氏(以下、藤村):今日は「『事業を創る人』育成の最適解」ということで、我々の方で作っている越境チャレンジというプログラムをご紹介したいと思います。なぜこのプログラムを作ったのか、コーチを担当されている久米澤さんと、事業開発メンターを担当している私の二人で、越境チャレンジを通じてどのように『事業を創る人』を作っていくかという話に迫りたいと思います。よろしくお願いします。

久米澤 咲季氏(以下、久米澤):よろしくお願いします。

─越境体験の意味と、起こりがちな課題について

藤村:そもそも越境体験とは何か?というお話ですが、普段勤務している会社の職場を離れて、全く異なる環境に身を置くことが前提になっています。普段とは異なる環境で働き、取り組みをすることによって、新たな視点や学びを得ていくというのが「越境体験」です。

一般的には、他の企業やNPOに社員を出向させる、ワークショップやプロボノ活動、ワーケーションなどが「越境体験」の具体的な事例として挙げられます。

越境体験を体験する人たちは、いつもいる組織の外を知ることにより、これまで触れることがなかった考え方や働き方、世界を見ることで、様々な刺激を受けて大きく成長することができるメリットがあります。

藤村:その一方で、「越境体験」で起こりがちな課題もあります。

①元の組織に戻ったときに、違和感を感じてしまう

越境先と元の組織の文化が違いすぎて、いざ戻ってきても、越境者が「これでいいのだろうか」という感覚のずれや違和感を感じてしまうケースがよくあります。

②越境体験の方法によっては、経験値が溜まりにくい

研修のように型化されている越境体験の場合には、安心して参加できるというメリットはある一方で、なかなか自分事として捉えられず受動的になり、結局のところ「面白いプログラムで勉強になりました」という感想で終わってしまいがちです。実際に自分の事業に活かしていける実践的な経験が積めるかというと、少し疑問が残ります。

③上層部が越境を理解できておらず、越境体験による経験を組織の中で活かせない

経験値をしっかり貯めることができたケースにおいては、その活かし方も重要です。例えば、越境先での経験を通じて、確度の高い事業を素早く生み出す開発プロセスを学ぶことができたとします。しかし、元からある会社のプロセスをどのようにすれば適切なプロセスに変えられるのかというところまでを経験してきているわけではありません。そのような人に、会社のルールやプロセスを変えて、確度の高い事業を創れるようにして欲しいという要求は、少しずれていますよね。

また越境体験は、未来を担う若者に経験させようという傾向にもなりやすいですが、そもそも越境体験者は何を経験したのか、その変化を受けて組織は何をしなくてはならないのかという部分を、越境していない上層部が理解できていないとこういったギャップが生まれやすくなります。

④期間離脱することが難しい

越境体験はその性質上、長く行けば行くほど、様々な知見が得られますし成長もできます。一方で、長期離脱はできないという人たちが会社の中には多く存在していると思います。

特に役職者が長期不在という状況は、部下を十分にマネジメントできなくなってしまう懸念から容認できない組織があることは理解できます。そのため、長期離脱が必須になるような状況だと、なかなか上位レイヤーの社員が参加できないということも悩みの種になります。

このように、越境体験自体には大きな価値があるけれど、同時に起こりがちな課題も複数見込まれます。このいくつかの課題の一つでも解けたらという想いで、『越境チャレンジ』のプログラムを組んでいます。

──まずは上層部から越境体験に挑戦を。強い組織に変革するために必要な「場」づくりの秘訣

会社を、もっと早く・もっと大きく・もっと強くという考え方で変革していくために、会社という組織においては、事業を作って対価を産んで、ドライブしていく仕組みが体系化されているはずです。

その一連の活動を実現していく主体は、そこで働く人です。組織の成長のためには、人の成長が欠かせません。「自分はこうあるべきだ、これをやりたい」という意識を醸成して、その中で再現性を取得していく──この事業でできたことはこちらでもできる、という成功体験や経験値を会得した人を増やしていくというのが絶対的に大切なのです。

その手段の一つである越境体験の一環として、出向やワーケーション、副業解禁などを検討されることが多いと思いますが、これも闇雲に認めるわけにはいかないのが現状だと思います。ガバナンスだったり社内ルールだったり、本業への影響というものを加味した上で、プログラムとして導入しなくてはいけない。そもそも我が社にとってこれを解禁していくということは、どういう成長に繋がるのかを言語化していく必要があります。

つまり、経営層の立場からすると、社員に越境体験をさせる前に「どんな成長や効果があるのか」という組織にとっての明確なストーリーが欲しいけれど、実際には体験させてみないとストーリーを描けないというジレンマがあるのです。

そして、我々としては、できる限り越境体験は組織の上層部からやっていくべきだという想いがあります。企業や事業を変革できる人材を上層部から作っていかないと、その後に続く人たちはなかなか生まれませんし、先ほど挙げた課題の通り、越境体験で学んできたことが社内に還元されないという問題もあります。

正直、組織の中で「越境体験」を進めていく際、最初の1人目が越境から帰ってくると「訳がわからないことを言いはじめた」という印象にもなりがちなのは事実です。外部での経験から、自分たちの常識と全く違うことを言い始めるので、当然の反応ではあります。

越境体験者が2人、3人と増えると、全員が同じことをいうようになる。すると、これは越境チャレンジャーが言っていることは、自分たちの組織を前に進めるために正しいことかもしれないと理解が進んでくるのです。

このように、越境体験での学びをメジャーな意見にしていき、次のチャレンジャーを増やしていくためには、最初の1人目の学びを言語化し、組織としての変革のために意思決定していくことがとても重要です。これができないと、越境体験をした一人がただ成長しただけで終わりになってしまう。

したがって、最初の一人として若手に挑戦させるよりも、経営層が実際に体験して、次に続くチャレンジャーを応援し、増やしていくことがとても効果的と言えるわけです。

越境体験者が増え、塊になって、組織になっていくと、そこが「場」となり、こういうチャレンジをした人たちが中心になって新しい会社作りというものをやっていくようになり、新規事業開発や働き方改革などの具体的なテーマが生まれていきます。

まずは自分たちがやっていることがどうなのか、という比較軸を持たない限りは、事業の善し悪しはわかりません。とにかく越境を通じて多くの人材に経験を積ませ、事業の再現性を持たせる。そして彼らが今、所属している会社をどのように見るのかといったことを、越境体験をリトマス試験紙のように使っていただきながら、事業や組織を組み立て直していくということが、会社の成長のために求められているプロセスかなと思います。

──本業と並行して体験でき、経営的な視座を鍛える『越境チャレンジ』の特徴。

藤村:忙しく、時間がなくて現場から離れられない上層部の方々にこそ越境できる場所を作らない限り、これは本当に一時的なものになってしまうかもしれない。もしくは手を挙げて越境した経験を持ち帰ってくれた人たちが、不幸になってしまう未来を作ってしまうかもしれない。

そんな課題感から生まれたのが、現場から100%離れることなく長期的かつ継続的に越境体験に取り組めるプログラムである『越境チャレンジ』です。

越境先の企業と、事業メンター、キャリアコーチを組み合わせたこのプログラムに、越境者が所属している会社から社員を送り込んでもらう形になっています。

越境先は、経営改革を通じた越境人材の育成に深い理解がある地域企業です。企業からの越境者を自分自身の右腕に置いて、事業に参画してもらうことを通じて、自分が本当に右腕を育てていくためにはどのようなことをすべきなのか、それを学ぶ意欲が経営者側にも求められますし、密な協力が不可欠です。

地域企業への伴走支援を行っている協働日本事業を通じ、すでに複業人材との協働へ理解と意欲のある地域企業の方に、越境者の受入をしていただいています。

藤村:このプログラムでは私が事業メンターの役割を担っていますが、私自身も常日頃越境しながら、色んなところでチャレンジして、日々学習と修行の日々を送っています。こういった、「先に越境体験を経験している人」の存在も、メンタリングや悩みに沿ったアドバイスなどに良い影響があると考えています。

そして、久米澤さんをはじめとする協働日本コーチ陣のキャリアコーチングを通じて、越境者自身のキャリアについての考え方も手厚く支援していきます。自分がこの越境体験を通じて、自分の人生だったりキャリアだったりにどういうWILLを持つのか、本当は何をやりたいのかという本質をあぶり出していくと、先ほどから繰り返し触れている「再現性」に繋がっていくんです。

「私は『これ』をやるために越境先でこんな挑戦をしているし、元の所属企業の方でもやっていくんだ」という『軸』が決まることで、強い動機付けやメンタリングにも繋がり、どんどん再現性が上がっていくわけです。

そこへ、新鮮な発想を持った、複業人材が入ることで既存の枠にとらわれないディスカッションができる点もメリットと言えます。

この三角形の構図の中に越境者を入れていくという座組みにすることで、先ほど挙げたような課題が出てきにくく、越境者にとっても、越境者を出す企業にとっても良いループが回っていく設計になっています。

直近では、バリュエンスホールディングスの執行役員の井元さんが、奄美市で大島紬の生産販売を営まれている、はじめ商事さんのもとに越境し、東京でバリュエンスの仕事をこれまで通り行いながら、はじめ商事の経営陣の一人としてオンラインを中心に半年間活動した事例があります。

▷越境チャレンジ事例

STORY:バリュエンスホールディングス執行役員 井元信樹氏 -限られた時間とリソースの中で事業戦略を組み立てたからこそ得られた学びと変化-

Q&A

セミナー後半には、視聴者から寄せられた多くの質問にお答えいただきました。その一部をご紹介いたします。

Q1.越境者と越境先企業、メンター、それぞれの関わり方について教えてください

藤村:まずは、越境者と越境先企業の社長さんとの間で1つテーマを決めていただいています。やりたいけど手付けられてないとか、やっているのだけどなかなか進まないなど、経営課題や経営イシューと言われるものの中から、この課題を一緒に解いていこう、これを実現していこうということを話し合って作っていただき、実際にスタートしていくという形になります。

事業開発メンターである私は、その取り組みについて越境者との1on1のような形で第三者として客観的に話を聞いていくようにしています。なぜその課題設定をされたんですか、その課題が解けると、この企業はどのようになりますか?それに対して、どのようにステップを組んで、実際に今どこまでできていて、何ができていないからその課題が露出しているんですか?というように、細かく深掘りして聞いていきます。

その対話の中から新しいアイディアが生まれたり、課題に気づいたりと、次に向けた宿題が生まれます。そこでまた越境先に宿題を持ち帰って、受入先の経営者と話をしてもらう。

戦術・実行とフェーズが進んでいくと、越境者が元々持っていた繋がりであったり、これまでのキャリアの中で得た知見みたいなものが色濃く生かされていくようになります。越境先企業の経営者、越境者、そして事業メンターの間で、ディスカッションをぐるぐる回していき議論を深めていきます。

伴走するコーチの立場としては、久米澤さんはいかがですか?

藤村さんの事業開発メンターとしての時間と、私の担当するコーチングの時間は、対照的なんじゃないかなという風に思っています。コーチングさせていただく時間は、もう究極の自分時間にしていただきたいなという風に思っているんです。越境先で、事業であったり周りの人であったりと色んな方向にベクトルを向けて活動すると思うのですが、1ヶ月に1回1時間、コーチングの時間を使ってベクトルを自分に戻していただいています。

初期の頃は、「そもそも何のためにこれをやるのか」といったように、目的が自分事化されてるかという事を確かめ、言語化していきます。その軸ができた先で本当にそれを実現できてるか、新たに出てきた価値観や思い、感情はなにか、対話してアクセスするような時間をとっています。

越境チャレンジでは、事業開発の視点の伴走者とコーチングの伴走者がいるので、両輪でサイクルを回していく形が、とても贅沢な学習プログラムだなと思っています。

Q2.越境者の変化と成長について教えてください

藤村:「なぜ今これをやるのか」について、事業開発の視点と、越境者個人としての視点の両面からサンドイッチのように、半年間もの間、しつこく話を聞いていくわけですよね。越境先の経営者の方、僕、そして久米澤さんに対し、普段から3回も言語化しなくてはいけない。そうするとさすがに、自分が何のためにこれをやっているか、徐々に腹落ちしていきます。越境中はこれがずっと繰り返されるので、元の企業に戻った時に「あのプロジェクトで何をしているの」と聞かれても、しっかりと言語化できるように癖づけられます。自分の意思で自分のやり方で相手と合意したことを、自分の言葉で語る。ということができるようになってくることが、やはり再現性に繋がっていくと考えています。

やっぱり、学びと行動を高速で回していくと、半年間の中でいろんなことが起きると思います。もちろん何かうまくいかないことや、事業の外部要因が何か邪魔しているとか、いろんな問題もたくさん起きる。

でもそういうときに何を変えられるかというと、一番はじめに変えられるのは、自分自身だと思います。だからやっぱりそこに向き合い、あなたは何を変えられるか、明日何ができるかを一緒に考えていくんです。すると、まず意識が変わって、次に行動が変わる。これを続けていくと、藤村さんのおっしゃる「再現性」にも近いかもしれないですが、「普遍化」されていくんですよね。こういうプロセスを半年、1年とやっていくと、終わった時にはやっぱりマインドも行動も成長しているし、事業に対するコミットメントや自分の役割など、視座が大きく変わっていると思います。

藤村:普段から経営に関わっている方であっても、越境体験を通じてもう1度経営の視座を学び直せるというところは大きな変化でもありますよね。私もメンターとしてご一緒させていただく中で、そういった変化がすごく面白いなと思いますし、それを見て私自身も再度学習させてもらっている感じがあります。やっぱり登場人物全員が学び合ってるっていうのがすごく面白いところですね。我々は決して先生じゃないから、答えをわかっていて、こうやりなさい、これがいいんだよって言ってるわけではないんです。私も一緒に悩むし、一緒に寄り添います。経営者の方々も悩んでて、本当の悩みや生々しい課題を出してきてくださるんです。皆でこれをどうする?という話になっていく。行動と学習を回していくことで、どんどん自分事化していくんですね。

久米澤:人生、いろんな場面において、自分で決めるっていうことは、自分に向き合わなきゃいけないってことだと思うんですよね。自分はどういう人間で何を大事にしてるのかとか、何のために仕事してるのかとか、そういうことをコーチングの中でかなり扱っていくんです。

「自分の軸」ができることで、自分で決められるようになる。自分がこうしたいからこの事業をやる、自分で決めたら頑張るっていう、そういう意思決定のサイクルにつながるという意味でも、まず「自分の軸」を明確にすることが、大きな成長につながると私は思っています。

Q3. 事業を作る人にはどんな能力や経験が必要ですか

事業を作る人に必要なことは、まずは経験かなと思います。どうやったら「事業開発が上手くなるか」というと、「事業開発をした経験」を2回・3回と繰り返していくのが一番です。

例えば「野球が上手くなるために、まずはサッカーやって、それからラグビーをしてください」とはならないですよね。ボールを投げたり、バットを振ったりということから始めるはずです。なので、まずは挑戦させることにつきます。

また、自分が事業を作らせる立場であるならば、先ほどのように経験を積んだ人たちをいかに沢山、傍に置けるか、集められるかということも重要です。そういった観点で、勇気を持って挑戦させることだったり、失敗するのを覚悟して、最後はフォローしてあげるつもりでやらせてみるみたいなことが、大事だと思いますね。

久米澤:コーチングの視点から見ても大事なポイントは同じだなと思います。私も色んな方に伴走させていただいているんですが、行動する人は、成長も早い。事業も同じで、試行錯誤できる人が強いと思います。

そして、自分を変えられる人っていうのはやっぱりそこに到達するのが早いなっていうのは実感値としてすごく感じます。失敗に対する恐れなど、色んなものを乗り越えて行動できることが、新規事業においても大切ではないかと思います。

「越境体験」を考える皆様へのメッセージ

久米澤:越境チャレンジを通じて、越境者の方はご自身の本質的なところに向き合うことができると思っています。これを会社として導入するか、特に人事の方はまだ悩んでいらっしゃる方も多いと思いますが、今日のセミナーに参加していただいたことも初めの一歩だと思うので、ご自身も勇気を持って一度始めてみていただきたいと思っています。一度始めれば、波紋のようにどんどん広がっていき、それが人を変え、組織を変えて社会を変えていくことに繋がっていくと私は信じています。そういう輪がこの機会を通じて広がったら嬉しいなと思っていますので、ぜひ越境チャレンジでまた皆さんにお会いできたら、嬉しいです。

藤村:越境チャレンジを通じて得られる成果は、ある事業が前に進むとか、会社の中での役割が明確になっていくということだけではありません。

一旦今の環境から離れてみると、客観的に会社のことを見られるようになって、「こっちに比べてこうだ」と言えるようになりますよね。自分のことも客観的に見えるようになる。

「自分は何のためにこれをやっていて、何故ここにいるのか」「こういうことにイラッとするし、こういうことにわくわくするし、こういうことやってみたい、こういう人と働いてみたい、そんな自分のことが好きなんだ」みたいに、自己認識を高めていくということにもつながると思います。

そういう人たちが組織の中に増えて、固まることで会社は変わっていきます。たった1人が革命家みたいに旗降っていたとしても会社は変わらない。できる限り、駆動力のある人が多くいる組織を作るために、やっぱり1回自分たちの組織のことを客観的に見れるような人たちを作っていく必要があります。

自分を客観的に見るという視座を持つために、一歩外に出てみることが効果的だと思います。自分と出会いなおして、自分の可能性を再度実感して、仲間を巻き込んでいく。気軽に、そんな旅の一歩を踏み出してみませんか。


本イベントの全編を協働日本公式YouTubeにて公開しています。
ご興味のある方は是非、本イベントレポートとあわせて動画もご視聴いただけますと幸いです。
『事業を創る人』育成の最適解 – YouTube


編集後記

今回は、「越境体験」をテーマに、多様な視点からお話をいただきました。

『越境チャレンジ』という、協働日本の事業の内容や、「事業開発」という視点だけに留まらず、そもそも人はどういうときに、成長するのか、変わっていくのか、そんな興味深いお話が詰まっていた2時間でした。

人が変わることで組織が変わり、会社が変わり、社会が変わる──協働日本から、そんな輪を広げていきたいと思います。

ぜひ皆さんも、「変わる」一歩として、『越境チャレンジ』の導入を検討してみませんか。

お問い合わせ・お申し込みはこちらから。

レポート取材・文:郡司弘明・山根好子

NEWS:【6/8(木)19:00~】オンラインセミナー開催のお知らせ 『事業を創る人』育成の最適解

オンラインセミナー開催のお知らせ 『事業を創る人』育成の最適解

この度、「『事業を創る人』育成の最適解」と題したオンラインセミナーを開催いたします。

お申し込みはこちらから
【無料/オンラインセミナー】『事業を創る人』育成の最適解

益々変化が加速するVUCAな環境下で、企業の未来を担い、新たな事業を創る人材をいかに育てるか?事業を創る人材を生み出し続ける土壌や風土をどうつくるか?企業内で真剣に取り組んでいる方は多いと思います。

今回のセミナーでは、独自で開発した企業の幹部人材や事業開発人材向けの『越境チャレンジ-協働型人材育成プログラム-』を手掛ける株式会社協働日本CSOの藤村昌平さんと、同プログラムでプロコーチを務め、越境人材の内省をサポートする久米澤咲季さんのお二人に、『事業を創れる人』育成の最適解、をテーマに対談いただきます。

皆様のご参加を心よりお待ちしております。


セミナー概要

2023年6月8日 (木) 19:00 – 20:30 セミナー構成
1. イントロダクション
2. 事業を創る人をどう育てるか?
3. 『越境チャレンジ-協働型人材育成プログラム-』の取組み紹介
4.対談
5. Q&A、アンケートなどのご案内

登壇者:
藤村 昌平 ライオン(株)企業文化変革担当部長/(株)協働日本  CSO
久米澤 咲季 (株)協働日本  IPPOキャリアコーチ


登壇者

藤村 昌平

ライオン(株)企業文化変革担当部長/(株)協働日本  CSO
大学院卒業後、ライオン(株) に入社。R&D部門で新規技術開発、新製品開発、新ブランド開発を経て、新規事業創出業務に従事。2018年に新規事業開発組織「イノベーションラボ」の設立、2019年に新価値創造プログラ「NOIL」立ち上げを行う。2020年より新設のビジネスインキュベーション部長に就任、2022年1月より現職。カルチャーラボを立ち上げ企業文化変革に挑戦中。

久米澤 咲季

(株)協働日本  IPPOキャリアコーチ
上智大学大学院 総合人間科学研究科 心理学専攻 大学卒業後、法律事務所での勤務を経て渡米し、大学院にて国際開発学修士号取得。帰国後、国際協力機構(JICA)にてインドネシアのインフラ開発を3年間担当。2015年NPO法人クロスフィールズ加入、人材育成×社会課題解決を目指すプログラムの企画実施を担当。2018年~2022年は事業統括として経営やチームマネジメントに従事。米国CTI認定プロフェショナルコーチ(CPCC)としてコーチング業も行う。現在は、大学院にて臨床心理学を勉強中。


本ウェビナーはこんな方にオススメ!

  • 自社内で事業を創れる人材を増やしたい、新たな事業を生み出せる土壌や環境を構築したい経営者や事業部長
  • 越境学習に関心はあるが、既存のアプローチに課題感を感じている人事部長や人事担当者越境学習に関心はあるが、既存のアプローチに課題感を感じている経営者、人事部長、事業部長


『越境チャレンジ-協働型人材育成プログラム-』について具体的な取り組み事例を通じて深く理解することができます!

『越境チャレンジ-協働型人材育成プログラム-』の特徴

  • 難易度の高い地域企業の経営課題に直面することで、正解がない中で道筋を描く力が身につく。
  • 地域企業の経営者の視野、視座、想いに触れて、本気で向き合うことで当事者意識が磨かれる。
  • 第一線のプロフェッショナルの視点を学ぶことで、実践的なスキル・経験が得られる。
  • 定期的な振り返りの機会から、個人の変化や成長、本業へ還元できる学びを実感・言語化できる。

お申し込みはこちらから
【無料/オンラインセミナー】『事業を創る人』育成の最適解

越境チャレンジについては こちら から


お問い合わせ・連絡先
ippo@kyodonippon.work

VOICE:協働日本 久米澤 咲季氏 -IPPOのコーチングは「大きな夢」へ皆んなで向かう、第一歩-

協働日本で活躍するプロフェッショナル達に事業に対する想いを聞くインタビュー企画、名付けて「VOICE」。

今回は、協働日本のコーチングサービスIPPO事業で、コーチとして多くの方のキャリアの伴走支援に携わる久米澤 咲季(くめざわ さき)氏をご紹介いたします。

大学卒業後、外資系法律事務所に勤務。その後、アメリカの大学院にて国際開発学修士号取得。国際労働機関勤務を経て、国際協力機構にてインドネシアのインフラ開発を3年間担当。その後NPO法人で、途上国開発支援や人材育成×社会課題解決を目指すプログラムの実施、コーチとしてキャリアコーチングや研修を担当されています。今は更なるスキルアップのため、大学院生として臨床心理学も学んでおられます。

「人」にクローズアップした伴走支援を行っている協働日本の「IPPO」事業の魅力や、実際のコーチングを通じて感じた変化、得られた気づきや学びを語っていただきました。

(取材・文=郡司弘明、山根好子)

誰もが「自分らしく」生きられるように。新たな挑戦をしながらキャリアを重ねていく

ーー本日はよろしくお願いいたします!まずは久米澤さんの普段のお仕事についてぜひ教えてください。久米澤さんはNPO法人で人材育成×社会課題解決を目指すプログラムに取り組まれている傍ら、コーチングのお仕事をなさっているんですよね。

久米澤 咲季氏(以下、久米澤):よろしくお願いします!はい、元々は途上国開発支援や人材育成×社会課題解決を目指すプログラムの実施に携わったり、コーチとしてキャリアコーチング行ったりしていました。ただ、実は最近仕事を退職して、この4月から”フルタイムの大学院生”になったんです。当面は学業の合間や土日を使ってコーチングのお仕事をしていく予定です。

ーーそうなんですね!何を専攻されているのか、また大学院を受験された背景などもお聞きしてもよろしいですか?

久米澤:今は臨床心理学を学んでいます。コーチングの仕事をしていく中で、自分の思い通りに生きられない方がたくさんいるんだなと感じたことがきっかけです。例えば最近では、コロナ禍で気分が落ち込んでしまい、うつ病っぽくなったという話もよく聞きますよね、「本当はこう生きたい」という想いがあるのに、心の健康の問題で不本意な状況に追い込まれてしまっている。コーチングでは解決できない、心の健康のことで困っている方の支援をしたいと思って、大学院受験を決意しました。

NPOで働いていた時に、パートナーシップを結んでいる他のNPOで不登校児や移民・難民などを支援しているところもあり、心理の専門家がいると助かるという話を耳にすることもあったんです。それであれば、自分もそういった臨床心理学の知見や心理カウンセリングのスキルを身につけることで、力になれるのでは?と考えたのも、理由の一つです。

ーー素敵な挑戦です。元々コーチングに興味があったのでしょうか。

久米澤:いえ、大学時代には国際開発の勉強をしていて、社会人になってからもアメリカの大学院にて国際開発学を学び、国際協力機構でインドネシアのインフラ開発を担当していました。そんな中で”人”に興味を持って、少しずつ人材育成の分野の仕事にシフトしていったんです。7〜8年間人材育成×社会課題解決のプログラムに携わっていた中で、「コーチング」に出会いました。コーチングとは、相手の話に耳を傾け、質問や提案などを通じて相手の内面にある答えを引き出す手法です。

人材育成の分野で、伴走支援をしながら皆さんのチャレンジを応援するために、ちゃんとコーチングを勉強したいなと思ったんです。コーチングを学ぶためにセッションに参加してみて、「なんてパワフルなツールなんだろう!」と衝撃を受けたのを覚えています。何かを与えたり教えたりするわけではなく、対話を通じて人の内面を引き出すことで、意識や行動までも変えることができるという、コミュニケーションの力の可能性を感じ、私のコーチとしてのキャリアがスタートすることになりました。

国際開発や途上国支援の仕事をする中で、コミュニケーションの力で人の潜在能力を引き出すコーチングに出会う

すでに自分の中にある「答え」を引き出す──宝探しのような面白さがコーチングにはある

ーーここからは、協働日本での活動についてお聞きしたいと思います。キャリアの伴走支援を行う「IPPO事業」ですが、具体的にどんなお取り組みをされているのか教えていただけますか?

久米澤:ご自身のありたいキャリアの言語化と、次の一歩に踏み出すサポートをするのが、協働日本の「IPPO事業」です。2020年に事業がスタートしてから、これまで約20名の方のコーチングを担当してきました。

ーー「IPPO」のコーチングプログラムを受講される方は、どんな方が多いのでしょうか?

久米澤:クライアントの方の持つテーマは様々ですが、特に「IPPO」のクライアントの方の特徴としては、キャリアで新しいことにチャレンジしたい、人生で本当にやりたいことを見直したいという方が多いかもしれません。

だいたい月1回くらいのペースで対話を重ねていくのですが、課題を明確化して、解決策を考え、実行して振り返るというサイクルを回していくので、一定の期間──大体半年から1年のスパンでコーチングをしていきます。

ーーなるほど。コーチングを受けることでご自身と向き合い、どんどん行動を変えていくイメージですね。実際に受講前と後では、どんな変化が生まれるのですか?

久米澤:コーチングを受けると、皆さん徐々にbeing(=あり方・価値観)と、doing(=行動)の両方が変わっていくのが印象的ですね。

例えば、過去に担当した方の中に、「キャリアの踊り場にいる」状態の20代後半の女性がいらっしゃいました。受講開始当初は、今までやってきた仕事もやりがいがあり面白いけれど、本当にこのままで良いのか悩んでいらっしゃいました。もしかしたら新しいチャレンジをするタイミングなのではないか?と思うこともあるけれど、別の環境でやっていけるかどうかの不安もある。今進むべきか、それとも留まるべきか?選択に自信が持てないという状態だったんです。

でも、コーチングを通じて対話を重ねていくことで、「30代に向けて新しいチャレンジをすることが自分には必要なんだ!」と考えが変わっていきました。

では、どんなチャレンジがしたいのか?と更に問いを立てて掘り下げていきながら転職先を探して、最終的には希望する新しいキャリアに進むことができたんです。

ーー最初の時点で悩んでおられた「新しいチャレンジ」こそが本当にやりたかったことだったんですね!

久米澤:そうなんです!実は大抵の場合、悩みの「答え」はその人の中にもうあるんですよ。ただ、はじめはぼんやりとしていて自分でもわからない。なんだかもやもやした状態にあるのですが、壁打ちを続けていくことで解像度が上がっていき、最終的には最初から自分の持っていた「答え」に気付けるようになります。

自分にとって、自分の人生にとって何が大切なのか、俯瞰的な視点から問いを投げることで答えを引き出すのがコーチの大事な役割です。コーチングの面白いところはここで、クライアントの方が自分でも気づいていない良いところやポテンシャルが、対話の中から見つかっていくところです。まるで宝探しをしているようで、好奇心がくすぐられるんです。

私は、クライアントと自分は鏡の関係だと思っていて。新しいことに勇気を出して進んでいく姿や、皆さんが持つそれぞれのすばらしい価値観に触れることで、自分自身も新しい視点を得て成長していけるのもコーチングの素晴らしいところだと思っています。

「コミュニティとして向き合えるコーチング」で、1:1よりも大きなインパクトを生み出す

ーー久米澤さんが協働日本に参画されたきっかけをお伺いできますか。

久米澤:ちょうど協働日本がスタートした頃に、代表の村松さんに声をかけてもらったことがきっかけです。協働日本を通じて「人が変わっていく」ということを大切にしたいので、会社組織向けの協働日本事業だけでなく、個人へのコーチングもやりたいんだ、とおっしゃっておられて。

そのビジョンに共感して、自分にできることがあるならぜひ協力させて欲しいということで、「IPPO事業」のコーチとして参画しました。ひとりひとりのマインドや行動が変わることが全てのスタートなので、より多くの人が「一歩」を踏み出すことはとても大切なことだと思うんです。

ーーなるほど。久米澤さんは協働日本以外でもコーチングのお仕事をされていますが、協働日本の「IPPO」ならではの特徴や、他のコーチングとの違いを感じることはありますか?

久米澤:そうですね。キャリアコーチングを軸に置いているので、クライアントの方は、キャリアの中でもっと活躍されたい、新しいチャレンジをされたい方が多いというのが特徴的ですね。コーチングは通常、コーチとクライアントの1:1で行うので、2人で完結するものですが、「IPPO」のコーチングでは、「協働日本のビジョン・ミッション」に向かっておひとりおひとりと関われている感覚がありますね。「協働日本」というコミュニティとして、クライアントの方に向き合えるような感じでしょうか。

また、「IPPO」のクライアントの方とは、「協働日本」の他のお仕事の中で関われる機会に恵まれることもあります。例えば、協働日本の「九州地域統括」である加治屋 紗代さんのコーチングを以前担当したのですが、コーチング終了後に別のお仕事でご一緒する機会もありました。迷いながらも鹿児島でチャレンジをされていた姿にすごく刺激をもらいましたし、コーチング以外のご縁にも繋がっていったことはとても嬉しいです。

コミュニティとして縁が広がり、深まっていく。そんな「IPPO」の、「コミュニティとして向き合えるコーチング」で、「一人」対「一人」で発生するインパクト以上のものが生まれている実感と喜びがあります。

ーー「コミュニティ感」という人の繋がりの強さは、本当に協働日本ならではですね。コーチ同士の方の繋がりというのもあるのでしょうか。

久米澤:はい!IPPOのコーチ同士のグループをFacebookの中に作っていて、定期的に集まって情報交換したり勉強会を企画しているんです。

オンラインで集まることが多いですが、鎌倉にリアルで集まったこともあります。「最近はどんなことをやってる?」「どんな手法を使ってる?」などディスカッションしたり…最近うまくいったこと、上手くいかなかったことなどを話し合って、お互いにコーチングしたりしています。

コーチングをしていくとだんだん自分のスタイルができてくるんですが、当然いろんなやり方があるので、バックグラウンドの違うコーチが集まって話をすることで、他の方の手法を知ることができたり、相談しあえるのはとても心強いです。こういった繋がりも、やっぱり協働日本特有かなと思います。

コーチングは「大きな夢」へのひとつの手段

ーー「IPPO」のコーチングを通じて、久米澤さんが実現したいことはありますか?

久米澤:もっといろんな人にコーチングが届くといいなと思っていますね。「IPPO」のコーチの数もクライアントもどんどん増えていっているので、協働日本を通じて今までコーチングに触れたことのなかった人たちにも知っていただき、新たなチャレンジの第一歩にしてもらいたいです。

私は、「自分の情熱や才能に正直な人を応援する」を自分のミッションとして掲げています。コーチとして伴走することで、胸に秘めた情熱や価値観を言語化──形にしていくお手伝いをしています。この、情熱や才能・価値観こそが人の「自分らしさ」であると思っているので、より多くの人たちがコーチングを通じて改めてご自身と向き合い、自分の人生を自分らしく生きることができるようになって欲しいです。

また、最近「IPPO」のコーチングでは、個人へのコーチングだけでなく、法人や組織全体へのコーチングをする機会も増えてきました。個人が変わると組織も変わる。組織が変わると社会に与えるインパクトもそれだけ大きくなる、というサイクルがあると思うんですが、個人だけでなく組織開発としてコーチングに携われることで、社会を変えていくことにより近づいている。組織開発として協働日本に関わっていくことができるのも、今後の楽しみのひとつなんです。

ーー本日はありがとうございました!最後に、久米澤さんから、今後IPPOでコーチとして活躍してみたいという方、IPPOのコーチングを受講してみたいという方にそれぞれメッセージをお願いします。

久米澤:はい。いろんなコーチがいた方が、いろんな人にリーチできるので、多様な仲間ができるといいなと思っています。特に、本気で人を応援したい人、そしてその先に「協働日本の描く大きな夢」に向かって皆で歩いていることを共有できる人がコーチとして一緒に活動していただけると嬉しいです。

そして、コーチングを受けてみたいという方は、ぜひ気軽に扉を開けてみて欲しいです。コーチングを受ける方は、最初から大きな夢があるわけでもなくても良いと思っています。本当にちょっとした悩みでも構いません、ぜひお話を聞かせていただきたいです。実際に対話を始めてみたら、そこからきっと必ず何か見つかります。今の自分を少しでも変えてみたい方、いつでもお待ちしております。一緒に一歩を踏み出しましょう。

ーー本日はインタビューへのご協力、ありがとうございました。

久米澤:ありがとうございました!これからもよろしくお願いいたします。

久米澤 咲季 Saki Kumezawa

上智大学大学院 総合人間科学研究科 心理学専攻

大学卒業後、法律事務所での勤務を経て渡米し、大学院にて国際開発学修士号取得。帰国後、国際協力機構(JICA)にてインドネシアのインフラ開発を3年間担当。2015年NPO法人クロスフィールズ加入、人材育成×社会課題解決を目指すプログラムの企画実施を担当。2018年~2022年は事業統括として経営やチームマネジメントに従事。米国CTI認定プロフェショナルコーチ(CPCC)としてコーチング業も行う。現在は、大学院にて臨床心理学を勉強中。

久米澤 咲季氏も参画するIPPO事業については こちら

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