STORY:1129代表 大隣佳太氏 -最高に美味い鹿児島の和牛を世界中に届けたい。協働日本は想いに伴走してくれるペースメーカー-
協働日本で生まれた協働事例を紹介する記事コラム「STORY」。
実際に協働日本とプロジェクトに取り組むパートナー企業の方をお招きし、どのようにプロジェクトを推進しているのか、インタビューを通じてお話を伺っていきます。
今回は、株式会社1129代表の大隣 佳太氏にお話を伺いました。
株式会社1129は、鹿児島県産黒毛和牛に特化した精肉通販販売業者で、選びぬかれた牛肉を使用したハンバーガーの販売を行う「にくと、パン。」や、うどんと肉料理の美味しさを追求した「にくと、うどん。」などの飲食店も鹿児島で展開しています。
また同社は、鹿児島県産の黒毛和牛のステーキや、手作りハンバーガーキット、部位ごとのカット方法や調味料との相性など、黒毛和牛のさまざまな風味を体験できるビーフジャーキーなどの通信販売事業を行っており、同社のECサイト『1129nikulabo』や、「楽天市場」、「Yahoo!ショッピング」などでお買い求めいただくことが出来ます。
そんな株式会社1129の想いや、鹿児島県和牛の魅力を発信していくアイディアの実現に協働日本が伴走しています。インタビューでは、協働プロジェクトに取り組みはじめたことで生まれた変化や成果、これからの期待や想いについて語って頂きました。
(取材・文=郡司弘明・山根好子)
ずっと持ち続けてきた「和牛を売りたい!」という気持ち
ーー本日はよろしくお願いいたします。 企業の沿革や事業内容を教えてください。
大隣 佳太氏(以下、大隣):よろしくお願いします。
元々実家の家業が畜産業で、「和牛を売りたい!」という想いを強く持っていました。
農業高校を卒業後、農業大学へ進学し、その後に種畜場で修行後に家業を継ぎました。当時は24歳。鹿児島県産黒毛和牛のおいしさを日本中に広めたいと思っていましたし、良い肉を作って和牛オリンピックにも出場したいと思って頑張っていました。
しかし、口蹄疫や狂牛病で苦しみ、経営が苦しくなり27歳の時に畜産業を廃業せざるを得ない状況になってしまいました。
ーーなんと、そういった背景があったのですね。作りたいものが作れない、売りたいものが売れないという経験は大隣さんにとって、とても辛い経験だったと思います。
大隣:まさしく。和牛を売りたくても売れないという経験は大きな挫折で、その後には一度歩みを止めて海外に出ました。しばらく海外で過ごし、自分を見つめ直す時間を持ちました。
そうしているうちに、自分の武器となるようなスキルを身に着けておかないといけないと思うようになり、もう一度勉強し直そうと思いました。お世話になっていた先輩にも相談して、英語かITスキルのどちらかを徹底的に磨こうと決め、最終的にはITスキルの専門性を磨くことにしました。
ーーなぜ、ITスキルを選択したのでしょうか?
大隣:それは「やっぱり和牛を売りたい!」という気持ちが湧き上がってきたからですね。売りたいものをしっかり「売れる」ための知識があれば、もう一度和牛の良さを広めるビジネスが出来るのではと思ったからです。
とはいえ、畜産一筋だった自分にとっては一からの勉強でした。帰国後に、求職者支援学校にも通って基礎知識を身に着け、その後はECやWebマーケティングをどんどん独学で学び、いちごや野菜をインターネットで販売してみて、実践の中で専門性を磨いていきましたね。
ーー畜産一筋だった大隣社長にとって、まさに新しい挑戦だったのですね。協働日本が伴走させていただいている、株式会社1129の立ち上げ経緯もぜひ伺いたいです。
大隣:IT周りについてのキャリアを積み、その後、福岡のWeb制作会社へ就職しました。
その頃には、ITの力のすごさを日々実感していました。インターネットでものを売る仕組みが作れれば、日本中、世界中のお客さんを相手に商売ができるというのは本当にすごいことですよね。
良いものを提供出来て、しっかりと売る仕組みが作れれば、ちゃんと売上を作れるというのは大きな自信になりました。
当時大変お世話になっていたお客さんからも、自分の「鹿児島の和牛を多くの人に届けたい」という夢を応援してもらえるなど、本当に良い出会いがありました。
そうしてインターネットを使ってものを売るスキルを身に着けたのち、「まだ注目されていない商材に新たな価値を掘り起こし、世界中にサービスを提供する」、株式会社バリューを設立しました。
そして2020年この理念を継承させ和牛のEC販売に特化した会社・株式会社1129を立ち上げたという経緯になります。
かつての畜産仲間だった、有限会社末吉畜産さんから「良い肉ができたので世に広めてほしい」と相談もいただき、今では本格的に鹿児島産黒毛和牛を売る会社として戦略を描いています。
ーー大隣さんご自身の事業にかける想いを伺えたことで、1129で販売されている和牛へのこだわりや熱い想いを感じました。そんな大隣さん、そして株式会社1129は、なぜ協働日本と共に取り組むことを決めたのでしょうか?きっかけを教えて下さい。
大隣:きっかけはちょうどコロナ禍の中で、鹿児島県の方から協働日本さんを紹介してもらったことがきっかけです。ちょうど協働日本さんが鹿児島県と事業を進めており、県内の企業に様々な形で伴走していると伺っていました。
一度お話をしてみたところ、1129の想いに共感してくださり、とてもお話が弾んだこともあって、ものは試しと思って伴走をお願いしました。今では、取り組みができて本当に良かったと思っています。
協働日本さんには主に、様々なプロジェクトのマネジメントをお願いしています。
日々、様々な商品や販売のアイディアが浮かんでくるものを、具体的な形に落としてこんでいくために、伴走してもらっています。それによって、アイディアも言いっぱなしにならず、具体化していけるようになりました。
週次で宿題とフィードバックのサイクルを回し続けることで、戦略と実行が加速する
ーー関わっている協働プロの印象をお聞かせください。
大隣:協働日本の協働プロから、相川知輝さん、池本太輔さん、芹沢亜衣子さんの3名がチームで伴走してくださっています。協働プロの方はみな、丁寧にコミュニケーションをとってくださり、こちらの「これを実現したい」という想いを汲み取ってくださるのでとても信頼しています。
しかもどの方も、本業でちゃんと実績のある方が複業としてプロジェクトに入ってくださっているので、安心してプロジェクトマネジメントをお任せできます。
さらに一般的な「コンサルティング」ではなく、「伴走支援」という形での関わり方も私はとても気に入っています。
私たちは別に、一方的に答えを教えてほしいとは全然思っていないので。実現したい私たちの想いが先にあって、それを形にするために、一緒に伴走してくれるという関係性がとても心地よく感じています。
週次の打ち合わせには、弊社の専務でもある弟(大隣 将太朗氏)に参加してもらっています。
打ち合わせを通じて、専務の考え方や、販売戦略などがブラッシュアップされているのを感じます。
私がすべて指示出しして進めることも出来るのですが、今後の会社の成長のためには専務である弟にもどんどんと仕事を任せていきたい。その意思決定の場に、経験豊かな協働プロの皆さんにサポートで入ってもらえることは安心感がありますね。もちろんアイディアを形にしていく過程も見せてくれているので、納得感もあります。
重要だと認識しているけど、忙しい日々の中で向き合えていないことが山ほどあります。特に経営者だとなおのこと、自律的にちゃんと課題に向き合って、形にしていく過程の難しさを知っています。
日々、色々なことが起こる忙しい日々の中で、しっかりと期日を切って、それに対して的確なアドバイスとともにプロジェクトを進めてくれる伴走者の存在はとてもありがたいです。
ーー取り組みの目指すゴールや、テーマをお聞かせください。
大隣:協働日本さんとの取り組み前までは、次々新しいアイディアが浮かぶものの、忙しい日々の中でそれを形にすることが出来ていませんでした。季節に合わせた販促の提案なども、最後まで実行できないことがあり、いつも歯がゆく感じていました。
EC販売における大方針として今後は、黒毛和牛の部位ごとに合わせたカット方法や、食べ方の提案を通じた「高付加価値」な商品の開発・販売に注力していきたいと思っています。
現在は、生産者との密な仕入れルートを持っているため、ECサイト上でも高品質な和牛を他よりもリーズナブルな価格でお届けすることが出来ています。しかし一方で、それだけではなく「和牛のプロ」としての知見やノウハウを盛り込んだ商品開発を通じた、提案の幅を増やしていく必要性を感じていました。
「実行力の強化」と「新商品開発」。この2つが、取り組みにおける大きなテーマでした。
ーー具体的な成果や、共に向き合っている課題など、協働の様子をお聞かせください。
大隣:EC販売の次の柱になるような商品を探すべく、肉のプロである弊社の知見と、協働プロの皆さんの視点を掛け合わせて、様々な商品開発に取り組みました。
一つ目は、厚さ3.2cmにカットした厚切りステーキ。肉のプロとして導き出した、最もおいしく食べられる厚さにカットしたステーキをECで販売しました。
アイディア自体は私の中にあったのですが実現できておらず、あらためて協働日本さんの力を借りて、訴求方法の検討や、実現の為のタスク整理を行っていきました。
協働プロの皆さんにプロジェクトをマネジメントしていただいたことで、この商品も無事販売することができました。さらに、日本中の名産品に精通している、協働プロの相川さんの知見をお借りできたことで、HPなどで「魅せ方」にこだわった訴求もできました。
二つ目は、ハロウィン限定の手づくりハンバーガーキット。直営店のハンバーガーショップ「にくと、パン。」のノウハウを活かした新商品として売り出しました。バンズに色が付けられることがきっかけで生まれた、ハロウィンカラーのバンズでつくる黒毛和牛100%のハンバーガーです。
協働プロのみなさんと、顧客体験を想像し、かざりつけやチーズの切り方など、食べ方だけでなくSNSを意識した「映え」の訴求も行いました。実際に多くの購入実績が生まれ、SNS上でのシェアも確認できました。
ーーお話から、協働の中から実際に新商品が誕生し、成果が生まれている様子が想像できました!
大隣:今は年末商戦に向けて、新たな商品セットを開発中です。
ギフト需要を見据えた新たな商品で、肉の専門家の知見を活かした牛肉の部位の食べ方提案と、協働プロの顧客視点を盛り込んだ商品で、中身だけでなくパッケージにもこだわっています。
協働プロのみなさんと一緒に、毎回のミーティングで要点を潰しこんでいったことで、忙しい中でしたが形になりました。取り組みを始めてから次々と、新商品アイディアが実現できているのは、協働日本とのミーティングがペースメーカーになっていることが本当に大きいです。
ーーコロナ禍で始まったお取り組みも、現在まで続いていますよね。長くお取り組みが続いている理由を教えてください。
大隣:もちろん、シンプルに効果を実感しているからですね。はじめは半年間と思っていた伴走支援も、延長させていただきもう一年近くになります。
2020年に創業した1129は、3~5年かけて基礎を固めて、その後にしっかりと成果を最大化する計画で事業を進めてきました。来年2024年はその意味でも勝負の年となります。
この大事なタイミングだからこそ、伴走支援を通じてしっかりと外部のサポートを得る価値を感じています。
今がまさに、27歳の時の自分の夢の延長線。
ーーお話をお聞きし、とても良い関係性の中で「協働」が出来ているのだと感じます。ぜひ、これからの展望もお聞かせください。
大隣:弊社のECサイト『1129nikulabo』や、「楽天市場」、「Yahoo!ショッピング」などを通じて、全国のお客様に届けられるよなECサイト基盤が整いました。
ラボを開設し、黒毛和牛の部位ごとに、カット方法や調味料との相性などを研究開発しています。黒毛和牛のポテンシャルを存分に引き出すための、商品開発基盤が整いました。
そして2021年には「にくと、パン。」2022年には「にくと、うどん。」といった、飲食店舗も設立できました。
いままさに、EC、商品、店舗が回りはじめて、思い描いていた「和牛を売る」ということがしっかりと形になってきました。
和牛を世界に届けたいと思っていながらも、悔しい思いで畜産業を廃業した27歳の時の自分。夢の続きがまさに今なんです。
今後は海外への展開も計画しており、来年2024年はますます忙しくなりそうです。
やりたいこともたくさんありますし、仕事や権限もどんどんメンバーに譲渡していかないといけない。
引き続き協働日本さんに伴走していただき、ペースメーカーとして1129をサポートしていただければと思います。
ーー27歳当時の夢の続きが今。そんな大隣社長の想いに、協働日本が伴走できていることを嬉しく思います。
これから協働日本はどうなっていくと思いますか?エールも兼ねてメッセージをいただけると嬉しいです。
大隣:弊社のように自社の商品に自信を持ちながらも、その販売戦略や次の一手を考える余裕がない企業は多いはずです。
協働日本さんのような、専門性や情熱を持った複業人材にサポートしてもらって、ペースメーカーとして伴走してもらうだけでも、どんどんアイディアは形になっていくと思います。
ぜひ協働日本さんにはもっと、全国の中小企業を支援してもらいたいと思いますし、こういった取り組みがもっと知られていけばいいと思います。
ーー本日はインタビューありがとうございました!ぜひこのあと、「にくと、パン。」で、ハンバーガーを買って帰りたいと思います。
大隣:ありがとうございました。黒毛和牛を使った自慢の商品です。ぜひ召し上がってみてください。
大隣佳太 / Keita Ootonari
株式会社1129代表。株式会社バリュー代表。肉師。
農業高校を卒業後、農業大学へ進学。種畜場で修行後に家業の南九州市で畜産経営に従事。牛の人工授精や受精卵移植などの知見を得る。その後、鹿児島県南九州市で家業の畜産経営に従事した後、2012年に畜産業を廃業。
ECやWebマーケティングを独学で学び、その後、福岡のIT企業に就職。会社員時代を経て、2018年に福岡で株式会社バリューを設立。ECコンサルやWebマーケティング、アプリ開発などに従事。
その後、和牛への熱い想いを胸に2020年、通販専門精肉店・株式会社1129を設立。和牛のおいしさ・提供方法を追求するための研究開発ラボ「1129LTD. nikulabo」を開設。
鹿児島県産黒毛和牛の魅力を発信する飲食店「にくと、パン。」「にくと、うどん。」を展開するほか、鹿児島県産の黒毛和牛のステーキや、手作りハンバーガーキット、ビーフジャーキーを、同社のECサイト『1129nikulabo』や、各種ECサイトで販売している。
協働日本事業については こちら
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