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VOICE:四元 亮平 氏 -想いを持つ方を支える「名脇役」として。マーケティングを通じた地域企業の価値の再発掘と成長を目指す。-

協働日本で活躍するプロフェッショナル達に事業に対する想いを聞くインタビュー企画、名付けて「VOICE」。

今回は、協働日本でブランディング・マーケティング支援のプロとして地域企業の伴走支援を行う四元亮平氏のインタビューをお届けします。

四元氏は、リアル店舗を活用したマーケティング支援の専門家として、これまで様々な企業の成長を支えてきました。協働日本への参画を通じて、地域企業の課題解決に取り組みながら、新たな価値創造に挑戦しています。

協働を通じて生まれた支援先の変化やご自身の成長、そして今後の展望について語っていただきました。

(取材・文=郡司弘明・山根好子)

自然と”商売”に触れていた幼少期の環境。経験を活かして地域企業のポテンシャルを引き出す支援をしたい

ーー本日はよろしくお願いいたします。まずは、四元さんの普段のお仕事やこれまでのキャリアについて教えてください。

四元 亮平氏(以下、四元):はい、よろしくお願いいたします。現在、私はPLAY Inc.の代表として、小売業界を中心にブランディングやマーケティング戦略の支援を行っています。PLAYは「心が豊かになる買い物体験の創出」をビジョンに、小売業界で店舗開発からセールスにDXまでのワンストップ支援に取り組んでいます。

ーー小売を中心としたご支援ということですが、これまでのキャリアでも小売業に携わられる機会が多かったのでしょうか?

四元:そうですね、10歳で中古のゲームソフトを販売することを通じて商売の面白さに気付き、21歳からポールスミスで販売職を8年、30歳で独立し企画製造業と店舗代行業を8年展開して今に至っています。

ーー幼少期のそういった体験が四元さんの今のキャリアの原点になっているのですね。

四元:地元神戸の三宮で、親戚が露天商を営んでいました。週末や長期休みになるとゲームソフトの中古カセットを仕入れてワゴンに積み、スペースを借りて大人を相手に販売するという経験をさせてもらっていました。

そういった環境があったので、自然と商売の世界に触れるようになり、今に至るまで小売業に関わっています。

ーーありがとうございます。続いて、四元さんが協働プロとして協働日本に参画されたきっかけについて教えていただけますか?

四元:もともとアパレル業界や自動車業界のクライアントを多く支援していたのですが、2〜3年前からローカル企業の可能性に魅力を感じるようになりました。特に、地方の企業が持つ独自の価値や文化に興味を持ち、それらを引き出すことで市場を広げられるのではないかと考えたんです。そこで、そういった活動をやってみたいという発信や、情報収集をするようになっていました。

そんな折、知人を通じて協働日本を紹介してもらったのがきっかけです。面白い取り組みをしている会社があるということで興味が湧き、私自身も地域企業の支援をしていきたいと思っていたところだったので、代表の村松さんと実際にお会いしてお話しを伺い、ビジョンに共感し、プロジェクトに参画することを決めました。

価値を再認識したことで気付いた新たなニーズと、事業を成長させる道筋

ーー四元さんが参画されたプロジェクトの内容について、詳しくお聞きしたいと思います。

四元:現在は、鹿児島県内の2事業者様の伴走支援を行っています。その中の1社である株式会社第一塗料商会さんにはプロジェクトマネジメントの役割で参画しています。

第一塗料商会さんは、これまで自動車塗料、建築用塗料、工業用塗料をはじめとするBtoBを中心に事業を展開する塗料の会社です。新たにBtoC市場に進出し、より多くの一般消費者にサービスを提供したいという課題を持たれていました。今回の協働プロジェクトでも、この課題をテーマにして、戦略策定を支援しています。

ーー具体的にはどのようなプロジェクトの進め方をされたのでしょうか?

四元:最初に取り掛かったのは、事業のビジョンやターゲット層の定義を行い、toC向けに展開しているブランド「塗屋本舗」の価値を明確にすることでした。これまでの「塗屋本舗」の顧客データを整理していくと、誰がどんなものを求めているのか?塗ってほしい商品やニーズもバラバラで、ターゲットが定まっていないことが明らかになってきたので、依頼が入るごとにヒアリングをしてニーズを明確にしていくという取り組みを進めました。

そこからわかってきたのは、「塗装をしてほしい」というニーズには大きく2種類、「古くなったものを綺麗にして使い続けたい」というマイナスを戻す価値と、「今あるものを塗り替えてさらに良いものにしたい」という、プラスを生む価値がそれぞれ見出されていることでした。

ニーズの掘り下げをしていく中で特に意外だったのは、「推し活」のお客様が一定数いらっしゃったことです。ペンライトを塗りたいという依頼や、推しの色とぴったりの色がない!という方が多くいらっしゃったんです。

これまでは漠然と30〜40代以降の年齢層をターゲットにしていた塗屋本舗でしたが、20代にも“気軽に塗装を楽しむ”体験を提供できるとわかったことも大きかったと思います。

ーーなるほど。徐々に塗屋本舗の価値やターゲットが言語化できていったのがわかります。

四元:そうですね。見えてきた顧客像やニーズに合わせて、この2軸のコンテンツをアップグレードしながら継続的に発信していくため、SNSによるプロモーション戦略も開始しました。特に「古くなったものを綺麗にして使い続けたい」というニーズは、第一塗料商会さんの強みである「色を通じたライフスタイル提案」との相性もよく、単なる塗装から「長く使い続けるための塗装サービス」というコンセプトを再構築しました。

小学生の頃使っていた勉強机をリペイントして、大人になっても使い続けられるというイメージビデオを作成、ライフスタイルに合わせて塗り直すことで、物がアップグレードされても、思い出や記憶は残り続けるというサステナブルな価値も伝わるようになっています。

このように、顧客戦略を明確化した上で、顧客ターゲットに合わせたフォロワー獲得施策を展開し、ブランド認知を強化。CRM導入の検討と、継続的な顧客接点の構築をサポートしていきました。

ーーありがとうございます。伴走支援を通じて特に感じられたプロジェクトの成果や変化についても教えていただけますか?

四元:先日の鹿児島新産業創出ネットワーク事業 最終報告会2025でもお伝えしたところではありますが、7か月の短期間でも、新規顧客の獲得や大きな請負工事に繋がるなど、大きな成果が生まれてきています。

その中でもやはりプロジェクトを通じて誰がこの価値を欲しがっているのか?ということが明確になり、第一塗料商会の皆さんにとっても自分達の価値の再認識ができた部分が最も大きな成果ではないかと感じます。

SNSなどオンラインで間口を広げて新規顧客を獲得していきましたが、次は来てくれたお客様にどのように継続してアプローチしていくか?という課題も議論できるようになりました。当初は新しいお客様をどんどん取っていこうという意識が強かったのですが、やはり小物の塗装だけで事業規模を拡大していくのは難しいです。

そこで、「一度塗ってもらった後」のお客様が、家の外壁塗装など本当に困った時の第一想起、信頼を獲得していくことを次の目標に置くようになりました。

ーー確かに、家の外壁塗装はどのタイミングで誰に相談すれば良いのかあまりイメージできない分野ですよね。

四元:そうなんです。実は、外壁塗装では訪問販売が多く、「そろそろ外壁を塗り直した方がいいですよ」という営業を受けて、即決で決めてくださる方もいらっしゃるんだそうです。第一塗料商会さんとしても、自社で受ければ同じ価格でもっと良いものができると感じていたそうで、推し活などをきっかけにできた若いお客様とのリレーションを継続して築くことで、口コミや紹介でアップセル・クロスセルを狙っていければと思っています。

今回のこの成果がでたことについても、私は枠組みを作っただけだと思っているんです。一緒にチームを組んでいた協働プロの和地大地さんや、協働サポーターの田中友惟さんが、その枠組みをしっかり掘り下げながら動き方を丁寧にサポートしてくれて、何より第一塗料商会さんが、新しい取り組みや考え方にアレルギー反応を出さず進めてくれたことによる変化と成果です。

わからないなりにも、自分達でやろう、と取り組んでくださったことが嬉しく、それを協働プロが引っ張っていってくれた、そんな良いプロジェクトだったと思います。7ヶ月間の伴走支援を経て次に取り組みたいことも見えてきたので、ここからさらに1年間プロジェクトを継続していくことになっています。

地域企業が持つ本来の強みを引き出し、成長させる、そんな名脇役でありたい

ーー協働の中で四元さんご自身の変化を感じることはありますか?

四元:今回のプロジェクトを通じて、より現場目線でのブランディングやマーケティングの重要性を再認識しました。今までの私自身のスタイルは、新しいことに取り組む前に今まで企業がやってきたことを見直すということに重点を当てていたんです。
今の状態がある=ここまで成長してきたことには価値がある、ということなので、この価値の再構築をするスタイルでした。今回も同じようなやり方ではありましたが、「鹿児島」という地域で協働を始めたことで、地域に根付いた文化や、そこで生活する人々の価値観をより強く意識するようになりました。

ーーなるほど。地域文化の重要性について、ぜひ具体的なエピソードを教えてください。

四元:鹿児島での伴走支援の中で、地域の方達とのコミュニケーション機会がたくさんありました。例えば、第一塗料商会さんのSNSプロモーションでは、地域で食レポをされているインフルエンサーの方を起用したのですが、やはり地域密着のインフルエンサーの方が地域のお客さまの理解度が高いんです。実際に塗装を依頼しに来られる方も地元の方が多いので、顧客の理解度も高く、解像度の高い戦略を立てやすい。一言でインフルエンサーの起用と言っても、影響力がある人を探すだけでなく、地元の人に愛され、応援され、文化への理解度が高い、地域愛のある人と組むと成功しやすいだろうという気づきがありました。

また、「地域で愛されるブランド」という視点も新たに学んだものの1つです。例えば、鹿児島の焼酎文化では、「全国での知名度や販売数」よりも、「地域でどれだけ親しまれ、日常酒として根付くか」が重要視されるという話を聞き、地元市場への深い理解も、ブランドの成長に不可欠だと実感したことがありました。

また、こうやって伴走支援を通じて、いろんな企業の事業、いろんな人の人生に関わり、これまでの自分の人生だけでは知らなかったことを知れる機会ができるということもとても面白く感じています。横についてるからこそ見える、知れることがある、追体験ができる。この経験自体も本当に楽しいですね。

ーーありがとうございます。四元さんはこれから協働日本でどんなことを実現して行きたいですか?

四元:地域企業が持つ本来の強みを引き出し、マーケティングを通じて成長させることを目指したいです。
第一塗料商会さんの事例では、「塗装を通じた新たな価値創造」というコンセプトを打ち出し、マーケティング施策によって認知度を向上させました。また、企業が「ブランディングとは何か」を理解し、継続的に実践できる体制づくりも進めています。

「良いもの」は世の中にたくさんあるんです。埋もれてしまっている「良いもの」を多くの人に知ってほしいですし、自分自身がそういったものを発掘していく面白さを感じています。この“良いもの”を生み出す人や、「これを広めたい」と強い想いを持つ方々を支える“名脇役”でありたいです。主役ではないけれども、いなければ物足りない存在───そんな関わり方で地域企業が持つ本来の強みを引き出し、成長させることが私のミッションです。

ーーありがとうございます。最後に、協働日本が今後どうなっていくと思われるか、協働日本へのエールも込めてメッセージをお願いします。

四元:協働日本の「専門家がチームで伴走支援する」というスタイルは、地域企業にとって非常に有益な仕組みだと思います。
また、協働プロにとっても大きな成長の場になると考えています。例えば私自身は過去に大企業で働いた経験はありませんでしたが、協働プロジェクトでチームを組んでいる協働プロの中には、大手企業で活躍される方もたくさんいらっしゃいます。同じテーマについて、同じマーケティングという角度で物を考えても、大手でしかできない事業構想や物の見方があってとても面白いですし、勉強になっています。
日本中にこのモデルを広げ、多くの地域企業が協働を経験することで、地方発の新たなビジネスモデルが次々と生まれることを期待しています。

ーー本日は貴重なお話をありがとうございました!

四元:ありがとうございました!

四元 亮平 / Ryohei Yotsumoto

マーケに強いToCセールス戦略コンサルタント。

UGG、BURTON、Leeなど現在まで数多くのブランド支援の実績を持ち、アパレル業界だけでなくBMW japanやTOYOPETなど他業界でも「マーケで強くするセールス戦略」を提供しながら、企業やブランドの売上を向上させる重要な「ヒト.モノ.ウツワ」の価値を最大化し、売上向上と同時に顧客の心が豊かになる買い物体験の提供を支援する。

また有力商業施設でのスタッフ研修や、ビッグサイトで開催されるアパレル最大級の展示会「FaW TOKYO」でのセミナー登壇、メディアでの執筆や文化服装学院の非常勤講師も務める。

2020/9にデジタルセールス入門書「スマホ1つで最高の売上をつくる接客術」をKADOKAWAから出版。webメディア「Eczine」アパレル業界誌「ファッション販売」など連載実績も多数。

協働日本事業については こちら

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協働日本で活躍するプロフェッショナル達に事業に対する想いを聞くインタビュー企画、名付けて「VOICE」。今回は、協働日本でマーケティングのプロとして地域企業の伴走支援を行う富田 慎司氏のインタビューをお届けします。

これまで、外資系の消費材メーカー、日系の飲料メーカーでそれぞれ活躍し、主力ブランドのマーケティング戦略を担ってきた富田氏。通っているMBAの授業や自身の体験をきっかけに、これから先も日本の企業が世界に伍し続けていくため、その事業の成長を自ら支援していきたいという想いを抱いたことが、協働日本に参画したきっかけと話す富田氏。

協働を通じて生まれた支援先の変化やご自身の変化だけでなく、今後実現していきたいことなどを語っていただきました。

(取材・文=郡司弘明・山根好子)

マーケティングの力で、世界でもっと勝負できる日本企業を増やしていきたい。

ーー本日はよろしくお願いいたします。まずは、富田さんの普段のお仕事やこれまでのキャリアについて教えてください。

富田 慎司氏(以下、富田):よろしくお願いいたします。大学卒業後、外資系消費財メーカーでキャリアをスタートし、現在は日系の飲料メーカーでブランドマーケティングに携わっています。

ブランド戦略からマーケティングコミュニケーション開発、ブランド財務管理など、ブランドマーケティング業務の全てを担っています。

ーーずっとブランドマーケティングに携わっているのですね。学生時代からご興味がおありだったのでしょうか?

富田:そうですね、ブランドというよりはマーケティングに興味があったんです。

私は、オーケストラやオペラが好きなんですが、その趣味を通じて「アートマネジメント」という概念に出会ったんです。芸術文化を広げ、利益を上げていくことに大きな課題を抱えているケースが多いんです。でも、そういった芸術団体も自分たちで稼ぐ力をつけないと、政府や公共団体に頼ってばっかりじゃダメだということも同時に言われていて。

そんな、芸術できちんと稼ぐ「アートマネジメント」の存在と、その一つの手法として「アートマーケティング」という考え方があることを知ったんです。「オーケストラも、チケットをどう売っていくのかを考える時代なんだ」とびっくりしたんです。

それがきっかけで、自分の好きなものを人に届けて、好きになってもらう、幸せになってもらう仕組み作りって、面白そうだな、ワクワクするな、と思ったのが始まりですね。

ーー外資系企業から日系企業へ転職されていますが、何か転機があったのですか?

富田:はい。現在MBAに通っているのですが、授業の中である教授が「日本企業の競争力は海外に比べて著しく低下している」と話していたんです。

株価の低迷や、グローバル市場でのシェア減少なども事実としてあります。最近では海外からの移住者や労働者も増えていますが、それによって日本の良い文化が薄れていってしまっているのではないかと懸念も持っていて、「日本企業にもっと頑張ってほしいな」と思うようになっていきました。

実際に外資系企業でずっとマーケティングに携わってきた中で、日本企業の多くはマーケティングに課題があると思うことも多かったんです。USJを立て直した森岡毅さんも「マーケティングで日本の企業を強くしていく」とおっしゃっており、マーケティングにより日本企業のポテンシャルをもっと引き出せるのではないかという肌感もあったので、自身の強みであるマーケティングの力を日本企業に還元していきたいと思ったことが転職の背景にあります。

ーー続いて、富田さんが協働プロとして協働日本に参画されたきっかけについても教えていただけますか?

富田:今お話しした通り、「マーケティングの力で、日本企業を世界に伍する企業に成長させていくお手伝いがしたい」と、日本企業の未来について真剣に考えるようになっていたところ、協働日本代表の村松さんが、中小企業に伴走できるマーケティング人材を探していると、共通の知人から紹介を受けたんです。

最初はオンラインでのミーティングで、協働日本代表の村松さんとCSOの藤村さんとお話しさせていただいたんですが、大企業での豊富な経験を持つお二人が、目を輝かせながら中小企業支援についてお話しされていることがとても印象的で。こんなに夢中になれる仕事ってあるんだ、面白そうだなと感じたのが第一印象でしたね。

日本企業の成長を支援したいと考えた時に、日本企業の99.7%は中小企業なわけです。でも、じゃあ私が地方の中小企業に転職するのか?と言われれば、それはやっぱり容易ではないですよね。

なので、そういうところに伴走支援という形で入っていくビジネススキームも面白いなと感じましたし、自分のマーケティングスキルでどれだけ中小企業のお役に立てるのか、武者修行じゃないですけど知りたいなと思うところもあって、参画を決めました。

プロジェクトが徐々に自分事になる。その閾値を超えた瞬間、チームが動き出す。

ーー続いて、富田さんがこれまで参画されてきたプロジェクトについて、詳しく教えてください。

富田:これまで、鹿児島県の企業、株式会社オキスさんとワカマツ自動車さんのプロジェクトマネジメント、株式会社栄電社さんのプロジェクトに協働プロとして伴走に入らせていただいています。最近は石川県の企業のプロジェクトもキックオフしたところです。

ーーそれぞれのプロジェクトについて詳しく教えていただけますか?

富田:はい。まず1社目の株式会社オキスさんは、農産物の生産、加工、販売、物流等を一貫した商品として提案流通を行っている農事組合法人です。「ベジブロスムージー」という健康食品事業の立ち上げのプロジェクトを支援していて、もう2年になりますね。

もともと「ベジブロスムージー」の構想はあったのですが、製品開発や販売戦略など具体的なプロジェクトはスタートしていない段階だったので、伴走支援に入らせていただくことになりました。

初年度はアイディアのブラッシュアップからスタートし、商品開発やブランディングも行いました。
実際に消費者インタビューを実施してターゲット層のニーズを掘り下げたり、ニーズに合わせたパッケージデザインを作るために複数のクリエイティブブティックにデザインブリーフを作っていただいて比較検討したりと、本当にいわゆる「マーケティング体験」と「事業開発」を一通り実践した形ですね。

今年度は完成した製品をどのように販売していくか、マーケティングのコミュニケーションアセットを作って、どこでどうやって展開していくのかなど、マーケティング戦略の具体化に注力しているところです。ここまでやっている中小企業は多くはないんじゃないかなと思えるほど本格的なブランド戦略を描いています。

ーー本格的な販売フェーズに入っているのですね。楽しみです。次にワカマツ自動車さんはいかがですか?

富田:ワカマツ自動車さんは今年度からの新しいプロジェクトで、現在進行中です。

マーケティング戦略とブランディング戦略の策定に取り組んでおり、まずは「自分たちはどのような会社になりたいのか」「強みは何か?」を考えることからスタートしました。内外環境の分析も同時に始めたのですが、外部環境に関してはリサーチを行いながら、自分たちがどういうサービス設計をするのか、マーケティングとしてはどこをタッチポイントとして顧客とコミュニケーションをしていくのかということを検討しています。

ーー伴走支援を通じて、協働先にはどのような成果や変化が見られましたか?

富田:特に印象的だったのは、オキスさんでの変化です。当初、リーダーである営業部長が主導する形で進んでいましたが、他のメンバー3人はどちらかというと受け身で、なかなか意見を言えない状態でした。ある時、たまたま営業部長が出張で不在のミーティングがあり、せっかくなので「皆はこのプロジェクトをどうしたいのか」腹を割って話し合う機会を作ったんです。すると、実は自分たちも色々思うことはあったんだけど、それをチーム内で共有しきれてなかったという話が出てきました。

こちらからは、その課題を解決するための手法について、アイディア出しや提案はせずに、「どうすれば解決できると思いますか?と問いを投げかけてみました。プロジェクトチームのメンバー同士でちゃんと納得しながら進めたいみたいなことをおっしゃっていただいて。

そこからは実際に、2日に1回くらい、30分〜1時間くらいの時間このプロジェクトについて話をする時間を取るようになり、今日はこういう話をみんなでして、納得しきれていない人やところがないか、意見を出しあうように変わっていったんです。 しかもその会議でこういう話をしたという結果も協働チームのLINEグループで送ってくれるようになりました。

ーーまさにチームの文化そのものが変わった瞬間ですね。

富田:はい。こうして何回かミーティングを重ねていって、ある閾値を超えると協働先の社員のみなさまが突然「覚醒」される瞬間というのを何度も目の当たりにしているのですが、その時に成長していただいている実感を得られるのは本当に嬉しい瞬間です。

私の感覚として、プロジェクトが「やらされ仕事」から、「自分がやりたいこと」になった時に閾値を超えていく印象があるなと思っていて。

協働プロジェクトでは支援先の部長や、経営人の方と話すことはたくさんあるのですが、その人1人とやっているわけではなく、伴走先にもちゃんとプロジェクトチームがあるんです。ただ、そのチームも「社長から言われたから」「部長からの指示通りにする」といったような感じで、メンバー一人一人が自分事として動いていないと思う時は、プロジェクトの進捗自体も遅い印象を受けるんです。

そういう時にはメンバーの方達にも「そもそもなんでこのプロジェクトをやろうと思ったんですか?」など、本当に根本的な部分をきちんと問いかけ直すようにしています。「今って本当にこの方向でプロジェクト進んでいるけれどいいのかな?」みたいな、原点を ずっと問いかけ直し続けると、徐々に「私ってこういうことがやりたかったんです」というインサイトがポロっと出てくるようになります。

例えばオキスさんのチームメンバーからは「本当は野菜の力で、女性の活躍を応援・推進したい」という本音が見えてきて、グッと前に進むようになってきました。それまでは、社長の方針や、健康食品についてアドバイスをいただいていた外部の方の意見に従っているといった雰囲気がどこかにあったのですが、やっぱり自分たちがこの商品にどういう思いを込めているのかというところを問いかけ直して、自分事化できた時に、「私はこうしたい」「こうだと思う」というような主体的な発言や議論が増えていきました。

自発的なミーティングが増え、同時にプロジェクトに対して自分の気持ちを言語化するようにもなり、どんどんチームとして動きが良くなって行ったことを実感しています。その結果が、製品化であり、ブランディング、販路の拡大と今の進捗に繋がっていっています。

協働日本は能動的な企業を増やす「触媒」。


ーー協働プロとして活動されるようになってから、富田さんご自身の変化はありましたか?

富田:そうですね。本業での仕事の仕方に影響があったこととしては、色んな人にちゃんと話を聞くようになったことかもしれません。これまでは、チームメンバーにブリーフィングをして、「いつまでにこれをやってね」と頼みながら、自分で判断して仕事を進めていたんですが、他の人の目線、客観的視点を聞くことがかなり増えました。

というのも、プロジェクトにコミットしていない人に意見を聞いても、専門性や背景の認識があまりない方のフィードバックは「個人の感想」でしかないと思っていたところがあったからなんです。

でも、オキスさんとのプロジェクトの中で、普段マーケティングの業務をしていない方と試行錯誤しながら進めていると、自分だけではカバーできなかった新たな視点がある───視点の多さが武器になるといったことに気づくことができたんです。

多角的な視点から見落としなくすることでプロジェクトを強くしていくことができることに気づきました。

一人だけで取り組むよりも、みんなで同じ方向を向いて船を進めていく方が、船は強く早く進む。協働を通じて一人一人の強い思いがビジネスを加速させていくことの重要性を改めて実感しています。

ーー富田さんは、これから協働日本でどんなことを実現して行きたいですか?

富田:私の目標は最初にお話しした通り、「日本企業が世界で戦える存在になること」です。国内市場が縮小する中、海外展開は避けられないけれど、いきなり海外に挑戦するのは難しい。まずは国内で基盤を作り、脚力を鍛えることが重要です。協働日本の伴走支援がその助けになればと思っています。

私は今、MBAでも「日本ブランドが海外市場でどのように受け入れられるか」を研究しています。例えば、ターゲット国ごとに異なる消費者行動を分析し、企業がどの市場でどう勝負すべきかを具体的に示せるような指針を作りたいと思っています。

個人としても協働プロとしても日本企業を支援することで、関わった企業の皆さんが飛躍的な成長を遂げ、世界に誇る企業として活躍していけるようにしたいです。

ーーありがとうございます。最後に、協働日本が今後どうなっていくと思われるか、協働日本へのエールも込めてメッセージをお願いします。

富田:協働日本は、地域企業で働く社員皆が力をさらに発揮できる環境を共に創り、自立した企業に成長するための「触媒」だと考えています。そして、協働日本の支援を受けた企業が成功し、その成長を見た他の企業が「自分たちも挑戦してみよう」と能動的に動く未来につながるといいなと思うんです。

複業人材と地域の中小企業が混ざり合う「協働」が起爆剤となって、日本の中小企業ももっと頑張れるんだ、と、自分達で奮起して成長していけるようになったらいいですよね。

そういった風潮が広がれば広がるほど、日本全体が活性化し、世界に挑戦できる企業が増えていく。能動的な企業を作る触媒として協働日本がある。そんな未来に繋げられたらと思います。

ーー本日はインタビューへのご協力、ありがとうございました。

富田:こちらこそ、ありがとうございました!

富田 慎司 / Shinji Tomita

慶應義塾大学法学部卒業後、2015年、ユニリーバ・ジャパンへ入社。
入社後、一貫してマーケティング部門に従事し、ヘアケア、スキンクレンジング、ホームケアなど多くのカテゴリのマーケティング責任者を歴任。
ユニリーバ・ジャパンにおけるブランドマネジャーとして、新製品開発・企画立案、ブランディングを通した事業の成長を牽引。

現在は日系飲料メーカーにて引き続きブランドマーケティングに携わる。

協働日本事業については こちら

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