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VOICE:永田 陽祐 氏 -地元や、地元のために頑張る人たちのために、等身大の自分で貢献したい。

協働日本で活躍するプロフェッショナル達に事業に対する想いを聞くインタビュー企画、名付けて「VOICE」。

今回は、協働日本のIPPO事業でコーチングを行う永田 陽祐氏のインタビューをお届けします。

永田氏は、スコットランドの大学院に留学後、商社を経て組織開発のコーチングを行なって来られました。現在は故郷の奄美大島と東京で二拠点居住を行いながら自身の事業運営とコーチングの両方に従事しています。

永田氏がIPPOのコーチングに参画したことで生まれたクライアントの変化やご自身の変化、今後実現していきたいことなどを語っていただきました。

(取材・文=郡司弘明・山根好子)

東急百貨店で奄美大島のモノづくりと文化を発信するイベントを企画

いつか地元・奄美大島に貢献したいという想いと、異文化な環境で働く中で見つけた「自分のやりたいこと」

ーー本日はよろしくお願いいたします。まずは、永田さんの普段のお仕事やこれまでのキャリアについて教えてください。

永田 陽祐氏(以下、永田):はい、よろしくお願いします。

今現在は東京と故郷の奄美大島で二拠点生活をしながら、コーチングの仕事を行いつつ、奄美大島では宿泊施設、カフェバー、空き家問題対策事業などを行う会社を経営しています。

私の実家で伝統工芸である大島紬を作っていたこともあり、以前は、将来的に海外で大島紬を売ってみたいという想いを持っていたんです。そんな夢もあったので、東京の大学を卒業した後はスコットランドの大学院進学し、パブリックリレーションズ(企業がステークホルダーとのコミュニケーションをマネジメントする領域)を専攻しておりました。帰国後はじっくりと将来について考えたかったので、1年半ほどアイリッシュパブでフリーターをしながら自分が本気でやりたいと思える仕事を探していました。

ーーなるほど。そこからどのような会社を選ばれたのでしょうか。

永田:海外でビジネスをしてみたいという気持ちや、大島紬に関連する事業を作りたいという想いから総合商社に興味を持ち、三井物産株式会社のファッション繊維事業部に入社をしました。入社2年目の頃、当時の上司に「大島紬を販売できないかチャレンジしたい」と相談したんです。その時上司には「永田の想いはわかったが、本当に地元の方達も同じ想いかどうか、まずは奄美大島へ行って聞いてこい」と言われ。ありがたいことに人生の初出張は奄美大島でした。織元さんを回って色々と試みたのですが、暖かい協力をいただきいながらも完全に自分の実力不足で事業化できず挫折してしまいました。

その後、今度は社内の留学・駐在制度を活用してブラジルに行くことになります。

ーーブラジル!また違った文化に飛び込むことになったのですね。

永田:そうですね。ブラジルでは、今の私のキャリアのきっかけになる出来事がありました。
初年度はひたすらポルトガル語を勉強して、2年目からは出資先の企業に出向して経営補佐や営業として働きました。ものすごく田舎の地域だったんですが、仕事が終わって現地のブラジル人達とわいわい飲んで過ごす生活はとても刺激的で。

その生活の中で印象的だったのは、仲間のブラジル人達がみんな活き活きしていることでした。彼らはみんな、将来何をやりたいかが明確で、今やってることがそこにどう繋がってくか、つまりなぜこの仕事をしているかっていうことを言語化できていたことに気づいたんです。

 その時に、自分はこれまで、様々な文化圏の人たちと会話をしながら価値観や生き方について触れる中で、「じゃあ自分は何をして生きていきたいんだっけ」と考える機会に恵まれていたのだと実感しました。同時に、そのような異文化に触れて刺激をもらうような経験は、少なくとも私が奄美大島にいた時には得られなかったということにも気づきました。そこで、奄美大島にいながらそのような経験ができる場を作り、ブラジル人のように「何をして生きていきたいか」言語化できている人を増やすことが、等身大の自分にできる、自分らしい地域貢献の方向なのではないか?と考えるようになりました。

また、色んな国の人とプロジェクトを進める中で、やっぱり組織の中にモチベーション高く主体的に動く人がいないことには、どんなに優秀な人が揃ってても事業は進まないということも、身をもって感じたんです。

帰国後、いろんな人と話したり調べ回ったりする中で、個人に対しても、組織に対しても、その「主体的に働く人を増やす」ための手段としてコーチングという分野があることに辿り着き、パーソナルコーチングと、組織に対するコーチングへの興味が沸き始めました。日本に戻ってきてから実際に自分もすぐにコーチングを受けてみて、面白いと感じ、引き続き三井物産で働きながら、CTI JAPANでコーチングを学びました。将来自分が独立することを考えた時、どの事業を行うにしても自分がハンズオンで携わりたい領域がコミュニケーションとマネージメントだと気付き、本格的にコーチングの道へ進むことにしました。

商社を離れて株式会社コーチ・エィという組織開発のコーチングを手がける会社に転職しました。経験を積ませていただく中で、故郷の奄美大島に貢献したいという想いはずっと持ってはいたのですが、ある日コーチングを受けた際に、「いつか地元に貢献したいと言いながら会社員として生活し続けることが、結局は今の永田さんの本当にやりたいことなんじゃないですか?」というフィードバックを受け、グサっと刺さりました。恥ずかしいぐらい、その通りだと思ったんです。「いつかやる」と言い続ける状態を心地良いと感じている自分に気づかされました。。それがきっかけで、これではいけない、行動しなくてはと思い切って独立しました。

独立し、ブラジルで交流を深めた三井物産時代の仲間と共に、奄美大島にen- Hostel & Café barという宿とカフェバーを開きました。アーティストさんや、バックパッカー、スタートアップの社長などの旅行客と地元の方々が交流をする空間を目指しており、そこから派生した様々な事業にもチャレンジしています。そして東京では引き続き個人や組織のコーチングやキャリアコンサルタントをするという、二拠点生活が始まりました。

永田氏の運営する en- Hostel & Café bar

経営者の孤独に共感しながら、行動変革に繋げる。

ーー続いて、永田さんが協働日本に参画されたきっかけについて教えていただけますか?

永田:協働日本代表の村松さんとの出会いは、共通の知人が、村松さんを紹介してくれたことでした。村松さんは協働日本の案件でよく鹿児島にもいらっしゃっていましたし、村松さんを奄美市長にご紹介して一緒にお食事をするなど、交流を持たせていただきました。

協働日本のIPPO事業で、コーチとして力を貸して欲しいと大変ありがたい打診をいただいて、すぐに参画を決めました。自分も地方で起業した経験があるからこそ、地方の経営者の苦しみが分かる部分もあるので、そういう人たちに貢献できるようなコーチングに力を入れていきたいと思ってる時にお声がけをいただいたというのもあり、良いタイミングでもありました。

あとは単純に、村松さんのお人柄と志が大好きで(笑)本当に素敵な人だと思っているので、もう是非一緒にやりたい!と思ったのも大きな理由です。

ーーありがとうございます。これまでのコーチングについても、詳しく教えていただけますか?

永田:

IPPO事業でのコーチングという意味では、これまで15名ほどの方を担当させていただいています。石川県金沢市の山岸製作所さんや、上場企業のバリュエンスホールディングスさん等複数の企業様の、主に経営層の方のコーチングに携わっています。

私自身もオーナー社長なので共感していることも多いのですが、特にオーナー社長さんにコーチングをしていて特徴的だと感じるのは、会社のパーパスと個人のパーパスがほぼ100%一致しているということです。主語も「会社」と「自分」が話しながら入れ替わっていたりします。

なので、もう根っこから会社に主体化している状態です。そうすると、会社のパーパスに賛同してくれていなかったり、主体的に働いていないメンバーの気持ちをとても理解し難いし、「同じ船に乗ってくれない」と感じるメンバーがいると、単純にとても寂しいんですね。自分はこんなに会社をよくしようとしているのに、なんでだろう?と。一方で、社長としての信頼やイメージもあるので、その感情をぶつけるわけにもいかず、悩んでいる方は本当に多いです。

ーー確かに、どうやったらメンバーに想いが届くのか?と苦戦されている経営者の方は多いですよね。

永田:社長になるということは「飛行機のコックピットに座ること」に似ていたりします。色んな苦労をされながら、周りの意見を聞きながらようやくそこにたどり着いたのに、いざ座ってみるとそこで発する自分の言葉は全て機内アナウンスみたいにオフィシャルな言葉として受け取られてしまうし、これまで大切にしてきた周囲の声も、コックピットに入ると聞こえなくなってしまう。「経営者は 孤独」というのは、本当にその通りなんだろうと思います。

実績を残してきた優秀な方にこそ、磨いてきた「マイルール」や「絶対にこれが正しい」と疑わないものってあると思います。でもその絶対正しいと思っていることは、本当に今この状況でこの相手に対しても「絶対に正しい」のか。実はそれこそがブラインドスポットを作っていて、本当に変えるべき自分の側面を隠してしまっているかもしれなません。そういうことに一緒に向き合うのが、私がやりたいコーチングです。
例えば、過去のクライアントさんでも、「1対1だとフラットに喋れるが、1対多になった途端、 ついファイティングポーズを取ってしまう」という方がいらっしゃいました。深ぼって考えていくと、その方には「強い経営者像でいなければならない」という焦りがあり、そして「強いリーダーでいなければ信頼されなくなってしまう」という不安がありました。「簡単に意見を曲げたり撤回したりすると、信頼されないんじゃないか」という不安が、「話を聞かないリーダー」という印象を与え、結果として最も得たいはずの「信頼を得る」というゴールから自分を遠ざけてしまっていました。その方の場合は、「リーダーは強くあるべき」という前提が、ブラインドスポットを作っていました。セッションでは、その前提を言語化した上で、「改めて何をしていくのか」を会話していきます。

経営者は影響力がとても大きいので、 セッション中の気づきがそのまま組織や経営チームに影響を与えて行ったりします。そんな変化をライブリーに見られる瞬間が、自分のコーチとして存在意義を実感できる瞬間でもあって、いつも気が引き締まる思いでいます。

起業する方々に向けた「創業期のパーパス」に関するワークショップ

自分の経験がコーチングの幅を広げていく。コーチも「挑戦し続けるプレイヤー」

ーーIPPOコーチングの中で永田さんがご自身の変化を感じたり、気づきを得たことはありますか?

永田:実は今まで個人事業主として受けてきたコーチングのお仕事も、今年から法人化しようと思っているんですが、それは、IPPOでコーチングをしていく中で新たに大事にしたいことが1つ出来たことがきっかけです。

それは、「コーチも挑戦し続けるプレーヤーであるべき」ということです。

一般的には、コーチングは”ティーチング”ではないので、クライアントと同じような経験をしていなくても良いと言われます。つまり、コーチングのプロであることが重要で、経営者のコーチングをするために、自分自身が経営者である必要はないということです。これはある意味では本当にその通りだと思います。共感をしすぎたりアドバイスをすることがコーチの仕事ではないので。
しかし、IPPOコーチングで地方の経営者と話をしていて僕自身「その気持ちわかる」と思った時に、敢えてそれを真っ直ぐに自分の言葉で伝えてみると、それがフックになって、「そうなんです!さらに乗せると〜」と深まったり、「それとは少し違うのですが自分の場合は〜」と言語化のきっかけになるケースが多々ありました。そのような、自分のプレーヤーとしての経験を通してのフィードバックは、一気に対話を深いところまで持っていく力があると思います。

そう思った時に、自分のプレーヤーとして挑戦しながら得ている感情や気づきをも自分の大切なリソースとしてコーチングに発揮していって良いんじゃないか?という気づきに繋がりました。

とすると、起業していることや、地方出身であることや、海外で異文化コミュニケーションに悩んだ経験など、全て自分のリソースとして活用できるし、挑戦し続ければコーチングの幅も広がるのかもしれません。

ーー最初にコーチングに興味を持たれたときに「等身大の自分で貢献できることでは」とおっしゃられていたところにも繋がりそうですね。

永田:そうですね。結局、コーチングも人と人だよなと。コーチはエゴとプライドを脇に置くべきだという言葉を聞いたことがあるんですけど、私は今までエゴとプライド脇に置けている人にほとんど会ったことないので(笑)”ある”ことが前提でもいいんじゃないかって思うんです。そう開き直ることが、私にとっては”等身大”に感じています。


それに、他事業での経験を等身大のままコーチングで活かせると考えると、これこそ協働日本の強みであるようにも感じます。協働プロやコーチはご自身の事業領域で挑戦されている人ばかりですし、そこで悩めば悩むほど、IPPOコーチングが深く充実していくのではないでしょうか。

協働日本が、地方の枠を飛び超えて、企業や若者の可能性を引き出せる存在になれたら面白い。

ーー永田さんは、これから協働日本でどんなことを実現して行きたいですか?

永田:引き続き、「地方のために、地元のために」と挑戦している方に対し、尽力していきたいです。

自分自身の経験も活かしながら、少しでも本心からやりたいことの実現に向けて行動する人を増やしたり、目標とする組織風土の実現に向けた個の変革や、組織内のコミュニケーションを活性化させるためのコーチングをしていきたいです。

そのためにも、やはり自分自身を アップデートし続けることが重要だと思うので、一生学習者というスタンスで、どんどん新しいことにチャレンジして、うまくいった、ダメだったと悩み続け、 経営者としてもコーチとしても成長していきながら協働日本さんに関わっていけたら大変ありがたいです。

ーー最後に、協働日本が今後どうなっていくと思われるか、協働日本へのエールも込めてメッセージをお願いします。

永田:本当に素晴らしい取組だと思いますので、コーチングの領域ももっと広がっていけば良いと感じています。経営者・管理職だけでなく、役職についていない方が早い段階で自分自身のパーパスを描くことにも関われれば、例えば採用後のオンボーディングをサポートするなど、様々な領域でクライアント企業様のお力になれるのではないでしょうか。

また、クライアント様は地域に根ざした企業ばかりですので、協働日本さんは企業へのサポートを通して地域を活性化し、日本を地方から元気にするような推進力に、今後更になっていかれるのだと想像いたします。そのようなワクワクする取り組みに関わらせていただいている事が大変ありがたいですし、私自身も挑戦を続けながら、その一助になれれば幸いです。

ーー本日はインタビューへのご協力、ありがとうございました。

永田:ありがとうございました!

永田 陽祐 / Yosuke Nagata

(一財)生涯学習開発財団認定プロフェッショナルマスターコーチ
en- Hostel & Café bar代表

2010年 早稲田大学 政治経済学部卒業
2011年 University of Stirling (英国スコットランドの大学院)Strategic Public Relations & Communication Management修士課程修了
2013年 三井物産株式会社(東京本店→ブラジル駐在)
 アパレル領域の法人営業→ITスタートアップ企業への事業投資担当→モビリティ領域の新規事業開発
 ブラジルに留学→出資先鉄鋼加工企業にて社長補佐兼営業スーパバイザーとして駐在
2019年 株式会社コーチ・エィ(東京)
 上場企業の経営者や管理職に向けた1on1コーチング及び、組織開発プロジェクトに従事
 主に中南米市場の市場開拓に従事
2021年 独立し、現職

永田 陽祐氏- Instagram

En- Hostel & Cafe bar
En- Hostel & Cafe bar- Instagram

協働日本事業については こちら

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越境チャレンジ

越境チャレンジ-協働型人材育成プログラム-

週に数時間で、リーダーが育つ『越境経験』 本業に取り組みながらオンラインで参加できます。

越境チャレンジ-協働型人材育成プログラム-』の特徴

  • 難易度の高い地域企業の経営課題に直面することで、正解がない中で道筋を描く力が身につく。
  • 地域企業の経営者の視野、視座、想いに触れて、本気で向き合うことで当事者意識が磨かれる。
  • 第一線のプロフェッショナルの視点を学ぶことで、実践的なスキル・経験が得られる。
  • 定期的な振り返りの機会から、個人の変化や成長、本業へ還元できる学びを実感・言語化できる。

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2023年1月30日(月)19:00~20:30 @ZOOM セミナー構成
1. イントロダクション
2. これからの時代に求められる変革人材の要素
3. 『越境チャレンジ-協働型人材育成プログラム-』の取組み紹介
4.現役執行役員の『越境経験』の紹介
5. 対談
6. Q&A、アンケートなどのご案内

プレスリリースでもご紹介いただいた、バリュエンスジャパン執行役員 井元信樹さんをお招きし、奄美大島紬の地域企業経営者と取り組んでいるプロジェクトについてお話しいただきます。この『越境経験』によってどんな成長や成果を生み出したか?本業にもどんな影響を与えているか?そのリアルをぜひ皆様にご紹介頂きます。

お申し込みは こちら


株式会社協働日本 越境チャレンジ-協働型人材育成プログラム- の詳細については こちら