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STORY:バリュエンスホールディングス執行役員 井元信樹氏 -限られた時間とリソースの中で事業戦略を組み立てたからこそ得られた学びと変化-

協働日本で生まれた協働事例をご紹介する記事コラム「STORY」。

今回は、協働日本が(株)スパイスアップ・ジャパンと共同でご提供している、協働型人材育成プログラム『越境チャレンジ』の参加者、井元信樹さんにインタビューをさせていただきました。

複雑で急速に変化するビジネス環境において、リーダー人材には、異なる環境でビジネスを運営し、問題を解決する「越境経験」がますます重要になっています。

一方で、既存の越境学習のプログラムには、長期にわたって対象社員を現場から出向させる必要がある等、人事部にとって導入しづらいなどの課題が聞かれます。

そこで協働日本は、”グローバル人材育成・海外研修”に実績のある(株)スパイスアップ・ジャパンと共に、参加者が本業に取り組みながらオンラインで参加できる『越境チャレンジ-協働型人材育成プログラム-』を開発し、地域企業経営者との協働の機会をご提供しています。

今回はそんな『越境チャレンジ』から生まれた協働の現場から、第一号プロジェクトに参加しているバリュエンスホールディングス(株)事業戦略本部 執行役員・事業戦略本部長の井元信樹さんをお招きし、どのようにプロジェクトを推進しているのか、インタビューを通じてお話を伺っていきます。

奄美大島の有屋集落で8代続く大島紬の織元である、有限会社はじめ商事との協働プロジェクトを2022年9月から推進している井元さん。インタビューでは、越境チャレンジへ挑戦することになったきっかけや、そこで生まれたプロジェクトの成果、ご自身が感じている変化や成長についてお話しいただきました。

(取材・文=郡司弘明)

モノに込められたストーリーに寄り添ってきた

ーー本日はよろしくお願いします!今日は、進行中のプロジェクトについてだけでなく、井元さんがなぜ越境チャレンジに取り組もうと考えたのかなど、お取り組みのきっかけになったエピソードや、ご自身の変化などをお伺いできればと考えております。

井元 信樹氏(以下、井元):はい、あらためて本日はよろしくお願いします

ーーまずは井元さんご自身についてお聞きしたく、自己紹介をお願いします。

井元:バリュエンスの井元と申します。今回、越境チャレンジに参加して、本当に貴重な経験をさせていただいたので本日はそんなお話ができればと思っています。

私自身、越境チャレンジの中で、自分のコンフォートゾーンを飛び出せたことが大きな学びや変化につながったと感じていますので、そのためにまずは弊社で普段どんな仕事をしているか、ということをお話しさせていただきますね。

弊社バリュエンスは、「なんぼや」という屋号でブランド品や貴金属を買い取るといった事業を全国展開しています。富裕層の方などから買い取ったブランド品を、オンラインオークションを通じてBtoBで事業者に向けて販売をしています。今は特にグローバルにも力を入れていて、海外にも積極的に販売しています。ありがたいことにブランド品の買取額に関しては、日本一仕入れている会社として業界でご認識いただいています。

そのように、ブランド品買い取りがメイン事業ではあるものの、最近では事業の多角化を進めていまして、様々なスポーツのアスリートと協業して、ユニフォームやクラブチームのグッズ等をオークションを通してファンに届けるプラットフォームビジネスの運用も進めています。

そのほか、プロダンスリーグでのチーム経営にも最近では取り組んでおり、チームの立ち上げも一から行うなど、スポーツ文脈での事業展開も広がりつつあります。

ーー幅広く事業を展開されているのですね。事業戦略本部長として活躍されている井元さんのこれまでのバリュエンスでの歩みについても、よろしければ教えてください

井元:2012年2月に(株)SOU(現:バリュエンスジャパン)に中途入社しました。2011年12月28日にバリュエンスが設立されたので、比較的初期のメンバーと言えます。

それまではBARなどの飲食店で働いていました。人と接することは以前から好きでしたし、ブランド品などにも興味があったので、当時のブランド買取担当という仕事は面白さを感じていましたし、やりがいもありましたね。

ーーどんなところに面白さや、やりがいを感じていたのですか?

井元:買い取り担当として重要なことのひとつに、いかにリピーターを生み出せるか、というものがあります。そのためには買い取りに来られるお客様のニーズを捉えて、最初の買い取り査定でしっかりと納得感を持っていただき、リピーターとして何度も足を運んでいただくことが重要になります。

商品のトレンドを勉強することも非常に重要ですが、私が大切にしていたのは、モノに込められたストーリーにちゃんと寄り添うということ。

ブランド品を売りに来られるお客様にとって、持ち込まれるものにはそれぞれストーリーがあります。初任給で買った時計だったり、贈り物でもらった指輪だったり。そういったストーリーに寄り添うことで、お客様から「あの兄ちゃんだったら信用できる!」と思ってもらうことが重要なんですね。

モノに込められた背景に目を向ける姿勢というのは、今回のはじめ商事さんとの取り組みでも大切にしている視点ですし、バリュエンスでもそういった姿勢で仕事に取り組んだからこそ成果にも繋がって、マネージャーとして色々な仕事を任せてもらえるようになったと思っています。

「奄美大島の持続可能な未来をつくる」を合言葉に

ーーそんな井元さんが、「越境チャレンジ」を通じて地域企業との協働に取り組もうと考えたきっかけを教えてください。

井元:会社がより大きく成長していくために、役員クラスも含めて人材育成を強化していく必要性を感じていました。

そんな中で、越境チャレンジの話をお聞きし、普段接していない異業種で活躍されている経営者とのコミュニケーション機会であったり、まして外部の経営者の方と一緒に事業に取り組む経験というのは、弊社の役員にとっても絶対プラスとなる研修プログラムだと思いました。

自分自身もバリュエンスで10年以上仕事をしてきた中で、このタイミングでぜひ新しい経験を積んでみたいと思い、その役員でもある自分がまず最初にやらせて欲しいと手を挙げました。

ーーそうして始まった「越境チャレンジ」ですが、その第一印象をお聞かせください。

井元:協働先の企業として、鹿児島県の奄美大島にある「はじめ商事」という会社をご紹介いただきました。はじめ商事代表の元さんとじっくり話をするところからスタートし、色々なことを教えていただきました。

はじめ商事は、奄美大島で大島紬という日本の伝統技術を受け継ぎ、とても素晴らしい製品を作り続けています。この大島紬が現在、職人の高齢化や担い手の不足、若者の着物離れも相まって、生産量の減少が続いているのだと知りました。

元さんは、業界自体が衰退していってしまうことや、大島紬の技術を後世にどうやって受け継いでいくのかということについて強く危機感を持っていらっしゃって、これまでのように着物を作るだけではなく、新しいことにもどんどんチャレンジしていきたいと話されていました。これは、チャレンジしがいのある難しいテーマだなと思いましたね.

ーー「越境チャレンジ」として取り組んだプロジェクトはどんなものだったのですか?

井元:プロジェクトのメインテーマは元さんが取り組む新しい事業を伴走支援することでした。

元さんは近年、伝統的な大島紬の製造だけでなく、新しい事業として大島紬を作る工程の中にある「布を織る」という技術を活かした、「奄美布」という新しい商品作りに取り組んでいました。

もともと古くなった大島紬を織り直す技術だったそうですが、それを大島紬以外の着物にも広げたり、ビニールのような素材でも織れるようにしたり。今まさにトレンドでもある、地球環境に配慮したサステナブルなものづくりにつながる技術だと思いました。

元さんと、この越境チャレンジという機会を活かして、自分の持っている知識や経験を活かして、伝統的な大島紬の販路拡大だけでなく、新たな「奄美布」というブランドもどうやって拡大していこうか色々な議論を重ねました。

ーープロジェクトの向かうべき方向性やミッションなどは、そういった議論の中で固まっていったのでしょうか?

井元:議論の中で、元さんは何度も奄美大島という島自体への強い想いを語ってくださいました。奄美大島は大島紬で栄えてきた島という経緯もあり、大島紬は奄美の歴史そのものでもあると。

昔は大勢いた織師も、産業の衰退とともに大きく減ってきており、技術継承も危機的状況です。

だからこそ、奄美布のような新たな需要をまた掘り起こしていくことが非常に大切で、奄美ならではの技術が注目されることで、島自体を盛り上げていきたいし、それによって伝統技術を守っていきたい。

僕らのミッションとしては、そんな「奄美大島の持続可能な未来をつくる」ということを合言葉にしてやっていきましょうと、議論を通じて方向性が固まりました。

監督兼選手状態で「戦略」も「実行」も

ーー普段バリュエンスで取り組んでいる業務とは異なる業界・商品の事業戦略を考える、まさに「越境」体験ですね。

井元:自分の知らない商品、体験したことのない業界ですから、一から学ぶ必要もありますし、なにより取り組み先の、はじめ商事の元さんあってのことですから、普段やっている仕事の進め方とは全く違います。だからこそ、新しい刺激をたくさん頂いています。

ーー実際に越境チャレンジが始まって、どんな学びや気づきを得ましたか?

井元:普段バリュエンスではありがたいことに、会社の看板はもちろん、メンバーや事業資金など、様々なリソースを活用して事業をさせていただいています。だからこそ求められる成果も大きいのですが、分業体制で仕事を進めることができる。

一方で今回、ここまでリソースが限定的な環境でビジネスを考えたのははじめてでした。

ーーリソースが限定的とは?

井元:スポーツに例えるなら、監督兼選手状態です(笑)

バリュエンスでの仕事では普段、監督に近いポジションで事業全体を統括、指揮することが仕事柄多かったのですが、今回のプログラムはとにかく自分も元さんと一緒に手を動かしました。

実行のアイディアが湧いても、それを実現するのは自分。限られた時間や資金の中で、優先度をつけて取り組まないと、何も実現できない。戦略を考えながら、同時に手を動かす大変さを痛感しました。

そしていちばん大切なことはなにより、元さんのマインドをどうやって高めていくのかということ。基本は二人だけで進めているプロジェクトですし、顔を合わせてのミーティングは週に一回。 お互いそれぞれ、一週間の間に自走できるかが大事になってきます。だからこそ、元さんの事業をただサポートするだけじゃなくて、元さんに「やらなくちゃ」だったり、「やりたい!」と以下に思ってもらえるかが大事。

ーーまさに「伴走支援」といった感じですね。実際のお打ち合わせはどんな風に進めていったのでしょうか?

井元:事業の主役ははじめ商事の元さんですが、プロジェクトメンバーは二人しかいないわけですから、一緒に伴走しないと前に進められません。戦略も実行も、自分たちでやらなくちゃいけません。

打ち合わせは毎週1時間、オンラインで行っています。最初に戦略を考えていた頃は特に、時間がいくらあっても足りませんでした。バリュエンスの仕事も忙しかったのですが、例えば、移動中の飛行機の中などの時間もうまく使いながら、仕事と並行して越境チャレンジに取り組みました。

戦略が固まりだして、登るべき山の道順が見えてきてからは、週次の1on1で戦術を作り込んでいきました。元さんへどんどんヒアリングして、インタビューして、情報をエクセルに落とし込んでいきました。毎週、質問だらけで元さんは大変だったかもしれません(笑) おかげで早い段階で、事業の課題や、利益構造が把握できました。

なにより元さんも、この一時間を濃いものにしようという意識で望んでくださるので、とてもやりがいがありました。私も毎回アジェンダを用意していき、取り組んでおいてほしい宿題があれば、事前にリクエストしておくので、1時間でどんどん意思決定をしていく。

普段、細かなやりとりはメッセンジャーでも交わしていましたが、お互いに毎週のこの1時間をとにかく大切にしようという意識を持てていたことが良かったと思います。

ーー取り組みが始まってすぐに、奄美大島の現地を訪れたとか。

井元:現地に行って丸2日間、一緒に行動していて、じっくりと元さんと会話でき、先程お伝えしたような想いや、事業の課題を知れたのが本当に大きかったです。

実際に、大島紬の織りや染めを体験させていただき、取り扱う商材の理解を深めることもできました。

ーー実際に現地を訪れて、どんなことを感じましたか?

井元:現地に行ってまず感じたのは、とにかく手間がかかる!ということ。

もちろんその分、良いものではあるし、伝統的な技術の素晴らしさも詰まっています。ただそれでも、こんなに手間のかかる商品を相手にしているのか、と思いました。

これは低粗利でやると苦しくなってしまうなと、実感しました。奄美大島の伝統を後世に繋いでいくためにも、しっかりと価値を言語化し、金額としての価値も高めてブランド化していかなくてはと思いました。

現地に行ったことで、私がバリュエンスの仕事の中で多く取り扱ってきた高級ブランド、例えば、ヴィトンやエルメスのように生地へのこだわりや伝統を言語化し、ブランドとしてしっかりと語れる、ストーリーのある商品として届けていくという方針が見えてきました。

私のこれまでの経験と、奄美大島での体験が越境チャレンジで結びついた瞬間でした。

本業での知識や経験が越境先で、新しいアイディアに繋がることも

ーー具体的にどんなアクションを行っていったのか教えてください。

井元:着物としての需要が先細りしている中で、織物として問屋さんに卸す以外に、新たな「売る機会」を作っていかなくてはいけないということで、新たな販路を模索していきました。

その中で、私の経験や知識が活かせそうな販路のひとつとして、プロスポーツとのコラボレーションにもトライしました。具体的には、先程ご紹介した「奄美布」の技術を使って、バスケなどのプロスポーツチームの選手ユニフォームや、タペストリーなどを使ったバッグなどのグッズ販売です。

ファンの心理としては、大好きな選手やお気に入りのチームのグッズが、織り直されることによって普段から持ち運べるものに変わるのですから、ぜひ手に入れてみたいですよね。

バリュエンスで取り組んでいるHATTRICK(ハットトリック)という、スポーツ団体やアスリート、アーティストから公式に依頼されたアイテムに特別な想いを込めてお届けするオークションサービスでの経験を活かすことができました。

スポーツチームのグッズに込められたストーリーと、奄美布というプロダクトに込められたストーリーの両方によって生み出されたものには、唯一無二な価値が生まれます。ヒアリングやテスト販売を通じて、奄美布の可能性や需要を確認することが出来ました。

ーーいくつか新製品の開発にもチャレンジしたと伺いました。

井元:バリュエンスでも取り扱う、ヴィトンのような高級ブランドでも、最近では電子マネーの普及もあって、実は財布以外の小物のラインナップが充実してきています。

はじめ商事さんでは、財布やコインケースがよく売れる主力の商品なのですが、そのトレンドも変化していくかもしれないという仮説を立てました。例えば、スマホを入れるサコッシュやPCケースなど、今後は何が売れそうか、一緒にトレンドを調査しながら商品開発を進めました。

ーー直近では、どんなことに取り組んでいますか?

井元:今は目下、ECサイトの立ち上げに取り組んでいます。

はじめ商事さんの大島紬や奄美布の価値を感じていただいた方が、また別な商品を手に取りたいと思った時に、これまでは買える場所が限定的でした。これだけ良いものをひとつひとつ作っているのに、買える場所がないというのはもったいない。

様々な販路を通じてはじめ商事のファンを獲得していきつつ、買いたいと思った方がいつでもアクセスできる環境も用意しておくことが大切だと考え、新たにECサイトを立ち上げることにしました。

これまでは店頭で商品を買ってくださるお客様が中心だったので、顧客データの管理が進んでいませんでしたが、今回のECサイト立ち上げを機に、データをしっかりと取得、活用していけるような体制も整えつつあります。

限られた時間でも本気で向き合えば、学びや変化は必ず得られる

ーーこういった越境体験、越境チャレンジを周囲の方にも勧めたいと思いますか?

井元:そうですね。少なくとも弊社の部門長たちには、一度経験してもらいたいと思いましたね。

先程お伝えしたように、監督としてビジネスを考える側が長くなると、どうしてもコンフォートゾーンの中で仕事をしてしまいがちです。

選手全員が揃っている中でビジネスをするだけでなく、限られたリソースを駆使して、アイディアと戦術を練り上げて戦う経験は、とてもいい刺激になると思いました。 あとは、「他の人に動いてもらうようにする」という経験。上司部下という指示系統で「人を動かす」のではなく、相手の気持ちを汲み取って動いてもらう。今回の元さんのように、自分以外の意思決定者の気持ちに伴走して、成果に結びつけていくというコミュニケーションにも学びがありました。

ーー最後に、越境体験に関心を持った方へのメッセージをいただいてもよろしいでしょうか?。

井元:元さんと出会って、元さんの「奄美大島をなんとかしたい」「大島紬の伝統を受け継いでいかなくては」という強い思いに触れたことで、ビジネスって本来は社会貢献っていうものが中心になるのだなとあらためて再認識することができました。

そういった熱い気持ちを思い出させてくれただけじゃなく、マネージャーとしての気づきや学びをたくさん得ることができました。

自分の仕事の価値や、積み重ねてきた自分のキャリアを見直すきっかけにもなります。週に一回とはいえ、自分自身がその一回に本気で向き合うことができれば、学びや変化は得られると思います。まずは、行動してみることをおすすめします。

ーー本日はありがとうございました

井元:ありがとうございました。

井元 信樹 Nobuki Imoto

バリュエンスホールディングス(株)事業戦略本部 執行役員・事業戦略本部長

2012年(株)SOU(現:バリュエンスジャパン)に入社、2021年より現職、オークション事業責任者、海外事業責任者、スポーツ事業責任者を務める。

2022年9月より『越境チャレンジ-協働型人材育成プログラム-』に参画し、奄美大島の有屋集落で8代続く大島紬の織元である有限会社 はじめ商事との協働プロジェクトが現在進行している。

協働日本事業については こちら

本プロジェクトに参画する協働プロの過去インタビューはこちら


VOICE:協働日本 枦木優希氏 -本質的な「価値」を言語化し、歴史ある老舗企業の未来に貢献していく –

VOICE:協働日本CSO 藤村昌平氏 -「事業づくり」と「人づくり」の両輪-
STORY:奄美大島での伝統産業(大島紬)活性化プロジェクト-取り組みを通じて感じる確かな成長-


NEWS:バリュエンスグループにて、越境チャレンジ-協働型人材育成プログラム-での取り組みをご紹介いただきました

バリュエンスグループにて、越境チャレンジ-協働型人材育成プログラム-での取り組みをご紹介いただきました

バリュエンスグループ(バリュエンスホールディングス本社:東京都港区、グループCEO:嵜本 晋輔)より、経営人材の育成を目的に、役員自らが参画する実践型の地域企業課題解決研修(越境チャレンジ-協働型人材育成プログラム-)を導入、実施したことをプレスリリースにてご紹介いただきました。

バリュエンス、地域企業課題解決型の役員研修を実施|バリュエンス

バリュエンスグループにて、株式会社協働日本と株式会社スパイスアップ・ジャパンが提供する「越境チャレンジ-協働型人材育成プログラム-」を導入いただき、鹿児島県奄美市で大島紬の生産・販売事業を営まれている「有限会社はじめ商事」社ご協力のもと実践型研修を実施いたしました。

詳細につきましては、バリュエンスグループのプレスリリースを御覧ください。

地域企業経営者との壁打ちミーティングの様子

現地で染体験中のバリュエンスジャパン執行役員 井元信樹氏


ご紹介した事業について

越境チャレンジ

越境チャレンジ-協働型人材育成プログラム-

週に数時間で、リーダーが育つ『越境経験』 本業に取り組みながらオンラインで参加できます。

越境チャレンジ-協働型人材育成プログラム-』の特徴

  • 難易度の高い地域企業の経営課題に直面することで、正解がない中で道筋を描く力が身につく。
  • 地域企業の経営者の視野、視座、想いに触れて、本気で向き合うことで当事者意識が磨かれる。
  • 第一線のプロフェッショナルの視点を学ぶことで、実践的なスキル・経験が得られる。
  • 定期的な振り返りの機会から、個人の変化や成長、本業へ還元できる学びを実感・言語化できる。

関連したイベントのお知らせ

2023年1月30日(月)19:00~20:30 @ZOOM セミナー構成
1. イントロダクション
2. これからの時代に求められる変革人材の要素
3. 『越境チャレンジ-協働型人材育成プログラム-』の取組み紹介
4.現役執行役員の『越境経験』の紹介
5. 対談
6. Q&A、アンケートなどのご案内

プレスリリースでもご紹介いただいた、バリュエンスジャパン執行役員 井元信樹さんをお招きし、奄美大島紬の地域企業経営者と取り組んでいるプロジェクトについてお話しいただきます。この『越境経験』によってどんな成長や成果を生み出したか?本業にもどんな影響を与えているか?そのリアルをぜひ皆様にご紹介頂きます。

お申し込みは こちら


株式会社協働日本 越境チャレンジ-協働型人材育成プログラム- の詳細については こちら

STORY:チャンピオンカレー 南恵太社長 -自社経営幹部の伴走相手として経験豊かな複業人材を活用。実感した大きな「変化」とは-

協働日本で生まれた協働事例をご紹介する記事コラム「STORY」。

プロジェクトに取り組むパートナー企業の方と、プロジェクトに参画する協働プロをそれぞれお招きし、協働日本がどのようにプロジェクトを推進しているのか、インタビューを通じてお話を伺いました。

今回は、株式会社チャンピオンカレー 代表取締役社長 南 恵太氏と、同社への伴走型メンタリング支援を行っている協働プロの小谷 克秀氏にお越しいただきました。

金沢カレーの元祖でチャンカレの愛称で親しまれている「カレーのチャンピオン」。運営する株式会社チャンピオンカレーは、北陸3県を中心に店舗展開。金沢カレーの発祥の店として全国にファンを持つ、石川県を代表する企業の1社です。

現在、協働日本がお取り組みさせていただいている、チャンピオンカレー経営幹部の方々への伴走型メンタリング支援。

その取り組みのきっかけや、支援を通じて生まれた変化について、お二人にお聞きしました。

さらには今後の複業人材との取り組みの広がりの可能性についても、南社長に経営者の視点からメッセージをいただきました。

(取材・文=郡司弘明)

Web会議サービス(Zoom)を用いて南氏、小谷氏へインタビューを行いました。

短期間で大きな変化を実感した研修プログラム

ーー金沢カレーお馴染み、「チャンカレ」の愛称で親しまれている「カレーのチャンピオン」を運営する、株式会社チャンピオンカレーの南社長にお話を伺います。
ーー本日はよろしくお願いします。まずは協働日本と取り組むきっかけについてお聞きしてもよろしいでしょうか?

:よろしくお願いします。きっかけは、金沢の企業の経営者や経営幹部を集めた「Workit」という人材育成育成プログラムにチャンピオンカレーとして参加したことでした。

小谷:「Workit」は、金沢で数多く宿泊施設を運営している株式会社こみんぐると協働日本が共同開発した、短期集中型で経営課題に向き合うという「合宿型研修」プログラムで、金沢の企業の経営者や幹部候補を主な対象にしております。

以前、協働日本のインタビューでもお話したのですが、私も実際に講師役として参加し伴走支援させていただいています。

:もともと繋がりのあった知人に、Workitをご紹介頂きました。

ちょうど会社としても大きな取り組みを考えているタイミングだったこともあり、よい機会だと考えて役員メンバー3名と共に参加しました。

短期集中型で経営課題に向き合うプログラム「Workit」
ーー会社としての大きな取り組み。それはどんなことだったのでしょうか。

:それまで創業一族しか経営層にいなかったのですが、当時、一族以外の自社社員をはじめて役員登用したタイミングでした。

新たな役員メンバーには、社としても大きな期待を寄せています。

そこで彼らにはぜひ今後、経営層との共通言語となる「事業横断的な考え方」や「経営者視点」を深めてほしいと考えていましたが、あまり社員数の多くないこともあり、なかなか社員への研修機会を設けることが出来ていませんでした。

小谷氏は「Workit」の講師役として2泊3日の合宿に伴走
ーー実際に研修へ参加してみていかがでしたか。

:参加した研修は三日間で、実際に会社への新規事業提案まで形作るというものでハードな内容でしたが、研修を終えた彼らの様子を見て驚きました。

経営的な視点や、事業の捉え方など、短期間ながら大きな変化が生まれていました。

小谷:研修では、2泊3日という限られた時間の中で、課題の深堀りからフィールドワークまでを徹底的に行いました。最終日の三日目には参加企業の経営者に対して経営や事業に関する提案を実際に行うため、参加者はもちろん、講師も真剣勝負です。

事業開発に必要な足腰を鍛え、経営者に近い視座をみなさん獲得して帰っていきます。こういった経験は、普段の業務ではなかなか獲得できません。

南社長が、参加した役員の方の変化を感じていただけたのであれば、講師としても大変嬉しいですね。

ーーなるほど。その後どういった経緯で、伴走型メンタリングの取り組みがスタートしたのでしょうか?

南:参加した役員の変化を実感したこともあり、取り組みがこの研修単発で終わるのはとてももったいないと感じました。

そこで、参加した3名のメンター役という形で、3日間の研修で講師として伴走してくれていれていた小谷さんに引き続き伴走をお願いしました。

小谷:3日間という短期間で、実際に社長に新規事業提案を出さなくてはいけないのですから、参加者にとっても、ものすごいプレッシャーのかかる研修ですよね。

講師役として、研修を設計・運営していた私にとってももちろん責任は重大でした。

だからこそ、研修を終えてからも今後も継続的に支援を、とお声がけいただけたのは大変光栄でした。

伴走型メンタリングを通じて、社員が事業を多角的に見れるようになった

ーー伴走型メンタリングを通じて、どのような変化が生まれましたか?

南:小谷さんには、定期的に弊社の役員人材3名のメンタリングをお願いしています。

まだ始まったばかりではありますが、実業に対する課題感を持った上で、壁打ち相手を務めてもらっているので1回あたりの内容がとても濃いと感じています。

メンタリングをお願いしている役員は、それぞれ別領域・別事業を担当しているのですが、最近では3名とも以前より事業を多角的に見れるようになったと変化を感じています。今後もさらに期待しています。

ーー小谷さんは、具体的にはどのような頻度、内容でメンタリングを行っているのですか?

小谷:メンタリングは約2週間に1回の頻度で行っています。毎回1時間のミーティングでは、直面している課題の分析を行ったり、課題を整理・棚卸ししながら、一緒に戦略や戦術を考えています。

:メンタリングを通じて、貴重な外からのナレッジを取り込めています。

自分たちではなかなか気づけない視点を持ち込んでくださることも多く、ありがたいと感じています。

小谷:私はこれまでのキャリアの中で、経営者の右腕として働く経験が長かったこともあり、思考を言語化することやモデル化することには自信がありましたので、そういった強みを活かせているのかなとも思いますね。

取り組み企業の一員になって向き合うからこそ生まれる信頼

ーー小谷さんが、メンタリングの中で心がけていることはありますか?

小谷:特に心がけていることは、私もチャンピオンカレーの一員として関わることです。

外部の人間としてメンタリングするだけでは本質的な課題はなかなか見えてこない。自分も同じく会社の一員だと言う想いを持って飛び込んでいくからこそ、本当の意味で皆さんをサポートできると考えています。

チャンピオンカレーという会社の体制はもちろん、社員の皆さんの顔も頭に入っていますよ!

:小谷さんはそこがすごいと思います。

弊社の事情をしっかりと理解したうえで、壁打ち相手を務めてくださっている。だからこそ、信頼してお任せできています。

メンバーが抱えている抽象的な課題もひとつひとつ言語化しながら進めてくださっており、研修とは違う実践的な内容でメンタリングを組んでくれています。

小谷氏は実際に カレーのチャンピオン 店舗にも足を運んだ

人材育成に課題を感じている地方企業は多い

ーー近年では、IターンやUターンという形で、地方企業が優秀な人材を獲得する事例も増えてきています。一方、地方企業ならではの人材育成の課題はありますか?

:はい、貴重な人材をどうやって育てていくのかは、多くの地方企業の課題だと思っています。

優秀な人材を獲得することが出来たあとも、即戦力として事業に向き合ってもらいながら、日常的に視野を広く持ってもらったり、視座を高めるような時間を作るのはとても難しい。

そのため、小谷さんのような経営者とのビジネス経験が豊富な複業人材に、メンターとして伴走してもらうような取り組みは、ぜひ一度試して見る価値があるのではないでしょうか。

実際に小谷さんには、ミドルマネジメントをする人間の心構えといった点なども伝えてもらっています。やはり、経験から出てくる言葉はメンタリングを通じて彼らの刺激になっているようです。

ロジカルな部分だけでなく、事業そのものを彼らの中でどう位置づけるのかというマインドセットのようなものは、誰もが教えられるようなものではないのでありがたいですね。

日々、目の前の業務に向き合う日々の中で、どのように人材育成を育成するかは重要な課題

自律分散的な働き方が広がるからこそ「信頼」が大切になってくる

ーーこのような複業人材との取り組みは今後、どうなっていくと思いますか?

:経験豊かな人材と複業という形で取り組みができることに、可能性を感じます。

小谷さんには複業としてスポット的に稼働して頂いていますが、小谷さんのような方を従来のような形で雇おうとすると、コストが折り合わないことも多い。

今はオンラインで、場所を問わずに繋がることができます。今後は優秀な人材に、条件付きの中で事業をサポートしてもらうことがもっと当たり前になっていくのではないでしょうか。それぞれがアライアンスを組んで、自律分散的にチームで働く社会になっていくと思います。

だからこそ、信頼性というものが非常に大事になってくるとも思います。もちろんその人が持つスキルも大切ですが、その人がどういうマインドセットで取り組んでくれるのかが重要です。小谷さんとのお取り組みを通じても実感しました。

ぜひ協働日本さんには、熱い想いを持った、信頼できる優秀な人材のプールになっていただきたいと思います。

ーー本日はインタビューへのご協力、ありがとうございました。

:ありがとうございました。

小谷:ありがとうございました。

協働日本では、直接事業に関連したマーケティングや販促等のご支援だけでなく、人材育成といった観点でも伴走型支援をご提案可能です。

ご関心ある地域企業様は、お気軽に協働日本にお声がけください。

写真:山岸政仁(フォトデザイン・カンパニー)

南 恵太 Keita Minami

株式会社チャンピオンカレー 代表取締役社長

1985年石川県生まれ。米カリフォルニア大サンディエゴ校経済学部を卒業後、2009年に大和総研に入社。

東京都内の外食企業などの勤務を経て13年1月に家業であるチャンピオンカレーに入社。16年10月から3代目の社長に就任。

小谷 克秀 Katsuhide Kotani

(株)プロゴス 営業本部 マーケティング営業部 部長


大学卒業後、(株)パソナにて金融系大手法人営業・営業企画に従事。
楽天(株)にて楽天市場出展店舗向けの事業企画・事業開発を担当。
エン・ジャパン(株)にて新規事業開発・アライアンス戦略に携わる。
ランサーズ(株)にてセールス&マーケティング事業担当執行役員を経験。
その後、(株)レアジョブ プロゴスマーケティング営業部長を経て現職。

専門領域
新規事業開発、事業運営、事業企画、営業企画、新規事業担当者育成

人生のWHY
「天職創造」

協働プロの小谷克秀氏も参画する、協働日本事業については こちら

小谷氏が協働日本事業に対する想いを語った過去インタビューはこちら
VOICE:協働日本 小谷 克秀氏 -協働を通じて地域企業の「新規事業」に向き合う-

STORY:奄美大島での伝統産業(大島紬)活性化プロジェクト-取り組みを通じて感じる確かな成長-

協働日本で生まれた協働事例をご紹介する記事コラム「STORY」。

プロジェクトに取り組むパートナー企業の方と、プロジェクトに参画する協働プロをそれぞれお招きし、協働日本がどのようにプロジェクトを推進しているのか、インタビュー通して聞いていきます。

鹿児島県の奄美大島を中心に生産されており、世界三大織物にも数えられる伝統織物「大島紬」。この大島紬が現在、職人の高齢化や担い手の不足、若者の着物離れも相まって、生産量の減少が続いています。

協働日本では、奄美大島でこの「大島紬」を活かした事業展開をされている、はじめ商事の元允謙(はじめ・ただあき)さん、紬レザーかすりの川畑裕徳(かわばた・ひろのり)さんと共に、大島紬を後世に伝えていくための活性化プロジェクトに取り組んでいます。

今回は奄美のお二人に加えて、本プロジェクトに参画している協働プロの藤村昌平氏にインタビューさせていただきました。

お三方それぞれから、本協働プロジェクトに取り組んだ経緯や感想、今後の想いを語っていただいたほか、今後の複業人材との取り組みの広がりについても事業者視点から、お話しいただきました。

(取材・文=郡司弘明)

Web会議サービス(Zoom)を用いて元氏、川畑氏、藤村氏へインタビューを行いました。

出会ってすぐにワクワクできる取り組みになる予感があった

みなさん、本日はよろしくお願いします。奄美大島の特産物である、大島紬の魅力をより多くの方に伝え、広げていく本プロジェクト。お取り組みの概要をお聞きして、とても可能性を感じております。ぜひ本日は色々とお聞かせください。

まずは元さんと川畑さんのお二人にご質問です。協働日本と取り組むきっかけについてお聞きしてもよろしいでしょうか?

:今後、大島紬の魅力をどうやって広げていくか、後世に残していくかを考えていく中で、一緒にプロジェクトで取り組めるパートナー候補として、静岡にあるJOINXという企業の担当者からご紹介いただきました。

協働プロの藤村さん、若山さん、協働日本代表の村松さんの3人に実際に奄美大島へお越しいただき、色々なお話をさせていただきました。

川畑:私も元さんと同席させていただき、多種多様な人材が所属している協働日本の体制にとてもワクワクしました。

普段私は、個人事業主として一人で仕事に取り組む時間が多く、身軽で動きやすい一方で、事業についてしっかりと相談・壁打ちできるパートナーが欲しいと思っていました。
そのため、各領域で活躍するプロが集う協働日本さんと取り組むことで、自分の持っていない新しい視点でのフィードバックをたくさん頂けそうだと思いました。

:私も同じ印象を持ちました。専門性を持った方とディスカッションできる、そして事業オーナーの視点で相談ができる機会というのは大変貴重です。
もちろん家族や社員といった、身近な相談相手はいます。しかし彼らとは違った視点で本気で向き合ってもらえるような、伴走してくれる協働プロの存在はありがたいと感じました。

–なるほど。元さん、川畑さんのお二人はこれまで、こういった外部人材や複業人材とのお取り組み事例はあったのでしょうか?

川畑:私は複業人材との取り組みは今回が初めてです。普段は地元の奄美大島を中心に活動をしていたので、島外の複業人材の方々からいろいろな話を聞けるのが楽しみでした。特に今後は、ネットを活用した情報発信に力を入れていきたいと考えているので、様々な経験を持った複業人材からの意見がとても欲しかったです。

:私は過去、企業や学生と一緒に取り組んだ協業プロジェクトはありましたが、複業人材との取り組みは初めてでした。

–川畑さん、元さん、ありがとうございます。元さんが以前取り組んだ、協業プロジェクトはどんなものだったのでしょうか?

:その時は、代官山の蔦屋書店さんと文京学院大学の学生さんと一緒に物販に取り組みました。蔦屋書店さんは場所を提供し、学生さんはゼミ活動の一環として大島紬を取り上げるイベントでした。その時の関わり方は、今の協働日本とのプロジェクトとは逆に、私がサポーター的な関わり方をしていました。

そういった意味で、支援する側の経験はあったのですが、事業に伴走してもらえる形での協業は今回が初めてですね。逆の立場、サポートする側の大変さはよく分かります。

–なるほど。プロジェクトを支援する側のご経験はあったのですね。それだけに今回、協働プロへの期待も大きかったと思いますが、実際に協働日本とのプロジェクトがスタートしてみていかがでしたか。

:プロジェクトの立ち上げ、そして日頃のコミュニケーションなど丁寧にご対応いただきました。もともとECを強化していこうという方向性を持っていたのですが、いきなり実行策に着手するのではなく、そもそものターゲットの絞り込みから丁寧にサポートしてもらいました。

これまでの経験から漠然と捉えていたことをあらためて言語化し、アンケートやヒアリングなど丁寧に行っていく中で、新しい商品の提案シーンなども見つかってきました。裂き織りという技法を活かした「奄美布」の冠婚葬祭シーンへの提案など、BtoBセールスのアイディアは特に、打ち合わせの中でより磨かれていきました。

「奄美布」のもとになるのは、お客さまからお預かりした大島紬等の古い着物。それらの思い出深い品をやさしくほどいて細く裂き、生地をヨコ糸として織り機で織っていきます。思い出の詰まった生地を蘇らせるアイディアとも言えますね。この「奄美布」のアイディアから、お客様の冠婚葬祭シーンのお気持ちに寄り添った提案が生まれていますし、奄美の伝統の大島紬を支える織物としての提案も実現できています。

ひとつひとつ結果を積み上げていったことで、仕事に「自信」を持って取り組めるようになった

–川畑さんにもお話を伺います。今回のプロジェクトを通してどんな変化が生まれていますか?

川畑:私も元さん同様、現状分析をしっかりと行った上で、それに対するアドバイスからスタートしました。今後インターネットを主体に、販売先をどんどん奄美大島以外にも広げていきたいと考えており、島外への情報発信や販売方法を中心に、販売サイト(BASE)の立て直しやSNS(Instagram)での発信戦略など様々なテーマで日々打ち合わせしています。

その中で感じる変化として特に、自分自身の仕事のクオリティが上がったと感じています。協働プロから出た意見やそこで決まった方針をもとに、やらなくてはいけないこと、つまり宿題のようなものが積み上がります。

それを毎回達成しなくては、といういい意味でのプレッシャーが自分自身を引き上げてくれています。ひとつひとつ、やるべきことを達成していくことで打ち合わせも充実しますし、事業の手応えも変わってきます。自分自身、行動力が上がってきたと感じています。

また、自分の生み出している商品、プロダクトの価値を高める方法を見つけられたのもとても大きな変化です。これまでは島内中心にお土産品として販売することが大きかったのですが、その人に合ったオーダーメイドでオンリーワンな商品である特徴を活かした、新たな販売戦略を立てています。

取り組みの中で、これまでになかったカメラストラップやカバーなど、いわゆるホビー領域にもチャレンジし始めました。これにより、こだわりが強く購買力のある新たな顧客層を開拓出来て、商品に高い価値を感じていただき、同じ労力でもこれまで以上に高単価な商品を購入頂けるようになりました。このことは、商品に対する自分の「自信」にも繋がりました。

:私も同じく、協働プロがやったほうがいいことをどんどん提案してくれることがいい意味でのプレッシャーになっており、事業を好転させていると感じます。ついつい、事業オーナーはやりたくないことを後回しにしています部分があるのですが、そこを協働プロの皆さんは上手に、本人がやりたくなるように、アドバイスをしてくださいます(笑)

しかも、そのとおりにやるとちゃんと結果が出る。だから、はじめは面倒だと思っていたことに取り組むことがだんだんと楽しくなってくるんです。細かく成果が上がるのが、やっていて楽しい。結果も出るから、協働プロへの信頼も深まる。今、とてもいい循環が作れていると思います。

「新しい価値」の届け方を一緒に探しに行く

–協業プロの藤村さんにも質問させてください。お二人と協働取り組みは、どんなスタートだったのでしょうか。

藤村:このお話を頂いた際に、大島紬の市場規模が以前は何百億とあったが今ではその百分の一にまで減少しているという話を聞いて衝撃を受けました。目の前の利益や売上の話だけでなく、大島紬という文化そのものの危機なのだという話から取り組みはスタートしています。

そして、従来の着物だけでなく、大島紬を活用した「新しい価値」を生み出そうとしている若い二人のリーダーとプロジェクトをご一緒できるのは光栄ですし、とてもやりがいも感じます。

二人とも別々の事業者という立場ですが、共通して「ハンドメイド」にこだわって事業を展開しています。私からすると、大島紬の歴史的な背景も含めてそこにとても価値を感じます。一方で当事者である側は、その価値を低く見積もりがちだと感じました。だからこそ、その「価値」の届け方、適切な表現などを一緒に探しにいく取り組みが重要だと考えています。

さらに今回のプロジェクトでは、それぞれの協働日本との打ち合わせに、お二人が相互にオブザーバーとして参加していただく形式で進めています。これにより相乗効果も生まれ、取り組みの質もより良くなっていると思います。

–なるほど。普段の取り組み、やり取りの中で感じていることはありますか?

藤村:まだ取り組みの途中ですが、誰にどうやって売っていくのかを見える化していくこと、適切な価値・適切な表現を一緒に見つけに行くことに向き合って、一つ一つ取り組んでいる中で様々な変化を感じます。取り組みを通じて、大島紬の価値が、誰にどこまで広がっていくのか一緒にワクワクしながら取り組んでいます。

お打ち合わせで相談したことも、お二人ともすぐに対応していただけるので、PDCAをスムーズに回せています。そうして色々と試行錯誤できていることもありがたいと思っています。

–この取り組みの中で感じている面白さや、印象に残っていることを教えてください。

藤村:取り扱っているプロダクトが、とても歴史のあるものだという点ですね。私が勤めているライオンという会社も130年の歴史がある会社ですが、大島紬はさらにはるかに長い歴史を持っています。気の遠くなるような長い歴史の中で、若い世代が次の世代にそのものの良さをどうやって伝承していくのかという節目に関われる面白さがあります。

大島紬ならではの良さを活かしながら、加工したり手に取りやすくしたりする試行錯誤の中で、積み上げてきた歴史と、令和の価値観がクロスする瞬間に立ち会えることには特に面白さを感じますね。

自分もまた「複業人材」として活躍していく未来へ

–それでは最後に、元さん、川畑さんお二人へ質問です。これから協働日本、そして協働日本のような地域との協働の取り組みはどうなっていくと思いますか?

川畑:地域の企業はこういった複業人材との協業にどんどんチャレンジするべきだと思います。一人で頭でっかちになって考えるよりも、いろいろな話をしながら、ワクワク感の中でプロジェクトを進めるほうが絶対楽しい。いい意味でのプレッシャーも自分にかけられるので、行動量も増えるので変化も感じやすい。迷っている企業の方がいたら、是非オススメしたいです。

:川畑さんの言葉に重ねて。こういった取り組みを通じて自分自身のスキルを高めていくこと、仕事に自信を持つことが出来ると、次は「複業人材」として他の事業者との協業にも積極的になれると感じています。

自分自身、変化を実感しているので、その変化を周りにも広げていきたいと考えるようになりました。こうして、周りと変化を生み出したいと考える人が増えると、本当に日本が変わっていくような気がしますね。

–素敵なメッセージありがとうございます!今後も想いある地域の企業と、情熱を持ったビジネスパーソンとの出会いの場を、協働日本としても生み出していきたいです。インタビューへのご協力ありがとうございました。

川畑、元、藤村:ありがとうございました!

元 允謙 Tadaaki Hajime

有限会社 はじめ商事 代表取締役

はじめ商事 | 奄美の伝統と技術で新しい物創り
https://hajimeshoji.com/

川畑 裕徳 Hironori Kawabata

紬レザーかすり 店主

紬レザーかすり(@tsumugi_leather_kasuri) • Instagram
https://www.instagram.com/tsumugi_leather_kasuri/

協働プロの藤村昌平氏も参画する、協働日本事業については こちら