Challenge Report:かごチャレ2025年度【第3回】開催レポート|地域や業界を超えて、挑戦が共有された現場から

鹿児島県が主催し、公益財団法人かごしま産業支援センターと株式会社協働日本が企画運営を担う「かごしまチャレンジャーサミット(通称:かごチャレ)」。本レポートでは、参加者の挑戦がつながり広がっていく様子や現場の熱量をお届けします。

(レポート作成=黄瀬真理)

地域や業界を超えて、多様な人の挑戦がつながる場

全国から過去最多となる約80名が参加し、今年度第3回目となる「かごチャレ」が1/29に開催されました。県内企業様はもちろん、県外からも多くの企業や団体の方々にご参加頂き、地域や業界を超えて多様な挑戦が融合する場となりました。また、開催を重ねるごとに全国から自治体関係者が複数名視察に訪れるなど、地域を超えて関心を集める場となっています。昨年から通算6回となるこの場から、対話を通じて生まれた連携事例も複数あります。互いの挑戦の軌跡にふれ対話を深める中で、参加者それぞれの「次の一歩」が形作られていく、そんな場となっています。

第一回目の様子はこちら

   

現在進行形の挑戦から視点を得る時間

最初に、オープニングトークと県内企業3社のピッチが行われました。

【オープニングトーク】変化を乗り越える老舗企業の事業・組織変革

今回のオープニングを飾ったのは、かぶら寿司や金沢の伝統発酵食品で有名な石川県の老舗、四十萬谷本舗 代表取締役の四十万谷正和氏。「変化を乗り越える老舗企業の事業・組織変革」をテーマにオープニングトークが行われました。歴史や伝統を守るだけでなく、時代にあわせて常に変化することを選び続けてきた老舗の実践から、変革を具体的に考える視点を得る狙いでお招きしました。歴史ある企業が直面する構造的な課題と、”今”に向き合い続けてきた挑戦のリアルが、率直な言葉で語られました。

かぶら寿司や金沢の伝統的な発酵食品で有名な石川県の老舗
株式会社 四十萬谷本舗 代表取締役 四十万谷正和氏 

老舗の6代目として家業に戻った当初は、顧客の高齢化、冬期に偏った売上構造、贈答文化の衰退といった課題に直面しました。そこにコロナ禍が重なり、来店客は大きく減少しました。

こうした状況を受け、2020年から協働日本と連携し、外部プロ人材とともに挑戦することを決断。「一人で抱えず、外部の知恵を借りると決めた」と語ります。

以降、オンライン体験やライブコマース、EC強化によるデジタルシフトを進めるとともに、若年層や通年販売を意識した商品開発などを通じ、新たな顧客との接点を着実に広げています。

四十萬谷本舗様の取り組みはこちらからもご覧いただけます。

   

【ピッチ】県内企業3名による挑戦事例の共有

続くピッチには、県内から3名の挑戦者が登壇。本土最南端でワイナリーを作る濵田氏、0からのインド海外進出にチャレンジした園田氏、そして奄美産バニラの生産体制確立を目指す林氏です。どれも完成された成功談ではなく、試行錯誤や壁に向き合ってきた現在進行形の話が共有されたことで、参加者も自分の状況と重ねながら聞き、考える時間となっていました。

本土最南端でワイナリーを作る
濵田農園 園主 濵田隆介氏 

過疎が進む錦江町花瀬で、「ここにしかない価値」を生み出す挑戦として本土最南端のワイナリー設立を決意。特区認可に3年以上、コロナ禍や物流混乱、技術力不足など数々の困難に直面しましたが、行政連携やクラウドファンディング、技術習得を重ね、2022年に醸造所を完成させました。今後は地域に暮らすような滞在体験をつくるべく、持続可能なまちづくりに挑み続けています。


0からのインド海外進出にチャレンジ 
株式会社オキス 園田浩一郎氏 

インド海外進出を任命された47歳の時点では、海外経験も英語も貿易実務もゼロだった園田氏。野菜の加工品をメーカーに出荷する同社の売上構成比のうち、98%の売上は国内。そんななか、世界屈指の難解市場・インドへの輸出に挑戦。そのなかで、制度、商慣習などの壁に直面しながらも、ご自身の経験の有無を言い訳にせず、やるべき準備を着実に積み上げて次々に壁を突破してきました。泥臭い現地活動を重ね、計6回の渡航で信頼関係を築き、オキス社としての海外進出を実現しました。


奄美産バニラの生産体制確立を目指す 
合同会社AMAMIバリュープロデュース 代表 林晋太郎氏 

12年間の国家公務員生活を経て、林氏は輸入依存のバニラを「奄美産で確立する」挑戦に踏み出しました。栽培に数年を要する点とゼロからの農地開墾が大きな困難でしたが、収穫前から輸入バニラで販路を築き、カフェ開業で収益と発信の場を確保。家族や仲間と放棄地を開墾し、開始3年目の2025年に、ついに初収穫を実現しました。奄美の未来を見据えた長期的挑戦について、語ってくださいました。

  

【パネルディスカッション】挑戦の原点

パネルディスカッションでは、“挑戦の原点”と“乗り越えてきた壁”が語られ、会場がさらにあたたまる時間になりました。

パネルでは、挑戦の過程で何度も「できそうにない」と感じる壁に直面してきた経験が語られました。その中で共通していたのは、「できる方法を模索する」ことを積み重ねる姿勢です。想いは行動ににじみ、少しずつ周囲にも伝わり、支えや協力を生んでいきました。また、ゼロからの挑戦だからこそ、小さな前進や達成が日々の喜びとなり、壁の多さそのものが前に進むエネルギーになったという印象的なお話もありました。

課題を抱えながらも挑み、乗り越えたときの喜びが、次の挑戦へ向かう原動力として積み重なっていったプロセスが、皆様の具体的な経験とともに共有されました。生まれ育った土地のよりよい未来に繋げていきたいという強い想いが感じられ、チャレンジし続ける行動力とエネルギーに、会場の皆さんも引き込まれていました。


ワークショップで与え合う、新しい視点

その後のワークショップではテーブルに分かれ、参加者が「今挑戦していること」を語り合いました。

   

かごチャレでは、登壇者だけではなく参加者も、現在進行形で挑戦している方々です。かごチャレでいつも盛り上がるこの時間。取り組む分野や立場は異なっても、グループ内では互いのチャレンジに耳を傾け、フィードバックをしあいます。話を聞きながらメモを取り相手におくる付箋が、どのテーブルでもあふれていました。前向きな言葉が会場全体に広がる、熱気ある時間になりました。


次の一歩へと動き出す参加者

今回のかごチャレでも、共感にとどまらず、フィードバックや気づきをもとに次の行動に踏み出そうとする参加者が多く見られました。新しいサービスの企画立ち上げ、参加者との協業検討など、具体的な動きがすでに生まれつつあることが、事後のアンケートでも読み取れます。「誰かと何かをする楽しさに気づいた」「自分の想いを深掘りできた」という声が示すように、対話を通じて新たな一歩の解像度が高まり、行動に結びついていることがうかがえます。かごチャレは、挑戦する者同士がつながり、各自の現場へ持ち帰って試行錯誤を重ねるための起点として、着実に機能しています。

  

対話を起点に、各現場での実践やコラボレーションが動き出した一年

今年度のかごチャレも、鹿児島県主催の取り組みとして、県内企業の挑戦をさらなる次の行動につなげる場づくりが進みました。県内チャレンジャー自身がピッチに登壇することで、「県内にもこれだけ多様で実践的な挑戦がある」という認識が共有され、県内企業の力を再確認する機会となりました。また、県外からの登壇者・参加者の視点が交わることで、既存の取り組みを別の角度から捉え直すきっかけが生まれ、県内企業が自らの持つ強みや可能性に気づく場面も見られました。さらに、こうした内外の視点が交わることで、新しい事業やコラボレーションの拡がりが各所で生まれています。今年度のかごチャレも、参加者の力を引き出し、実践へとつなげるための基盤として機能した一年でした。

   

※株式会社協働日本は地域企業と第一線で活躍するプロ人材が一つのチームとなり、事業変革に伴走します。成果を出すとともに、その先の「自ら変わり続ける力」を育みます。詳細はこちらからご確認いただけます。


主催:鹿児島県 / 企画運営:かごしま産業支援センター、株式会社協働日本

この取り組みに関するお問い合わせはこちら

Mail:ippo@kyodonippon.work

   

Challenge Report:かごチャレ2025年度【第2回】開催レポート|参加者の想いが響き合う現場から

鹿児島県が主催し、公益財団法人かごしま産業支援センターと株式会社協働日本が企画運営を担う「かごしまチャレンジャーサミット(通称:かごチャレ)」。本レポートでは、参加者の挑戦がつながりが広がっていく様子や現場の熱量をお届けします。

(レポート作成=黄瀬真理)

産官学の多様な参加者が互いに語り、”新たな挑戦と共創”が生まれる場

昨今、地域で新事業を創出する取り組みが増えています。そんななか鹿児島県では、あらゆる“挑戦者”が繋がり共創する場「かごしまチャレンジャーサミット」を開催しています。 11月11日の第2回かごチャレにも、県内外から業種・立場が異なる50名以上が集いました。オープニングトークではデザインのプロが登壇。さらに、県内企業に加えて鹿児島大学教授も登場し、研究紹介とともに、老舗でありながら新領域へ挑む鹿児島企業との協創事例が共有されました。異分野が交わることで新たな価値が生まれる、その“掛け合わせ”の手応えも伝わる時間となりました。

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県内外から多様な参加者が集い、かごチャレが幕を開ける

挑戦者の熱意に触れ、思わず前のめりになる時間

続いてオープニングトークと県内企業3社のピッチが行われました。

【オープニングトーク】ブランドを強くするデザインの本質

オープニングを飾ったのは、株式会社ピクニック 代表取締役  ケイモト シュンスケ氏。デザインの力を独自の視点で語るオープニングトークに、会場の空気が一気に温まりました。

数々の広告賞を受賞されている、プロデザイナー/コピーライター
株式会社ピクニック 代表取締役 ケイモト シュンスケ氏 

   

エンターテイメントやプロスポーツなど分野を越えて、ロゴ・Web・パンフレットなど幅広い領域でデザインを手がけてきたケイモトさん。オープニングで語ったのは、多くの鹿児島県内企業様が関心を持つ“デザインの本質”。

「デザインひとつで、見え方はガラリと変わります。大事なのは、その人や企業が本当に大切にしている“中身”と見た目がきちんと合っていること。ここがズレると、相手に届かない。良い中身を、そのまま伝わる形にする。それがデザインなんですよね」

自社について、こだわりぬいて伝える重要性がひしひしと伝わってきました。

   

【ピッチ】県内企業の挑戦と、研究の知との掛け合わせが示す可能性

続くピッチには、県内から3名の挑戦者が登壇。幼児から高齢者までを一気通貫で支援する障がい福祉事業の宮之原氏、指宿の廃校を再生しクラフトビール醸造所を立ち上げた今奈良氏、そして養殖魚の“心”や行動変化の科学的解明に取り組む塩崎教授です。それぞれの話に参加者が前のめりになって聞き入り、「よし、自分も前に進もう」と背中をそっと押されるような空気が広がっていきました。

障がいの有無によらず、自分らしく幸せに生きられる社会を目指す
株式会社サクラバイオ 代表取締役 / 一般社団法人グッジョブかごしま 代表理事 宮之原 綾子氏

   

1歳半〜高齢者までを一気通貫で支援する障がい福祉事業を展開。「障がい者は1160万人いるのに、働いているのは16%だけ。“働きたい”と“働いてほしい”がつながっていない。」
その現実を前に、同社は教育・アセスメント・コミュニケーション・企業支援まで踏み込み事業展開しています。「“あなたがいてくれて嬉しい”と言われる人を増やしたい」。

   

クラフトビール醸造所 と 廃校キッチン麦と庭 を立ち上げ、地域の未来を育てる
株式会社今宮 代表取締役 今奈良 孝氏

   

指宿の廃校「旧徳光小学校」(144年の歴史ある校舎)をリノベーションし、地域の魅力を生かしたクラフトビール醸造所と地元食材のレストランを立ち上げ。「開聞岳が目の前にあって、観光地もすぐ近くで、ここは“地域の起爆剤”になると思ったんですよ。一方で、異業種からのチャレンジのためとにかく全部が初めてで、毎日が失敗と挑戦の連続です。」

「温泉熟成ビールとか、麦芽粕を使ったスイーツとか、まだまだやりたいことがあるんです。指宿をもっと盛り上げたいんですよね。」

   

魚類の精神的負担を軽減する飼料素材・飼育方法などを研究開発する
鹿児島大学 農水産獣医学域 水産学系 塩崎 一弘教授

   

養殖魚の“心の状態”の科学的な解明に向けて、うつ・不安・社会性の喪失といった行動変化などを研究。
「魚もうつになります。不安にもなるんです。だからゲノム編集で“うつの魚”をつくって行動を調べています。実は焼酎粕を使うと魚の不安が半減し、群れへの適応が早まるなど、養殖の生産性を高める可能性が見えてきていて(※)、一次産業の未来を拓く研究として大きな手ごたえを感じています。」

※鹿児島県企業・株式会社栄電社と共同で、焼酎粕を乳酸発酵させた製品を用いた研究を実施。

パネルディスカッション:挑戦の原点と“想い”が交差した時間

登壇者による「なぜ挑むのか」「どんな壁を越えてきたのか」という話からは、異なる背景から生まれた熱意と覚悟が伝わってきました。デザイナーケイモトさんの視点からは「挑戦には確かな想いがあり、その想いも含めた魅力をどう見せるかという意味で、デザインは力を発揮できる」という気づきが語られました。壁にぶつかりながらも、想いを原動力に前進する皆さんの姿に、会場全体が共感と熱意に包まれる時間となりました。

パネルディスカッションでは、“挑戦の原点”と“乗り越えてきた壁”が語られました。宮之原さんは、障がい者の人が自分の人生を歩める“場所”をつくるために12事業を立ち上げてきた経緯を語り、その覚悟とパワーに会場からどよめきが起きました。今奈良さんは、指宿を盛り上げたい一心で廃校をクラフトビール醸造所へと生まれ変わらせた挑戦と、異分野での苦労を語り、その熱心さにうなずく人が多く見られました。塩崎教授は、“魚の心”という誰も踏み込んでいない領域に挑む理由と研究の面白さを軽やかに語り、笑いと驚きがわく時間に。会場全体が、挑戦を応援するあたたかい空気に包まれていく瞬間でした。


ワークショップで得る、新しい視点

ワークショップではテーブルに分かれ、参加者が「今挑戦していること」を語り合いました。誰かが話し始めると、その想いに自然と皆が引き込まれていきます。

   

   

「もともとこういう想いがあって…」「こういうきっかけで挑戦を始めました」。挑戦の原点に触れる言葉が重なるたび、互いの想いに引き込まれていきます。テーブルのあちこちで、「応援したい」「一緒にやれそうですね」という声が自然に生まれていました。自分の挑戦を語れば、誰かがその想いを受け取り、また別の誰かが「それ、応援したい」と返してくれる。そんなあたたかい循環が会場全体に広がり、挑戦の想いと熱が重なり合う、かけがえのない時間になりました。


400年以上の歴史と新しい挑戦が混ざり、次の価値が芽生える

最後に、昨年度のかごチャレで生まれた“出会い”からはじまった取組みが紹介されました。400年以上の歴史を持つ薩摩焼・荒木陶窯さんと、鹿児島発・移動式スペシャルティコーヒーの販売に取り組むA Way to Coffee の児玉さんによる事業コラボレーションです。コーヒー粕を釉薬に混ぜ、薩摩焼の色づけに活かすという前例のない試み。試作段階の作品が映し出されると、会場ではざわめきが広がりました。この場の出会いから想いがつながり、確かな形として芽を出す——そのプロセスに共感するとともに、未来への期待がふくらみます。


拡がり続ける参加者の輪

イベント終了後のロビーでは、名刺交換や情報交換を続ける参加者の姿が多く見られました。「また連絡します」「次回も参加します」といった言葉が交わされ、参加者同士のネットワークが確実に広がっている様子が感じられました。第2回のプログラムは、そうした交流が自然と生まれる空気の中で終了しました。

参加者アンケートでは、「ここでの出会いが次の挑戦を後押ししている」という声が多数寄せられました。実際に、新しい事業やプロダクト開発に着手した参加者や、会場での出会いをきっかけにプロジェクトが動き始めたケースも確認されています。また、得た知識や視点を組織へ持ち帰り、チームの議論や育成に活かす動きも出ています。

さらに、「視野が広がった」「まずやってみようと思えた」といったコメントも多く、次のステップに向けて行動を始めた参加者も見受けられました。

昨年度から少しずつ育まれてきた“挑戦のつながり”は、今回さらに広がりを見せました。今年度最後となる第3回は、1月29日に開催予定です。オープニングゲストトークには、石川県から老舗の食品企業をお招きし、「変化を乗り越える老舗企業の事業・組織変革」をテーマに、挑戦の裏側や時代に向き合うリアルな知見が共有されます。業種や業界、立場、そして地域を越えたつながりが生まれる「かごチャレ」。そこには、ただ情報を交換するだけではなく、互いの挑戦に刺激を受け、次の一歩へと踏み出す空気があります。

この土壌の上で、鹿児島の持続的な発展に向けた新たな動きが、確かに芽吹き始めています。

   

※株式会社協働日本は地域企業と第一線で活躍するプロ人材が一つのチームとなり、事業変革に伴走します。成果を出すとともに、その先の「自ら変わり続ける力」を育みます。詳細はこちらからご確認いただけます。


主催:鹿児島県 / 企画運営:かごしま産業支援センター、株式会社協働日本

この取り組みに関するお問い合わせはこちら

Mail:ippo@kyodonippon.work

   

Challenge Report:かごチャレ2025年度【第1回】開催レポート|参加者の想いが響き合う現場から

鹿児島県が主催し、公益財団法人かごしま産業支援センターと株式会社協働日本が企画運営を担う「かごしまチャレンジャーサミット(通称:かごチャレ)」。
参加者の挑戦がつながり広がっていく様子を記録し、その意味や魅力をお伝えする記事です。

(レポート作成=黄瀬真理)

立場を超えて挑戦がつながる。多様な人が集うフラットな場

鹿児島県が主導する「新産業創出ネットワーク事業」の一環として、2024年度に発足した「かごしまチャレンジャーサミット(通称:かごチャレ)」は、県内外の参加者が互いの挑戦を知り応援し合うことで、事業創出のうねりを生み出すことを目指す取り組みです。初年度である2024年度には約140名が参加しました。6割が県内、4割が県外や学術機関という多様な顔ぶれが、業種や地域を超えてつながりました。

県内外から多様な参加者が集い、かごチャレが幕を開ける

かごチャレ発の新たな挑戦の循環

県ではこれまでも、補助金支援や伴走型支援、中核人材勉強会などを通じて企業の成長を後押ししてきました。成果を共有し合うことで協業や販路拡大が生まれ、それが更なる新たな挑戦を促します。昨年度のかごチャレでは、そこで出会った4社が合同で、自社商品を活用したポップアップイベント「Glow UP」を開催するなどの動きが生まれました。Glow UPでは、それぞれの強みを掛け合わせて新しい食の体験が創出されました。立ち呑みスタイルで、若い世代や県外の来場者にも焼酎や鹿児島食材の魅力を広げています。
かごチャレは、こうした挑戦が次の挑戦へとつながる“エネルギー連鎖”の場。今年度も全3回の開催を通じてその熱を広げ、鹿児島に新たな動きが芽吹く土壌を育んでいきます。

県内外から集まった多様な参加者

挑戦のストーリーが交差した一日

幕開けとなる初日

2025年度の第一回は、9月26日に開催されました。今回のオープニングゲストトークのテーマは、「グローバル中小企業戦略」。株式会社スパイスアップ・ジャパン 代表取締役で神田外語大学 客員教授の豊田 圭一氏によるゲストトークを皮切りに、県内企業のピッチ、パネルディスカッションや、参加者交流の場が繰り広げられました。

豊田氏の熱いオープニングトーク
オープニングと県内企業3社の発表

世界各地で挑戦を重ねてきた豊田氏は、「失敗して当たり前。大切なのは続けることです」と語ります。講演では、日本とイタリアに焦点が当てられました。内需が大きい日本に対し、イタリアは内需が小さいからこそ、中小企業が海外市場に挑み続けてきました。その姿勢から学べるのは、「ブランドを磨く」「ニッチで勝つ」「アライアンスで広げる」という三つの戦略です。数多くの挑戦と失敗を経てきた豊田氏の「誰でも一歩は踏み出せる」という言葉には、経験に裏打ちされた重みがあり、会場は熱気と共感に包まれました。

続いて、県内企業3社による新事業のプレゼンテーションが行われました。いずれの発表にも「現場から課題を見つけ、自らの手で形にしていく」熱いエネルギーがあふれていました。

有限会社工房Ryo 
代表取締役 冨田 良一 氏

「持ち上げない移乗機器」を開発。結婚指輪を手掛ける事業からの、まったく異なる分野への挑戦でした。軽量で低コストな仕組みを追求し、日本・米国・中国で特許を取得。お父様の介護という原体験から生まれた“誰かの助けになりたい”という思いが、高齢化という課題に真正面から挑む原動力となっています。

株式会社藤田ワークス 
セールスフロンティアマネージャー 磯脇 武志 氏

板金加工の技術を活かし、「水の揺らぎを金属で表現する」新素材を開発。何百回もの試行錯誤を経て完成した素材は、今では建築空間を彩る新たな表現手法として注目されています。東京での展示会にも継続出展し、製造業から建築業界への挑戦という新たな道を切り拓いています。

株式会社ネバーランド 
代表取締役 加世堂 洋平 氏

鹿児島県長島町で、日本一の生産量を誇る養殖ぶり「茶ぶり」をはじめ、レモンや牡蠣など多彩な地元食材を自社で生産。これらを活かして東京を含む各地に飲食店舗を展開し、地域の魅力を全国へ届けています。顧客の声を起点に、商品開発から生産・流通・販売までを一体で担う仕組みを構築。「あるものを売る」から「売り方を創る」へ。長島町という地域そのものの価値を高めています。


パネルディスカッションで語られた挑戦の原点─自らを駆り立てるものを見つめ直す

パネルディスカッションで登壇者4名が語ったのは、挑戦の背景にある“原動力”。
それは、やらずにはいられない衝動や、できると信じる気持ち、悔しさを糧にする粘り、仲間を想う心─。
立場や分野は違っても、挑戦の源泉はどれも「自分の中にある熱量」でした。

挑戦の原点を語るパネルディスカッション

登壇者のストーリーにふれたあとは、参加者同士がグループで語り合う時間。そこでは、立場や所属を超えて“熱量”や“想い”が交わされ、新たな気づきやエネルギーが生まれていました。

互いの声に真剣に耳を傾ける、グループディスカッションの様子

参加者が語る、かごチャレの価値

実際にかごチャレに参加した方々へのインタビューからも、この場の価値が伝わってきます。

熱量が循環する場」
株式会社下園薩男商店
代表取締役 下園正博氏

グループディスカッションに入る頃には場があたたまり、参加者全員の熱量が最高に高まっていました。

以前「成功した人の話よりも、成功に向けてもがいている人の話を聞け」というアドバイスを受けたことがありますが、この場はまさにそのような場だと思っています。挑戦の過程を共有し合うからこそ、お互いを高め合えるのだと思います。ここからまた新しい一歩を踏み出すきっかけを得られる場だと、いつも期待しています。

普段触れられない“想い”に出会える場」
ハウス食品グループ本社株式会社
品質保証統括部 部長 山本竜太氏

人の想いやパッションそのものに直接ふれる機会は、日常ではなかなかありません。だからこそ、そうしたエネルギーを受け取れるこの場がとても貴重です。グループディスカッションでは、自分の発言に対してフィードバックをもらえたことはもちろんのこと、同じグループの方々の話を聞く中でも「なるほど」と思う気づきが数多くありました。多様な視点にふれることで、自身の思考が深まった感覚があります。

「ごちゃまぜだからこその心地よさ
南大隅町
地域おこし協力隊 原田志穂子

立場や背景を超えたごちゃまぜの場のなかで双方向に語り合える雰囲気が、本当に心地よいです。この場は熱量とあたたかさに包まれていて、そんな場だからこそ本音で話し合えるのだと思います。日常ではなかなか得られない「フラットに、双方向なフィードバック」を与え・受取りあう場が、ここにはあります。


挑戦の循環は次回へとつながる

最後は、Glow UPの次なる挑戦に向けた発表で締めくくられました。回を重ねるごとに食と人、地域がつながり合い、新たな構想も動き始めています。かごチャレから芽吹いた共創の輪が、鹿児島の食の未来をさらに輝かせようとしています。

昨年度かごチャレで生まれたGlowUPの取組み、次回に向けた発表に会場全体がワクワクに包まれる
GlowUPの今後の取り組みに参加者が注目
GlowUP開催時の様子
一人ひとりの想いが響き合い、会場に熱が立ち込める

今年度初回となる今回のかごチャレでは、豊田氏の講演を通じて中小企業がグローバル展開を志す際の視点が共有されるとともに、県内企業の取り組みを知り、一歩踏み出し続けることの大切さを改めて感じる機会となりました。この場をきっかけに参加者同士の対話が広がり、新たな連携や次の挑戦につながる芽が見え始めています。

次回は11月11日に開催されます。オープニングゲストトークのテーマは、「デザイン・ブランディング」。事業やサービスの価値をどう伝え、広げていくか。地域企業にとっても重要な視点が共有される場となる予定です。かごチャレ開催レポートは、挑戦する人がつながり合うことで新たな可能性を育てていくプロセスを、今後も継続的に記録していきます。

※かごチャレの主催は鹿児島県が、企画運営は公益財団法人かごしま産業支援センターと株式会社協働日本が担っています。

※株式会社協働日本は地域企業と第一線で活躍するプロ人材が一つのチームとなり、事業変革に伴走します。成果を出すとともに、その先の「自ら変わり続ける力」を育みます。詳細はこちらからご確認いただけます。